金融庁の”一人当たり老後資金2000万円必要”との報告書について

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     今日は「金融庁の”一人当たり老後資金2000万円必要”との報告書について」と題して論説します。

     

     まずは日本経済新聞の記事を紹介します。

    『日本経済新聞 2019/06/03 21:02 人生100年時代、2000万円が不足 金融庁が報告書     

     金融庁は3日、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書をまとめた。長寿化によって会社を定年退職した後の人生が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で約2千万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示した。公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性に触れ、長期・分散型の資産運用の重要性を強調した。

     金融審議会で報告書をまとめ、高齢社会の資産形成や管理、それに対応した金融サービスのあり方などを盛り込んだ。

     平均的な収入・支出の状況から年代ごとの金融資産の変化を推計。男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦では、年金収入に頼った生活設計だと毎月約5万円の赤字が出るとはじいた。これから20年生きると1300万円、30年だと2千万円が不足するとした。

     長寿化が進む日本では現在60歳の人の25%は95歳まで生きるとの推計もある。報告書では現役時代から長期積立型で国内外の商品に分散投資することを推奨。定年を迎えたら退職金も有効活用して老後の人生に備えるよう求めた。

     

     上記の記事は、日本経済新聞のみならず、国内紙だけでなくロイター通信なども報じているため、目にした人も多かったと思います。そもそも「2000万円貯めろ!」といわれても、「そんなの無理だ!」「年金制度はどうなる?」と思われた方、多いと思います。金融業界の関係者の声としては、証券業界は貯蓄から投資への大きなチャンスと考え、銀行業界も窓販を通じてNISA・iDeCoで投資信託の拡販のチャンスなどのコメントが紹介されています。

     

     私は、この前の土日、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(令和元年6月3日)」という56ページの資料を読ませていただきました。

     

     所感をいえば、「今後日本が、経済成長しないことが前提になっている」ということです。さらに「公的年金の受給に加えて、就労継続、支出の削減、資産形成・運用が必要」として、NISA・iDeCoの活用を進めており、金融機関の金融商品販売が促進されるような煽り方・言説が顕著です。

     

     もし、30歳の方が、60歳までの30年間、初期投資0円で、毎月積み立てで2000万円を年率1.0%で運用できたとして、どのくらい貯金をしなければならないか?というと、48,000円です。全く運用しない場合は、56,000円となります。

     

    <年率1.0%で運用できたと仮定した場合の60歳まで2000万円貯めるための毎月の積立額のシミュレーション>

     

    <年率0.0%で全く運用しないと仮定した場合の60歳まで2000万円貯めるための毎月の積立額のシミュレーション>

    (出典:新生銀行)

     

     

     いかがでしょうか?運用利回りが1%違うだけで、月々の拠出額が1万円以上変わります。そしてこれは何を意味するでしょうか?

     

     端的にいえば、毎月の給料から48,000円〜56,000円、年間では57.6万円〜67.2万円は、消費として使ってはいけないということになります。

     

     ではGDPや税収との関係を見るとどうなるか?というと、GDPと税収の関係は下記のとおりです。

     

     名目GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

     ※純輸出=輸出−輸入

     税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     

     皆さんが稼ぐ給料から毎月資産形成のため、30歳の人の場合は、年間57.6万円〜67.2万円は、貯金や投資信託を買うために消費をしてはいけないということになります。

     

     これは、ものすごいデフレ圧力となり、デフレ促進策です。なぜならば将来2000万必要だから貯金や投資をして資産形成しなさいという、この資産形成に要した金額は、GDP3面等価の原則でいう「消費」「生産」「所得」に該当しません。即ち資産形成に要したお金は、誰かの消費でもなければ、誰かの生産でもなければ、誰かの所得にもならないため、税収増加にも貢献しません。

     

     年金だけでなく医療費・介護費といった社会保険は、経済成長が前提となっており、それはGDPの成長を意味します。GDPの成長は人口減少と関係ありません。たとえ人口が減少しようとも、政府支出を増やして防波堤・防潮堤、高速道路・高速鉄道、老朽化したインフラ整備、火山噴火予知、北朝鮮や中国に対抗する防衛整備、国際リニアコライダーなど科学技術分野への投資、酷暑に備えたエアコン設置などなどなどなど・・・。リスクが高すぎ、もしくは儲かりにくいために民間企業では投資がしにくいものの需要がある投資分野はたくさんあります。そうしたリスク高すぎて民間企業が手を出せない、もしくは儲かりにくくて民間企業が投資しにくい、だけど需要は高いというものが、災害大国日本だからこそ、たくさんあります。そしてそうした分野は利益追求が不要な政府しか投資できません。

     

     その政府が支出するお金はどこから調達すればいいのか?政府は銀行からお金を借りる必要はなく、政府が国債を発行して日銀当座預金を調達して、その日銀当座預金を担保に政府小切手で支払えば済む話です。国債を発行して政府小切手で民間企業に支払い、民間企業が政府小切手を銀行に持ち込んでからやっと、預金が生み出されます。

     

     国民から集めた税金でなければ支出ができない、もしくは国民から税金を集めてからでなければ支出ができない、といった考えこそ誤りであり、資本主義とは誰かが負債を増やさない限り経済成長もできなければ、預金を生み出すこともできないのです。

     

     仮にも57.6万円〜67.2万円を全額投資信託や国内株式・外国株式を買ったとしても、GDPにカウントされるのは、証券会社に支払う手数料に加え、投資信託の場合は、投資信託委託会社や信託銀行に手数料がかかるのですが微々たるもので、高いものでも購入時に3%、毎年払う手数料でせいぜい1.5%とか、そのくらいです。

     

     購入時の販売手数料は、これまたデフレ圧力で銀行窓販ですと3%とかかかるものがある一方、ネット証券ではノーロード投信などといって販売手数料ゼロ円の投資信託もあります。

     

     年間でかかる手数料は信託報酬と呼ばれるものがあり、これは販売会社と投資信託委託会社と資産を保全管理する信託銀行に払うものですが、これも高いもので1.5%程度です。

     

     何がいいたいかと言えば、トヨタ自動車のカローラを200万円買った場合と、投資信託を200万円買った場合とでは、GDP二カウントされる金額ははるかに違うということです。

     

     カローラを200万円買った場合、200万円が全額が個人消費の支出となり、支出200万=生産200万=所得200万です。一方で投資信託を200万円買った場合は、手数料が4%だったとして、支出8万円=生産8万円=所得8万円となります。

     

     以上はGDP3面等価の原則でいう消費というものについて、モノを買った場合と金融商品を買った場合で比較しました。

     

     もう1つ別の角度から、日本国民全員が2000万円銀行預金を増やすという場合、日本の人口が1億3000万人とすれば実に2000万円×1億3000万人=2600兆円の預金が新たに創出されなければなりません。

     

     昨日、銀行預金はどうやって生み出されるか?という記事を書いた通り、誰かが負債を2600兆円の増やさなければ、2600兆円の預金は創出されません。

     

     2600兆円ものお金を、誰が借りてくれるのでしょうか?銀行預金は誰かが借りてくれなければ生み出されないのです。

     

     また銀行預金は、借入返済することで消滅してしまいます。

     

     そのため、借金=悪と考えて、個人が住宅ローンを繰り上げ返済し、企業は自己資本比率を引き上げて財務の健全性を高めるなどといって銀行借入を返済してしまうと、銀行預金は減少します。さらに政府までもが1000兆円の借金は将来世代にツケを残すといって、消費増税や所得税・法人税を引き上げてその税収で返済してしまった場合、やはり銀行預金は消滅してしまうのです。

     

     デフレで個人も企業もお金を借りようとしない状況で、むしろ借金返済を推進する状況でかつ政府までもが緊縮財政で借金をせず、むしろ消費増税で借金を返済しようとしているとするならば、これはもう最初から2600兆円の預金は創出されず、2000万円貯金をすることは不可能ということになります。

     

     では、どうすればいいのか?といえば、経済成長しかありません。経済成長こそ、年金制度を維持し、医療・介護保険制度を維持し、いや維持するどころかより多く利益が受けられるバージョンアップを図ることですら可能にします。

     

     しかしながら、銀行預金は誰かが負債を増やさない限り生み出されない以上、家計や企業はお金を借りるのは難しいため、代わりに政府が2600兆円の政府小切手を発行して公共事業をやらなければならないということになります。

     

     ところが、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(令和元年6月3日)」には、日本が経済成長するというシナリオが全くなく、財政出動すべきと指摘するどころか、むしろ緊縮財政を継続することが前提となっています。

     

     緊縮財政の継続が前提となっている時点で、この報告書で指摘している国民2000万円の預金が必要というのは、全く矛盾しているということに金融庁の職員は気付いていない。この時点で、この報告書は読むに値しないものと私は思います。

     

     

     というわけで今日は「金融庁の”一人当たり老後資金2000万円必要”との報告書について」と題して論説しました。

     このような報告書に踊らされて、将来不安を掻き立て、毎月消費を減らして貯金・投資を増やさなければ・・・と煽られ、むしろデフレを促進しているということに気付かないことこそ、今の日本が深い病に犯されているということの証左です。

     このままでは日本は中国とGDPで10倍くらい差が付き、そうなったら軍事費は20倍もの差が付くことになります。私たちの将来の子どもやお孫さんが、中国の属国となるような日本を引き渡してはいけない。そのためには緊縮財政を辞めさせなければならない!と改めて強く思うのです。

     

     

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       今日は「反論になっていない財務省の”増税不要論”への反論」と題して論説します。

       

       まずは共同通信の記事をご紹介します。

      『共同通信 2019/04/17 19:01 財務省「増税不要」に反論 13年ぶり地方公聴会を5月に

       財務省は17日、国有財産の売却や積極的な財政出動といった増税に頼らない手法で政府債務の解消を目指す、いわゆる「増税不要論」への反論をまとめた。10月からの消費税増税に向け、インターネット上などで盛んに活動している増税反対派に対抗した。増税の理解を得るため13年ぶりとなる地方公聴会を5月に開く。

       財務相の諮問機関「財政制度等審議会」の分科会に同日、財務省が提出した資料によると、道路やダムといった国の財産の多くは売却が難しく、政府の借金返済には充てにくい。

       積極的な財政出動でインフレを起こし国の借金を帳消しにする「シムズ理論」は、「現実的ではない」と断じた。

       

       

       上記共同通信の記事について下記1〜4の順で論説します。

       

      1.シムズ理論とは?

      2.財務省が誤解していることとは?

      3.MMT理論とその批判論について

      4.MMT批判論に対する反論

       

       

       

      1.シムズ理論とは?

       

       上記は「シムズ理論」への批判という書き方になっていますが、実際はMMT理論(モダンマネタリーセオリー)への批判とすり替えていると思われます。MMT理論の破壊力がすさまじく、MMT理論をシムズ理論にすり替えて批判していると私は考えます。

       

       シムズ理論は、2011年にノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ氏による理論で、記事では、積極財政をすることでインフレを引き起こし、実質的な借金の価値が減るという趣旨で取り上げられています。

       

       しかしながらシムズ理論は、通貨発行権を持つ日本政府と、中央銀行である日本銀行を、統合政府ととらえる点は、事実であって優れた考え方です。なぜならば、日本政府と日本銀行と統合政府として考えますと、実質的に返済しなければならない政府の負債(日本国民への返済)は減少していることになるからです。

       

       日本銀行はJASDAQに上場しており、55%の株式を日本政府が保有します。そのため、日本銀行の親会社は日本政府ということになり、日本政府にとって日銀は連結子会社となります。連結子会社の日銀が、親会社の日本政府が発行した国債を買い取るとなれば、その債務は帳消しになります。

       

       これはある会社において本店と支店の取引があった場合、連結損益計算書作成時に相殺したり、CMS(キャッシュマネージメントシステム)で、子会社が親会社からお金を借りるという取引があった場合、連結貸借対照表作成時に相殺するということと、全く同じです。

       

       

       

      2.財務省が誤解していることとは?

       

        すり替え論と思われるのは、 先述の共同通信の記事にある「道路やダムの売却が難しく、政府の負債の返済に充当できない」という言説も同様です。政府の借金=政府の負債(Government Debt)は、政府が借り入れているものであって、日本国民が銀行預金や生命保険・損害保険・社会保険料などを通じて日本政府に貸し付けているものであって、国民一人当たり800万円の貸付金が生じているのです。

       

       そもそも財務省は次の点を誤解しています。

      ●政府の目的は財政健全化でもなければ緊縮財政推進でもない

      ●財政健全化の定義は「政府の負債を減らすこと」ではなく、政府の負債対GDP比率を引き下げること

       

       財務省設置法第3条には「健全な財政の確保」というのが明文化されていますが、消費増税で実質賃金が下落して貧困化が進み、生活が苦しくなって自殺者が増えるということがあっても、明文化されている「健全な財政の確保」がゆえに増税や緊縮財政(公共事業削減など)を推進するとするならば、これは「個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重」と明文化している憲法13条と齟齬が生ずるものと私は思います。

       

       そして財政健全化の定義は「政府の負債を減らすこと」ではなく、政府の負債対GDP比率を引き下げることです。もし日本政府が「今日以降、日本政府の財政と日本銀行を統合して扱います!」と宣言してしまえば、それだけで財政健全化が達成されたことになり、デフレ脱却に向けた財政拡大の障害は普通になくなります。

       

       ところがそうなると困る人たち、即ち財務省やマスコミなどこれまで財政破綻を煽ってきた人々らにとって不都合なことが生じます。不都合なこととは何か?といえば、消費増税はやる必要がなく、公共事業を削減するといった緊縮財政も、間違っていたということになります。要は「今まで主張してきたことは間違っていました!ゴメンナサイ!」ということになり、自分たちの立場・メンツが丸つぶれになるのです。

       

       同じようにMMT理論についても、彼らにとっては自分たちの存在を揺るがしかねないヤバイ理論であるため、猛烈なMMT理論批判をしています。

       

       

       

      3.MMT理論とその批判論について

       

       そのMMT理論は、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が提唱している理論で、本ブログでも最近取り上げている話題の一つです。MMT理論の要点は、端的に下記の3つです。

      ー国通貨建ての債務について、ミクロ経済学でいう予算制約は受けない

      ∩瓦討旅餡箸蓮∪源困伴要について実物的な限界という制約を受けることはあり得る

      政府の赤字は民間の黒字である

       

       にもかかわらず財務省は上記 銑に対する反論と関係のない反論をしています。具体的には2019/04/17に財務省はMMT理論への批判について、24ページにもわたる資料として関係者に配布しています。

       

       その中で、MMT理論への批判の言説をたくさん取り上げています。一部を抜粋して原文を皆様にご紹介します。

       

      ■2019年3月15日 黒田日銀総裁会見

      MMTというのは、最近米国でいろいろ議論されているということは承知していますが、必ずしも整合的に体系化された理論ではなくて、いろいろな学者がそれに類した主張をされているということだと思います。そのうえで、それらの方が言っておられる基本的な考え方というのは、自国通貨建て政府債務はデフォルトしないため、財政政策は、財政赤字や債務残高などを考慮せずに、景気安定化に専念すべきだ、ということのようです。

       

      ■ポール・クルーグマン ニューヨーク州立大学、経済学者 2019年2月12日 ニューヨークタイムスへの寄稿

      債務については、経済の持続可能な成長率が利子率より高いか低いかに多くを左右されるだろう。もし、これまでや現在のように成長率が利子率より高いのであれば大きな問題にならないが、金利が成長率より高くなれば債務が雪だるま式に増える可能性がある債務は富全体を超えて無限に大きくなることはできず、残高が増えるほど、人々は高い利子を要求するだろう。つまり、ある時点において、債務の増加を食い止めるために十分大きなプライマリー黒字の達成を強いられるのである。

       

      ■ジェローム・パウエル FRB議長 2019年2月26日 議会証言

      自国通貨で借りられる国にとっては、赤字は問題にならないという考えは全く間違っている(just wrong)と思う。米国の債務は国内総生産(GDP)比でかなり高い水準にある。もっと需要なのは、債務がGDPよりも速いペースで増加している点だ。本当にかなり速いペースだ。歳出削減と歳入拡大が必要となるだろう。

       

      ■ローレンス・サマーズ 元財務相長官 2019年3月4日 ワシントンポストへの寄稿

      MMTには重層的な誤りがある(fallacious at multiple levels)。まず、政府は通貨発行により赤字をゼロコストで調達できるとしているが、実際は政府は利子を払っている。全体の貨幣流通量は多いが、政府によってコントロールできるものではない。第2に、償還期限が来た債務を全て貨幣創造し、デフォルトを免れることができるというのは間違っている。幾つもの途上国が経験してきたようにそうした手法はハイパーインフレを引き起こす。インフレ税を通じた歳入増には限界があり、それを超えるとハイパーインフレが発生する。第3に、MMT論者は閉鎖経済を元に論じることが典型的だが、MMTは為替レートの崩壊を招くだろう。これはインフレ率の上昇、長期金利の上昇、リスクプレミアム、資本逃避、実質賃金の低下を招くだろう。・・・保守にとってもリベラルにとっても、そんなフリーランチは存在しない。

       

      ■ウォーレン・バフェット バークシャー・ハサウェイCEO 2019年3月15日 ブルームバーグインタビュー

      MMTを支持する気にはまったくなれない(I'm not a fan of MMT − not at all)。赤字支出はインフレ急上昇につながりかねず、危険な領域に踏み込む必要もなく、そうした領域がどこにあるのか正確にはわからない。(We don't need to get into danger zones, and we don't know precisely where they are.)

       

      ■ジャネット・イエレン(前FRB議長) 2019年3月25日 クレディ・スイス主催アジア投資家会議

      現代金融理論(MMT)は支持しない(not a fan of MMT)。この提唱者は何がインフレを引き起こすのか混乱している(confused)それ(MMT)は超インフレを招くものであり、非常に誤った理論(very wrong-minded theory)だ

       

      ■クリスティーヌ・ラガルド(IMF専務理事) 2019年4月11日 記者会見

      MMTが本物の万能薬だとわれわれは思っていない。MMTが機能するようなケースは極めて限定的である。現時点でMMTが持続的にプラスの価値をもたらす状況の国があるとは想定されない。(理論の)数式は魅惑的だが、重大な注意事項がある。金利が上がり始めれば(借金が膨張して)罠にはまる。

       

       

       よくもまあこれだけの批判言説をまとめたものです。ある意味で財務省連中の執念を感じます。自分たちのメンツがつぶれて、今まで言ってきたことが間違っていたと恐れるならば、人はここまでできるものなのか?と思います。何しろ上記は1/4程度を抜粋したものなのです。

       

       

       

      4.MMT批判論に対する反論

       

       これらの言説に対して反対論を申し上げます。

       

       国債の「新規」発行は、金利高騰をもたらしません。むしろ下げます。例えば1億円の国債の新規発行&政府支出したとしても、下記の事象をもたらしますが、銀行当座預金は変わらないため、金利高騰はありません。

       

      「銀行の1億円国債購入」=「日銀当座預金1億円縮小」

      「政府支出を受注した業者の1億円小切手の銀行での換金」=「日銀当座預金1億円増加」

       

       そして市場においては1億円の資金供給を意味します。その資金が市中の国債マーケットに流入すれば、むしろ金利は下がることになります。つまり金利は「インフレ/経済成長」によって、資金需要が拡大して初めて上昇するのです。

       

       また「インフレ率に歯止めがかからない・・・」に対しては、例えばインフレ率2%以上4%以下に抑える下記のような具体的な政策が存在します。

       

      (1)上限規律(インフレ率を4%以下に抑える)の具体的な対策

      ●金融政策における金融引き締め(公定歩合引き上げ、法定準備預金利率引上げ、国債売りオペレーションによる公開市場操作)

      ●財政支出の長期投資計画を立てておき、期間中インフレ率が4%を超えてしまったならば、終了年次を先延ばしにして投資速度を落とし、単年度の支出を削減(ただし、インフレ率が2%を下回れば再び加速させる)

      ●所得税、法人税の「累進性」を高く設定

      ●インフレ率が安定的に一定水準を超えれば、自動的に消費税を増税し、中長期的にインフレ率を下落させる(ただし、インフレ率が2%を下回れば、消費税の減税をする)

       

      (2)下限規律(インフレ率を2%以上にする)の具体的な対策

      ●米国でやっているような雇用保障プログラム

      →日本は生産年齢人口の減少で失業率が低いので、むしろ「賃上げ」のための対策の方が、現時点では効果があると思われる。

      ●実質賃金を下げる消費税の減税、最低でもインフレ率が安定的に一定水準(例えば2%)を超えるまで「増税凍結」

      ●長期家投資計画を立て、インフレ率が2%を超えるまで迅速投資し(投資速度を上げ)、単年度の支出を拡大させる

      ●法人税の投資減税・賃上げ減税(&外形標準課税減税)

      ●所得税、法人税の「累進性」を高く設定(低所得者減税)

      ●金融政策については、もちろん「緩和」で現状の通り

       

       上記の具体的な政策が普通に存在しますし、政策施行にあたって制約はありません。このようにMMT理論は「金利」の真実である、国債の「新規」発行が金利高騰をもたらさず、むしろ下げるという事実が盲点になっていると私は思います。

       

       

       というわけで今日は「反論になっていない財務省の”増税不要論”への反論」と題して論説しました。

       日本は「インフレ」「金利高騰」を恐れるあまり、デフレを放置しすぎました。確かに過剰なインフレや金利高騰は回避すべきであるという言説は、その通りです。

       しかしながら、だからといってこれ以上デフレを放置することが正しいか?といえば、いいはずがありません。デフレ放置によって、貧困と格差が広がり、国力が衰退し、揚げ句には中央政府も地方政府も財政が悪化してしまったからです。

       金利とインフレ率と資金供給量の現実的関係を見据えるMMT理論は、過剰なインフレとデフレと戦わなければならないことをのみならず、「金利高騰リスク」の大半が杞憂に過ぎないことも教えてくれています。

       今こそ、勇気をもって「インフレ率2%の安定的実現」に向けた積極財政を展開していただきたいと毎度ながら私は思います。

       

       

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      中身がボロボロの2019年1月〜3月のGDP1次速報の数値

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        JUGEMテーマ:経済成長

         

         今日は、5/20に内閣府から発表されたGDP速報値について取り上げ、「中身がボロボロの2019年1月〜3月のGDP1次速報の数値」と題して論説します。

         

         下記は日本経済新聞の記事です。

        『日本経済新聞 2019/05/20 1〜3月GDP、年率2.1%増 個人消費は0.1%減     

         内閣府が20日発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.1%増だった。2四半期連続のプラス成長となった。10〜12月期は年率換算で1.6%増だった。住宅投資や公共投資の増加がプラス成長に寄与した。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減で、年率では0.3%減だった。

         生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増、年率では3.3%増だった。名目でも2四半期連続のプラスになった。

         実質GDPの内訳は、内需が0.1%分のプラス、外需の寄与度は0.4%分のプラスだった。

         項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。』

         

         

         上記の通り、内閣府が発表した1〜3月GDPの1次速報値は、実質で前期比0.5%増(年率換算2.1%増)、名目は0.8%増(年率3.3%増)となりました。記事では住宅投資と公共投資の増加がプラス成長に寄与したと報じられています。

         

         この件について、内閣府のホームページに掲載のCSVファイルを掲載し、実際に中身を見ていきたいと思います。

         下記は実質GDP・名目GDPの季節調整系列の実額です。(数字が小さくてゴメンナサイ。)

         

        <実質GDP・名目GDPの季節調整系列の実額(字が小さくてゴメンナサイ)>

        (出典:内閣府のホームページに掲載のCSVファイルから引用)

         

         このブログサービスの画面の構成の関係で、大きすぎる図は横にはみ出してしまうため、数字が小さくなってしまうことをご容赦ください。

         

         字が小さくなっている部分(図の赤く丸した部分)を改めて大きく取り上げます。

         

        <実質GDPの10-12と1-3の数値実額>

        民間設備投資:87.7兆円→87.4兆円(▲3,000億円)

        在庫投資:1.8兆円→2.5兆円(△7,000億円)

        公的固定資本形成:24.6兆円→25.0兆円(△4,000億円)

        輸出:93.2兆円→90.9兆円(▲2兆3,000億円)

        輸入:96.8兆円→92.3兆円(▲4兆5,000億円)

         

        <名目GDPの10-12と1-3の数値実額>

        民間設備投資:90.6兆円→89.6兆円(▲1兆円)

        在庫投資:1.9兆円→2.5兆円(△6,000億円)

        公的固定資本形成:26.6兆円→27.1兆円(△5,000億円)

        輸出:101.1兆円→97.6兆円(▲3兆5,000億円)

        輸入:102.9兆円→94.7兆円(▲8兆2,000億円)

         

         

         日本経済新聞の記事では指摘がされていない点がありまして、合わせて見ていただきたく思います。実質GDPと名目GDPの違いについては、関連記事をお読みいただきたく。簡単にいえば実質GDPは直接計算できません。名目GDPを統計算出し、定点観測している物価指数を表すGDPデフレーターを増減して実質GDPを算出します。

         イメージ的には、実質GDPは、商品製品の個数・サービスの回数、名目GDPは、商品製品の値段・サービスの値段ととらえていただければと思います。

         

         そしてGDPと税収の関係は下記の通り。

         

         GDP=個人消費+設備投資+政府支出+純輸出

         純輸出=輸出−輸入

         税収=名目GDP×税収弾性値×税率

         

         

         話を戻しまして実質GDP数値の内容でいえば、輸出と輸入が大きく落ち込んでいることが分かります。輸出の大きな落ち込みは、米中貿易戦争や世界的なデフレでスロートレード(貿易量の減少)によって落ち込んでいると思われますが、一番の要因は米中貿易戦争による影響が大きいと考えられます。

         輸入の落ち込みは、日本がデフレで海外のモノを買うことができるほど、国内消費が旺盛ではないということで、その証拠に個人消費と設備投資はマイナスです。

         在庫投資については見方が微妙で、増えたら増えたで投資が増えたとみる一方、在庫が売れずに積み上げてしまったと考えることもできるため、ポジティブにもネガティブにも捉えられます。

         公的資本形成とは、公共事業を指します。2018年度に2次補正予算で2.7兆円の予算を付けた影響で増えていると思われます。

         

         こうしてみますと、数字的にインパクトが大きいのは”輸入の減少”です。実質GDPで▲4兆5,000億円、名目GDPで▲8兆2,000億円となり、今回のGDP寄与で最も大きく影響した項目です。

         

         GDPをカウントするとき、上記式の通り輸入は控除(マイナス)されます。何が言いたいかといえば、輸入のマイナス、即ち実質GDP4兆5,000億円、名目GDP8兆2,000億円が前期比同水準レベルで推移してプラスマイナスゼロだった場合、GDPは下記の通りとなります。

         

        実質GDP:▲1.3%(実質実額で、534.8兆円→537.6兆円 ⇒ 534.8兆円→533.1兆円 ▲1.7兆円)

        名目GDP:▲2.7%(名目実額で、549.4兆円→554.0兆円 ⇒ 549.4兆円→545.8兆円 ▲3.6兆円)

         

         もしも輸入の減少がなかりせば、1-3のGDPは大きなマイナスだったというのが日本経済の第1四半期の統括です。

         いかがでしょうか?GDPがプラスになったといっても、全然喜べる数字ではないということがご理解いただけるのではないでしょうか?

         

         日本経済新聞の記事には個人消費もマイナスと報じていますが、日本は国力が強い内需国であって、個人消費はGDP530兆円のうち300兆円(約6割弱)を占めます。普通、内需が冷え込むと購買力が下がるため、輸入は減少する傾向にあるのですが、米中貿易戦争などの要因があるとしても、輸入の大きなマイナスについて注目している新聞記事は、私が見る限りありませんでした。

         

         

         というわけで今日は「中身がボロボロの2019年1月〜3月のGDP1次速報の数値」と題して、2019年1月〜3月のGDP1次速報値について論説しました。

         この状況で、消費増税をするなど、鼻で笑うほどあり得ない状況であることを改めて申し上げたいと私は思うのです。

         

         

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           今日は「消費増税10%実施は、日本発のリーマンショック級危機か!」と題して論説します。

           

           安倍政権の側近の萩生田光一氏が消費増税延期をコメントし、4/23には週刊ポストで「消費増税5%への減税が必要!」という言説が出てきたりして、消費増税について雰囲気がガラリと変わった感があります。

           

           昨年の暮れ12月末の時点では、消費増税をするのかしないのか?5分5分くらいのイメージでしたが、4分6分くらいになったような気がします。

           安倍首相の本音は、消費増税10%をやりたくないということだと思われます。何しろアベノミクスがうまくいっていないのは、2014年10月の消費増税8%が原因であるということが、事実でもあると同時に安倍首相も「消費増税8%に引き上げても、消費はV字回復するから大丈夫!」という言説に騙されたと思っている可能性は多分にあります。

           

           米国ではトランプ大統領の経済政策がうまくいっており、実質賃金の上昇率は年率3.2%、失業率は3.8%と過去50年で最低水準にまで下がっています。

           ところが日本は消費増税8%によって、デフレ促進となりました。デフレ脱却を標榜して誕生した第2次安倍政権ですが、明らかにアベノミクスは失敗しています。

           以前にもお見せしたグラフですが、2015年の実質賃金の▲0.8%という数値を100として指数化した折れ線グラフです。

           

          <2015年を100として、1990年〜2018年の期間における実質賃金指数の推移>

          (出典:厚労省のホームページの毎月勤労統計の資料の数値を引用)

           

           オレンジ色の折れ線グラフが示す通り、2014年4月に消費増税8%を施行以降、実質賃金指数は、リーマンショック時ですら回復していないのです。

           米国のトランプ政権の経済運営が好調なのとは対照的に、日本は消費増税8%に加え、緊縮財政によって経済成長できず、国民の貧困化が進んでいるともいえます。

           日本の失業率は米国の3.8%よりも低いという指摘もありますが、それは単に少子高齢化が進んでいて生産年齢人口の減少という環境に起因するものであり、残念ながらアベノミクスとはほとんど関係ありません。むしろアベノミクスでは雇用の質が悪い非正規社員の雇用が増えているというのが実態です。

           

           こうして明らかに消費増税8%は失敗だったという言説が溢れ始め、ついには消費増税延期どころか消費減税5%という言説も登場するなど、状況はガラリと変わりました。

           

           もちろん緊縮財政を推進する財務省を中心としたマスコミは、幼児教育無償化の財源として消費増税10%は避けられないなど、火消しに躍起です。メディアリテラシーが高い人であれば、最近の日本のマスコミ報道で、消費減税の言説をチョロチョロと紹介しながらも、「消費増税10%は決まった!」とか既成事実化しようとする記事も多く見受けられることに、お気付きかと思います。

           

           そんな中、昨日次のような記事がありましたのでご紹介します。

           

          『ロイター通信 2019/05/16 19:58 インタビュー:消費増税凍結必要、実施なら日本発リーマン級危機も=本田氏

           [東京 16日 ロイター] - 前スイス大使で安倍晋三首相の経済アドバイザーとして知られる本田悦朗氏(TMI総合法律事務所顧問)は16日、ロイターとのインタビューの中で、10月に予定されている消費税率引き上げを実施すれば、デフレ脱却が難しくなるだけでなく、日本発のリーマン・ショック級の危機誘発になりかねず、「増税凍結」が適切と述べた。

           また、消費増税を前提とした教育無償化などの財源は、赤字国債発行で充当し、日銀の量的金融緩和で対応すれば、財政・金融の両輪がそろって回り、「一石二鳥」の効果が期待できると主張した。

          <無償化財源は「人材育成国債」発行で>

           本田氏は、大規模な金融緩和と財政出動を重視するリフレ派の代表的な論客。2012年末の第2次安倍政権発足以降、3党合意に基づいた消費税率の引き上げに一貫して反対してきていた。

           特に2014年4月の消費税率5%から8%への引き上げは、「予想以上に長期間にわたり深刻な悪影響を与えた」とみる。

           今年10月に予定通り増税すると、「実質賃金と期待インフレ率が大きく下落し、予想実質金利上昇、デフレに戻ってしまうリスクがある」と懸念。期待インフレ率の低下を招き、実質金利の高止まりから円高リスクを増大させることにもなりかねないと危機感を示した。

           政府は、リーマン・ショック級の事態が起きない限り、予定通り増税するとの見解を繰り返しているが、「むしろ消費増税により日本発でリーマン・ショック級の事態が起きる可能性を懸念すべきだ」と述べた。

           また「単なる増税延期では、いつか増税すると人々は考えるため、消費を手控えてしまうので、増税は凍結すべき」との考えだ。

          消費増税による増収分は、教育無償化など社会保障の安定財源に充てられることが決まっている。このため政界や市場関係者には、増税延期は難しいとの見方が少なくない。

           こうした見解に対し、本田氏は「増税凍結を受けた(消費増などによる)税収増で充て、それでも足りない財源は赤字国債で補えばよい」と提案。「『赤字国債』という名称のイメージが悪ければ『人材育成国債』などではどうだろう」と指摘。国債発行額が増発されれば、日銀が買い入れることの可能な国債の量も増えるため「量的緩和に効果があり、一石二鳥」と主張し、財政と金融が連動して政策効果を上げる利点に注目するべきだとした。

           今の時点での増税凍結は、軽減税率やポイント還元に対応した企業などから反発を招くとの見方もあるが、「今回の増税は税率が10、8、6、5、3%と5種類もの多岐にわたり複雑すぎる上、9カ月の時限措置では恒久増税のショックを和らげる効果も疑問。まだ対応できていない小売店も多く、(増税凍結は)大きな問題にはならないのでは」との見方を示した。

           今後の財政再建のあり方について「消費増税の実施時期はあらかじめカレンダーで決めず、物価や成長率など経済状況を目安にすべき」との見解を示した。

           また「日本の消費税率は確かにスウェーデンなどと比較して低いが、税収に占める間接税比率は十分大きい。財務省悲願の直間比率改善は既に達成されている」と述べた。

           今後の政策運営では「財政赤字を急激に減らさないよう、財政出動を継続してほしい」とした。

           米国などで議論されている国債発行と中央銀行の買い入れをセットにした現代金融理論MMTについては「定義がよく分からない」と慎重な立場。「無制限な国債発行は不可能で、国の純債務を名目国内総生産(GDP)で割った比率が、収束する状態が財政の持続性に重要」と強調した。

           また「財政状況を改善するためにこそ、まずはデフレからの完全脱却が必要。名目成長率が名目金利を上回っている限り、財政状況は改善し、現在その条件を満たしているにもかかわらず、これを壊すべきではない」と強調した。』

           

           

           上記は安倍政権の経済アドバイザーである本田悦郎氏へのインタービューです。本ブログでも本田悦郎氏の論説をご紹介したことがあります。( 安倍首相の経済アドバイザー 本田悦朗氏(駐スイス大使)「増税凍結が望ましい!」 )

           

           消費増税10%に増税すればデフレ脱却が遠のくとはまさに仰る通りです。また最近のマスコミが幼児教育無償化の目玉政策があって消費増税の税収を充当することになっているから、消費増税は避けられないという見方に対しても、本田悦郎氏は、赤字国債を発行すればよいとしています。まさに私がよくいう「国債発行」と「財政出動」の組み合わせで、国債不足も解消できる旨の論説をされておられます。

           

           最後のMMT理論については、中立の立場というか、よくわからないというお立場のようで、そこは少し残念ですが、消費増税についての考え方は、ほぼ私と同一見解です。

           

           赤字国債の「赤字」というイメージで、「借金が悪だ!」とか「借金を将来世代に先送りするのはダメ!」とか、間違った言説が広まっているわけであり、MMT理論のポイントの一つである政府の赤字は民間の黒字、政府の黒字は民間の赤字ということが理解できれば、MMT理論も自ずとご理解できるものと私は思います。

           

           それにしても、消費増税10%が、日本初のリーマンショック級の危機の発生という言説までされておられます。これまた全くその通りであり、欧米諸国と比べて消費税率が低いからとか、これらもクソな言説です。

           

           欧米諸国はケチケチのドイツですら公共事業を1996年比で30%増やしているわけで、公共事業を減らし続けて物価も上昇せず、初任給も1997年から20万円前後で20年以上も変わらないという事実もあり、欧米との消費税率の比較なんか何ら意味がありません。

           

           消費税率を高くしているのは、過激なインフレを抑制してマイルドなインフレにするために消費税率を20%にしておくということはありますが、それは経済が絶好調すぎて投資が過熱が止まらないような状況下であれば、検討の余地はあります。

           

           とはいえ、そもそも消費増税という選択肢そのものがインフレ対策なのですが、未だ日本ではインフレにすらなっていませんので、消費増税という政策自体、選択肢にすら入らないというのが正しい考え方なのです。

           

           

           というわけで今日は「消費増税10%実施は、日本発のリーマンショック級危機か!」と題して論説しました。

           本田悦郎氏が消費増税についてインタビューに答えたロイター通信の記事をご紹介させていただきましたが、皆様はどう思われたでしょうか?「消費増税すべきだ!」などという言説は、鼻で笑うくらい経済をまるで分っていない音痴な人だということが、よくご理解いただけたのではないでしょうか?

           今後行われる日米の通商協議でも、消費増税は輸出補助金の増額ということで米国政府からも懸念されており、最悪通商協議で消費増税するなら米国産の農産物や自動車を最低限○○だけ買え!みたいなミニマムアクセス米ならぬミニマムアクセスカーみたいな要求を飲まざるを得なくなるかもしれません。

           こうしたことを考えても、安倍首相には早々に消費増税の凍結もしくは消費減税5%のメッセージを出していただきたいものと思うのです。

           

           

          〜関連記事〜

          安倍首相の経済アドバイザー 本田悦朗氏(駐スイス大使)「増税凍結が望ましい!」

          ”合わせ技”リーマンショック

          消費増税対策2兆円とは、20m級の津波に対して2mの堤防しかないことを意味する!

          ついに消費減税5%という言説が登場!

          乗数効果について

          増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!

          財政法第4条について(公共事業の費用は国債発行して何ら問題なし!)

          「日銀の円建て国債購入が財政法第5条による財政ファイナンスに該当する」との指摘に対する反論

          政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!

          デフレ脱却のためには財政赤字の拡大が必要です!


          消費増税対策2兆円とは、20m級の津波に対して2mの堤防しかないことを意味する!

          0

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            JUGEMテーマ:消費税

            JUGEMテーマ:年金/財政

             

             今日は「消費増税対策2兆円とは、20m級の津波に対して2mの堤防しかないことを意味する!」と題し、消費増税対策について論説します。

             

             下記は3/27に報じられた日本経済新聞の記事です。

            『日本経済新聞 2019/03/27 23:00 消費増税対策2兆円 19年度予算が成立首相 消費増税へ万全 

             2019年10月の消費増税を前提とした19年度予算が27日の参院本会議で成立した。一般会計総額は過去最大の101兆4571億円で、ポイント還元制度など個人消費を下支えする2兆280億円の増税対策を盛った。安倍晋三首相は消費税率10%への引き上げに向け経済運営に万全を期す考えを示した。

             首相は27日の参院予算委員会で「幼児教育無償化などの政策は消費税の増税分を充てる。消費税を引き上げられる状況をつくり出したい」と表明した。予算成立後、記者団に「世界経済が不透明感を増すなか、予算の早期執行、2兆円の増税対策により経済運営に万全を期したい」と述べた。

             菅義偉官房長官は同日の記者会見で「リーマン・ショック級の出来事が起きない限り、10月に10%に引き上げる」と説明した。リーマン・ショック級の景気悪化をどう判断するかを問われ「発生した状態の状況を踏まえながら判断する」と語った。

             2兆円の増税対策はクレジットカードや電子マネーなど現金を使わずに買い物をした人に最大5%のポイントを還元する制度が柱。システム改修支援なども含め2798億円の国費を確保した。

             2歳以下の子どもがいる世帯と低所得層向けのプレミアム付き商品券に1723億円、住宅購入支援に2085億円をそれぞれ計上。景気の押し上げ効果が高いとされる防災・減災対策に1兆3475億円を充てる

             消費税の増税を前提に、対策費用を盛り込んだ当初予算が成立したのは安倍政権下で初めてだ。

             首相はこれまで14年11月と16年6月に増税の延期を表明した。いずれも当初予算案の閣議決定や成立の前だった。経済活動が混乱しないよう増税予定日から1年ほど前に延期を判断していた。

             予算や税制関連法の成立により、関連業界では準備が進む。住宅業界では4月1日から税率10%が事実上適用される。4月1日以降に注文住宅の請負契約を結び、10月以降に引き渡しを受ける取引には10%が課される。

             小売店などでは飲食料品に8%の軽減税率が適用されるため、複数の税率に対応したシステムを準備している。

             政府は3月20日に公表した月例経済報告で、景気回復が続いているとの認識を維持しつつ、景気の総括判断について表現ぶりを下方修正した。

             首相は「リーマン・ショック級の事態が起きない限り予定通り増税する」と繰り返す。政権内には「金融機能の破綻や東日本大震災並みの災害がなければ引き上げる」との意見が強い。

             増税を延期する場合、消費税法などの税制改正に加え、増税による増収分を盛った19年度予算の減額を措置する補正予算案の国会提出が必要になる。

             国会法の規定で7月28日の参院議員の任期を超えた国会会期の延長はできず、政治日程は窮屈だ。増税を前提に準備が進む企業活動の混乱も避けられない。』

             

             

             上記記事の通り、2019年10月消費増税を前提とした2019年度予算が2019/03/27に参議院本会議で成立し、特に消費増税対策として幼児教育の無償化を政策として打ち出しました。幼児教育の無償化の政策の財源として、消費増税分を充当するとして、消費税を上げられる状況を作り出したいと表明しました。

             

             その後、安倍総理の側近の萩生田氏が、消費増税延期どころか、消費減税5%という言説が飛び出し、消費増税の実施の有無について改めて議論を呼んでいますが、私は、そもそも消費増税には反対の立場であると同時に、幼児教育無償化は経済効果が乏しいと考えております。

             

             幼児教育無償化を肝入りの政策として、そのほかはキャッシュレスでの買い物に対するポイント還元を柱に2兆円の対策ということ自体、そもそも対策として全くの不十分です。

             

             まず、2兆円の対策と別に、幼児教育無償化が経済効果が期待できるか?といえば、経済効果がゼロとまでは言いません。しかしながら公共事業と比べれば、格段に経済効果は落ちます。乗数効果が低い政策だからです。

             

             なぜならば幼児教育無償化で数兆円が使われるとして、幼児を持っている家庭の可処分所得は確かに増えます。その増えた分、全額が消費に回れば、その分が経済効果となります。GDP3面等価の原則で、消費=生産=所得であるため、幼児を持っている家庭の可処分所得の増分を、そのまま全額買い物に充当すれば、他の誰かの所得を生み出すので、必ずそうなります。

             

             公共事業もまた政府支出=民間の生産=民間の所得となるため、しかも無駄だろうが何だろうが、1年以内に予算は必ず執行されるため、公共事業費として予算が付いた分は、用地買収などの土地の取得金を除けば、全額が他の誰かの所得を生み出します。

             

             ここで考えていただきたいのですが、前者の幼児教育無償化がなぜ公共事業よりも乗数効果が低いか?

             

             それは絶対に全額消費に回らないからです。多かれ少なかれ半分程度は貯金に回ります。これは高校の授業無償化の政策も同じですし、公明党が好きな商品券の配布も同じです。こうした政策に共通することは、経済政策として高校の需要無償化や商品券を配布したところで、毎月もらう給料から貯蓄に回るお金が必ずあるということです。

             

             貯金した額は、GDP3面等価の原則でいうところの、消費でも生産でも他の誰かの所得にもならないため、貯金に回った分全額が、経済成長を抑制します。

             

             一方で、消費増税対策の2兆円の対策のうち、キャッシュレスの買い物に対するポイント還元が柱になっています。

             

             ここでよくある言説は、クレジットカードを持っていない人はどうするのか?とか、地方ではキャッシュレスができないなどといった言説もよく耳にします。そうした意見は、それはそれでよいのですが、私はマクロ経済学的に、GDP3面等価の原則で、公共事業よりも経済効果が抑制されるということを、改めて主張すべきではないか?と思うのです。 

             

             また、今回の消費増税で消費減少額が8兆円といわれています。また大和総研の試算で年収1000万以上の残業規制で8兆円のマイナスに加え、オリンピックの特需の減少分で5兆円のマイナスということで、実に20兆円近い経済縮小効果が既に試算されています。

             

             にもかかわらず、ポイント還元とやらも、期間は限定されるうえに、そもそも増税対策が2兆円ということで、あまりにもしょぼい。

             

             正直なところ、20m近い津波が来るという警報があるにもかかわらず、防波堤・防潮堤は2mしかないというのが実情であり、このまま消費増税10%を敢行すれば、日本経済は壊滅的なダメージを受けることになるでしょう。

             

             

             というわけで今日は「消費増税対策2兆円とは、20m級の津波に対して2mの堤防しかないことを意味する!」と題して論説しました。

             先月は「ついに消費減税5%という言説が登場!」という記事も書きましたが、マスコミが消費増税を既成事実として報道しているものの、安倍総理は本当は消費増税をしたくないのでは?とも思え、総理自らが言うのではなく萩生田に言わせたのかもしれないとも思えます。

             いずれにしてもベア前年割れ、輸出も減るという状況で、今後注目すべきは1〜3月のGDP統計です。これが5/20に発表となりますので、ここで数字が思わしくなければ、普通に消費増税は延期、もしくはさらに踏み込んで凍結や5%へ減税ということもあり得ると考えます。

             7月に参議院選挙がある中、野党各党も財政破綻懸念とかいって、共産党・社民党以外は消費増税すべきという考えであるため、安倍総理が消費減税5%を打ち出してW選挙に打って出るならば、自民党が圧勝するというシナリオも考えられるように思います。

             いずれにしても、私は財務省の組織改革まで踏み込まなければならないと思っておりまして、それができるのは安倍政権しかいないかもしれないとも思っております。

             

             

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               今日はゴシップ記事ではないのですが、「ついに消費減税5%という言説が登場!」と題し、NEWSポストセブンの記事を紹介し、国家の財政運営をミクロ経済学でいう予算制約に当てはめる発想、例えば「直間比率是正」が間違っていることを指摘させていただきます。

               

               下記がその記事です。

              『NEWSポストセブン 2019/04/23(火) 16:00 安倍政権、増税延期どころか「消費税5%に下げる」案が浮上

               補選での2敗など求心力に陰りが見えた安倍晋三首相にとって、夏に控える参院選必勝の切り札とされるのが3回目の「消費税増税延期」説だ。

               安倍側近も「景況感次第で延期もあり得る」(萩生田光一・幹事長代行)と示唆しているが、有権者も同じ手には引っかからない。

               そこで浮上しているのが消費税率を5%に引き下げる消費税減税というサプライズである。

               麻生太郎・副総理兼財務相らは増税断行を目指してきたが、4月16日から始まった日米貿易交渉で風向きが変わった。トランプ政権は消費税の輸出戻し税を自動車などへの「輸出補助金」と批判し、10月からの消費増税を問題視したからだ。

               そのうえ景気に急ブレーキがかかる雲行きがある。大和総研が3月に発表した「日本経済中期予測(改訂版)」では、

              2019年以降、トランプ政権の迷走、中国経済や欧州経済の悪化、残業規制の強化、株価下落による個人消費の悪化など内外の様々な下振れリスクが顕在化した場合、日本の実質GDPは最大で3.6%程度減少する可能性がある

               と見ている。リーマンショック当時のGDPマイナス3.7%に匹敵する事態だ。逆に舵を切れば、景気減速を防ぎ、選挙にも有利、米国の圧力もかわす一石三鳥になる。それが「サプライズ減税」の動機のようだ。

               問題は“閣内不一致”だ。日経新聞政治部OBの政治ジャーナリスト・宮崎信行氏が語る。

              「安倍首相が減税を決断すれば、今度こそ増税できると準備を進めてきた麻生財務相は完全に面子を潰され、抗議の辞任をするはずです。第二派閥の麻生派が反安倍に回る。さらに岸田派など党内の財政再建派も黙っていない」

               たとえ選挙を乗り切ったとしても、安倍首相の足元に火が付く。』

               

               

               上記の通り、NEWSポストセブンの記事ですが「消費減税」というキーワードが出てまいりました。本当は存在しない財政破綻を憂い、消費増税で財政再建などとほざく輩(不勉強な国会議員、1流のフリをしたアナリスト、エコノミスト、経済学者ら)からすれば、とんでもない記事だといえるでしょう。

               

               かつて私が大学生だったころ、消費税3%→5%というのが議論されており、私は英文で消費税5%にすべきであることを趣旨とするレポートを書いていました。かくいう私も消費増税賛成論者で、学生の当時の私は、景気に左右されて安定しない直接税(法人税、所得税)を引き下げ、景気に左右されない安定財源として消費税は正しい制度で、消費税率も5%にアップするのが正しいという旨の主張を英文でレポートを書いておりました。

               

               1990年代大蔵大臣だった新党さきがけの武村正義が「財政破綻」を宣言し、1997年には橋本政権の下で構造改革基本法が制定されて消費税も5%が施行されましたが、消費税は5%では足らないのでもっと引き上げるべきとも思っていました。

               

               そのころから言われていたキーワードに「直間比率是正」という言葉があり、先述の直接税を引き下げて間接税を増やすという考え方のことを「直間比率是正」といっていたのです。なぜそんなことをするか?といえば、「景気に左右されない安定財源の確保」ということが目的だったと私は記憶していて、その言説は正しいものと思いこんでいました。

               

               「景気に左右されない安定財源の確保」という件は、今でも消費税議論の際に使われている言説であり、もっともらしく聞こえますが、これはミクロ経済でいう予算制約を国家の財政運営に当てはめているという点で、間違った言説です。

               

               なぜならば国家は経世済民(世を経め、民を済う)のためならば、何をやってもよく、通貨発行権を持つ政府は負債を増やして通貨を供給し、公共事業や公務員を増やして防衛力強化やインフラ運営力強化をしたとしても、何ら問題がないのです。

               

               また財政再建が目的という言説も、多くの国会議員らが主張していますが、これらも間違っています。日本には財政問題が存在しないのです。1000兆円の借金とやらだけを抜き出して、破綻すると騒ぐのは、全くの間違いです。

               

               世界標準の財政問題として、「政府の負債対GDP比率」というのがあり、日本の場合は政府の負債約1000兆円に対して、GDPが500兆円で、200%という水準です。1000兆円が100%自国通貨建てなので、財政破綻しようがないのですが、仮にも200%という数字が高いことが問題であることを指摘するのであれば、それはGDPが減少していることを問題視すべきでしょう。

               

               仮にも政府の負債が増加したとして、その分GDPが増えていれば、「政府の負債対GDP比率」は下がります。GDPと税収の関係は下記の通りです。 

               

               税収=名目GDP×税率×税収弾性値

               GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出

               ※純輸出=輸出−輸入

               

               1997年以降、消費増税5%にして以来、日本は衰退途上国となり、GDPが500兆円で伸び悩んでいるという失われた20年が続ている状況です。

               

               それもそのはず、日本のGDPは約6割が個人消費を占めています。消費税は消費に対する罰則課税でもあるため、消費を抑制します。結果、GDPは伸び悩み、税収も減収します。具体的には安定財源の消費税は、その名の通り安定して税収が確保できる一方で、所得税や法人税は激減します。何しろGDPは会計上は粗利益に相当するため、企業の売り上げは減ることになるのです。

               

               実質賃金が伸び悩む状況下で消費増税10%となれば、普通に2%分は購買力が下がり、物が買えなくなります。その分、企業の売り上げが落ち込むことになるというわけです。

               

               私は、失われた20年となってしまった原因の主因は、バブル崩壊後の緊縮財政が原因であると考えています。インフレ率が10%程度で好景気が続いているようであれば、消費税が3%→5%になったとして、消費・投資が減少することは無かったかもしれません。しかしながら現実は、バブル崩壊で借金返済しまくっている状況で、消費・投資が減少を続ける中で、1997年消費税5%をやってしまったことで、借金返済や貯金を殖やすという形でGDPが伸び悩み続けるという衰退国家の道を歩んでしまったのだと考えます。

               

               この状況を解決するには、消費減税5%というのは普通に考えられる話であり、デフレ脱却を標榜する安倍政権は、本来ならば2014年4月の消費増税8%はやるべきではありませんでした。

               

               アベノミクスの第二の矢の国土強靭化で公共事業をやるならば、普通に国債を発行すればいいだけの話で、財源の心配などする必要がなかったのです。

               

               安倍政権は消費増税10%を本当にやるのか?やれば日本経済は壊滅的となり、GDPは韓国にも抜かれ、その先は中国に蹂躙されることになっていくことでしょう。中国共産党政府に逆らうものは、政治犯として捉えられ、臓器売買の餌となるような将来も考えられるのです。

               

               私たちの世代はともかく、私たちの将来世代がそのような日本に住むことになると考えますと、断固としてデフレ脱却を急ぐべきであって、デフレ脱却を阻害する消費増税10%には反対としかいいようがありません。こうした中、消費減税5%という文言がゴシップ記事とはいえ、出てきたことを私は歓迎したいと思うのです。

               

               政府は借金し放題というMMT理論も国会で議論されていますが、今までの考えが間違っていたという衝撃的な事実を証明するものであり、MMT理論の行方についても見守っていきたいとも思います。

               

               

               というわけで今日は「ついに消費減税5%という言説が登場!」と題して論説しました。

               

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                 今日は「災害対策庁舎の耐震化が遅れているのは緊縮財政が原因です!」と題して論説します。

                 

                 下記は日本経済新聞の記事です。

                『日本経済新聞 2019/03/17 災害対策庁舎、耐震化に遅れ 市町村の18%、財政難で

                 全国の約2割にあたる321市町村で災害時の司令塔となる「災害対策本部」の設置庁舎が、耐震不足であることが総務省消防庁の資料から分かった。財政難のなか、多額の費用がかかる改修や建て替えに踏み切れずにいるためで、ほかの公共施設に比べても対応の遅れが目立つ。被災時に迅速な応急措置の妨げとなる恐れがある。

                 災害対策本部は災害時に被害状況を把握し、応急対策を決める。通信設備や非常用電源の整った本庁舎の会議室などに設ける場合が多い。消防庁によると、2018年3月末時点で全国の1741市町村のうち18%が耐震化を完了できていなかった。

                 学校や診療施設、社会福祉施設などを含めた公共施設全体の耐震化率は93%だった。トップの文教施設は99%に上る。災害対策本部を設置する自治体の庁舎の耐震化率は公民館や体育館なども下回っており、調査対象のなかでも最下位となった。

                 都道府県別にみると、耐震化を終えていない自治体を最も多く抱えるのは北海道で71市町村に上った。道内全市町村の40%にあたる。その一つである稚内市は市役所本庁舎に設置する予定だが、老朽化により耐震強度が足りていない。担当者は「建て替えれば概算40億円以上かかる。財政への影響を抑えなければ市民や議会の理解を得られない」と話す。

                 本庁舎の建て替え・改修には多額の支出が伴う。人口減などで財政難にあえぐ中小の自治体では、同じように住民への説明に苦慮しているところが多い。

                 山口県は47%の市町村が耐震化に対応できておらず、全国で最も割合が高い。市役所本庁舎の耐震強度が足りないと診断された同県防府市では、できるだけ早く新庁舎を整備したい意向だ。ただ、市の防災担当者は「市役所を建て替える経費があるなら住民サービスを高めてほしいという声もある」と苦しい胸の内を明かす。

                 栃木県も全25市町のうち、40%が耐震不足となった。同県足利市は「市民生活に関わる施設の整備が優先される。ごみ処理場や斎場など4施設の建て替えを計画し、それだけで約350億円と財政負担が重い」と説明する。

                 自治体で災害対策本部設置庁舎の耐震化が遅れている状況に対し、消防庁は「災害より目の前の福祉という自治体もある。国としては少しでも早くとお願いするしかない」と話す。災害対策基本法が災害対応の責任は自治体にあると定めているためだ。

                 災害復旧に詳しい東京大学生産技術研究所の沼田宗純准教授は「災害対策本部を設ける庁舎が活用できないと情報伝達のミスが生じやすくなり、応急対応の混乱や復旧の遅延につながる」と指摘。市町村が効果的な災害対応を実施できるよう「災害対応の標準形を学べる訓練プログラムを整備していくべきだ」と訴える。』

                 

                 

                 上記の記事は、全国のおよそ2割にあたる321の市町村で、災害時の司令塔となるはずの災害対策本部、この設置庁舎が耐震不足であることが、総務省・消防庁の調べで分かったというニュースです。

                 

                 これは極めて深刻な問題といわざるを得ません。災害が発生したとき、例えば熊本地震のときがそうだったのですが、災害発生時、救護救援復旧をしなければならないわけで、その司令塔になるのが自治体庁舎です。

                 

                 熊本地震では自治体庁舎が被災し、別のところで救護救援復旧作業をせざるを得ず、結果的に救護救援が遅れてしまいました。これは日本が災害時における救護救援体制について、強靭性が低く脆弱な状況に置かれているということです。

                 

                 政府は国土強靭化を掲げており、その中でも最も重要な対策の一つが指令本部となる自治体の庁舎の建物の強靭化です。自治体の庁舎の建物の強靭性の有無によって、復興の速度が全然変わってしまうからです。

                 

                 下記は消防庁がまとめた施設別の耐震棟数と耐震未対応の棟数とその割合を示したものです。

                (出典:消防庁の資料「消防の動き」2019年3月号より引用)

                 

                 

                 上記資料の通り、学校や診療施設の社会福祉施設などを含めた公共施設全体の耐震化率は93.9%となっており、文教施設に至っては98.5%に達しています。祖日報で、自治体の庁舎は84.0%と調査対象施設の中で最下位となっています。

                 

                 学校は文科省の事業であり、文部科学省で予算をしっかりつければ耐震化を進めることができる一方、自治体庁舎は国の直轄ではなく、自治体の予算で対応しなければなりません。

                 

                 この資料から読み取れることは、地方自治体・市町村都道府県が貧乏になっているということを反映しているといえるのではないでしょうか?

                 

                 なぜ地方自治体・市町村都道府県が貧乏になるかといえば、プライマリーバランス黒字化があるからと思っております。つまり税収以下の支出しかしていないということです。

                 

                 ではなぜ税収以下の支出しかしないかといえば、将来不安があるため、税金で吸い上げたものを借金返済したり、内部留保したりしていて、経済が疲弊しているということにほかならず、前向きな投資ができないのです。

                 

                 学校は子供たちの将来があるため、半分は国の直轄でお金を出すことはあるものの、自治体の建物の耐震化にまでお金を回せないという状況なのでしょう。

                 

                 もちろん地方自治体は、日本政府と異なり、通貨発行権を持ちません。例えばある県庁の庁舎の地下でお金を増刷していたら、普通に通貨偽造で逮捕されます。そのかわり、地方交付税交付金があるわけですが、安倍政権の緊縮財政により、1.1兆円圧縮されています。

                 

                 プライマリーバランス黒字化目標という行政によって、日本政府・財務省の支出圧縮の最大のしわ寄せ・被害が、こうした問題につながっているということです。

                 

                 消防庁は、自治体で災害対策本部の設置庁舎の耐震化が遅れている状況について、とにかく災害よりも目の前の福祉という自治体もあるため、国としては少しでも早くお願いするしかないとしているのですが、地方自治体にお願いするくらいならば、財務省にちゃんと予算をつけろ!という働きかけをしていただきたいものです。

                 

                 

                 というわけで今日は「災害対策庁舎の耐震化が遅れているのは緊縮財政が原因です!」と題して論説しました。

                 この問題は、災害が起きてからでは遅く、起きた後にいろいろ問題になって、どうせまた批判が出ることでしょう。復興が遅れるということの意味は、復興が早ければ救援救護が早ければ助かる命が山ほどあるのに、そうした人々を見殺しにする政策でもあります。いわば財務省の緊縮財政は人殺し政策であると私は思うのです。


                福島県大熊町の避難指示解除について

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                  JUGEMテーマ:東日本大地震や福島第一原発の状況や、被災者の様子、これからの日本について

                  JUGEMテーマ:公共事業の経済効果

                  JUGEMテーマ:東北関東大震災

                  JUGEMテーマ:原発

                   

                   今日は「福島県大熊町の避難指示解除について」と題して論説します。

                   

                   産経新聞の記事を紹介します。

                  『産経新聞 2019/04/14 16:03 避難指示解除の福島・大熊町役場が開庁式

                   東京電力福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされ、今月10日に一部で避難指示が解除された福島県大熊町で14日、安倍晋三首相らが出席し、新しい町役場庁舎の開庁式が行われた。
                   旧庁舎はJR大野駅に近い下野上地区に置かれていたが、原発事故の影響で帰還困難区域となり、現在も解除されていない。旧庁舎から約4キロの大川原地区に置かれる新庁舎は地上2階建てで総工費は約27億4千万円。昨年5月に建設が始まり、今年3月に完成した。通常の行政機能や町議会議場などに加え、広場や町民の交流スペースを設けた。これまでも同地区には連絡事務所が置かれ、証明発行や地区の案内などを担ってきたが、新庁舎開庁で「部署が集中し、連携や情報交換もしやすくなる」(同町)と期待されている。
                   開庁式で安倍首相は「ここからが新たなスタート。政府も生活インフラの復興、産業の再生に総力をあげて取り組みたい」と述べた。渡辺利綱町長は「『ただいま帰りました』。ようやくこの言葉を言える日が来ました」と語った上で、「この新庁舎は復興を必ず実現するという誓いの象徴だ。新たなステージで力強く進みたい」と決意をみせた。
                   新庁舎では5月7日から業務を開始する予定。昨年4月に入庁した税務課の山浦萌子さん(19)は「新庁舎開庁は復興の第一歩。町民の方の困っていることなどをよく聞きながら、自分にできることを尽くしていきたい」と話した。』

                   

                   上記の記事は、東日本大震災以降、東京電力福島第一原発事故によって避難が続く大熊町で、一部避難指示が解除され、2019/04/14に大熊町役場の新役場庁舎の開庁式が開かれ、安倍総理らも出席したというニュースです。

                   

                   双葉町・大熊町の避難解除で、大熊町が先に解除になったことになります。

                   

                   8年経ってようやく一番近い自治体での避難解除が可能となってきたとのことであるものの、8年も経過しており、どれだけ人が戻るのか?未知数です。

                   

                   人々の中には、故郷を愛しているので大熊町に戻りたいという人もいるでしょうが、8年も別のところで暮らしが始まっているため、全員が大熊町に戻るというわけにはいかないと思われます。

                   

                   そういう意味で回復ということでいえば、前途多難であることに違いありません。何とか戻ってもらいたいとしか言いようがありません。

                   

                   仮に戻ってもらうためには仕事がないとどうしようもありません。土地の整備もされていなければ、8年経過することで失ったものは多いはずです。

                   

                   いばらの道としか言いようがありませんが、地元の皆さんには、しっかり頑張っていただきたいと思うのと同時に、政府もしっかりと支援すべきであると私は思います。

                   

                   コミュニティを維持するということでいえば、防波堤・防潮堤などのインフラ整備は最重要です。津波から町民を守るためにも、政府は、そうしたインフラ整備に躊躇なく予算をつけて対応していただきたいものと思うのであります。

                   

                   

                   というわけで今日は「福島県大熊町の避難指示解除について」について述べました。

                   「公共事業が無駄だ!」という誤解を解き、改めて日本には公共事業という需要があるのだと正しい認識を多くの国民が持つべきです。そのためにもプライマリーバランス黒字化目標を破棄し、消費増税を中心とした緊縮財政を辞めさせること、これが新時代の令和で求められているものではないでしょうか?

                   「緊縮財政」「グローバリズム」「構造改革」のダメトリオ真っ盛りだった平成政治との決別し、被災地の復興のため、しっかりと予算をつけて復興を急いでいただきたいものと私は思うのです。

                   

                   

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                  増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!

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                     今日は「増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!」と題して論説します。


                     よく憲法の議論をするとき、憲法9条については耳にされることも多いかと思います。憲法13条とは、どのような内容か?と言いますと、下記のとおりです。

                     

                    『憲法第13条 個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重

                    すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。』

                     

                     端的にいえば、政府は国民の幸福を実現する最大の手助けをしなければならないということです。そのため、立法行為によって政府が国民の幸福を毀損したらダメということになり、即ち憲法13条違反ということになります。

                     

                     例えば財務省はプライマリーバランス黒字化を掲げています。各省庁は設置法という法律に基づき、設置されていますが、財務省も財務省設置法という法律に基づいて存在します。財務省設置法では、健全な財政の確保に基づくという趣旨が書かれており、健全な財政とは政府の財政を指します。

                     

                     とはいえ、日本国家は政府だけが存在するのではありません。政府と民間が一緒になってできた国です。したがって政府の財政が豊かになったとしても、国民の財布が豊かでなければ、国民の幸福は毀損しているといえます。要は増税をたくさんやれば、政府の財政が健全化されるかもしれませんが、国民の財布が空っぽになって貧乏になって不幸になってしまいます。

                     

                     

                    <財務省設置法における任務と所掌事務>

                    (出典:財務省のホームページ)

                     

                     

                     上記は財務省ホームページに記載されているものです。

                     

                     「適正かつ公平な課税の実現」でいう公平の定義は何か?とか、いろいろ突っ込みどころはあります。国民の幸福に資すると捉えることもできるでしょうし、公平の定義によっては、却って国民の幸福を毀損することもあり得るでしょう。「税関業務の運営」や「国庫の適正な管理」ほか、任務の記載がありますが、これらは国民の幸福ではなく、国民の幸福につながらないようなものもあります。

                     

                     その筆頭ともいえるのが「健全な財政の確保」です。私は、財務省設置法にある「健全な財政の確保」というのは憲法13条に抵触しているといえると考えます。

                     

                     他の省庁においても、国交省設置法、厚労省設置法、文科省設置法・・・とありますが、厚労省設置法は、国民の労働や福祉を保障するということで、国民の幸福につながります。国交省設置法にしても、国民生活がちゃんとできるように国土や交通網を整備しましょうということで、国民の幸福につながります。

                     

                     国土交通省でいえば、「国民が不幸になろうがならなかろうが、とにかく道路を作りまくる!」とはなっていません。国民の幸せのために道路を作ります。

                     

                     農林水産省も「国民の生活なんてどうでもよくて、とにかく農業を発展させるんだ!」ではないですし、「東京都のコンクリートを全部はがして農地にしてやるぞ!」とはなりません。

                     

                     ところが財務省の場合、「健全な財政の確保」という文言は、「国民の生活なんてどうでもよくて、とにかく財政の健全化をするんだ!」ということです。

                     

                     よくある言説で、消費増税反対論者に対して、わがままだとか、とにかく消費税を欧米並みにしなければならないとか、これらの言説は、国民の生活を考えているとは言い難く思います。とにかくカネカネカネで、国民のために金を使うのは悪、国民のために政府支出を増やすのは悪、国民のために円建て国債を発行するのは悪、ということであり、こうした言説は明確に憲法13条違反といえるのではないでしょうか。

                     

                     その大前提として政府の負債というものを間違って国民に伝えているマスコミや経済学者、経済評論家、エコノミスト、不勉強な国会議員ら、彼らを責めたくもありますが、記者クラブを使ってそうしたウソの情報をマスコミに垂れ流し、そこに加担する経済学者がいるというのは、少なくても財務省設置法第3条でいう「健全な財政の確保」という文言があるからとしか考えられません。

                     

                     一方で憲法13条によって、政府は国民の幸福を守る義務を負っています。プライマリーバランス黒字化の問題は、政府の財政の赤字を失くすという目標であり、2020年までに財政の収支を黒字化しましょう!赤字化を回避しましょう!予算を削減しましょう!増税しましょう!ということで、こうした考えのもと、政府は機械的に消費増税を敢行し、機械的に支出削減をやってきました。

                     

                     その結果、大不況となって賃金は伸び悩み、貧困化が進み、格差が拡大している状況は、憲法13条違反になっているといえるでしょう。

                     

                     そう考えますと、プライマリーバランス黒字化目標達成に向けた行政そのものが憲法13条違反です。

                     

                     したがって私は、プライマリーバランス黒字化を緩和するか?撤回するか?事実上反故にすべきだと思います。なぜならばプライマリーバランス黒字化目標を達成するよりも、国民の幸福を達成することの方が大事だからですし、憲法13条にもそう謳われているからです。

                     

                     しかしながら現実の日本は、プライマリーバランス黒字化目標があるために、その目標にピッタリ沿う形で、財政支出が調整・操作されています。

                     

                     そのため、増税で経済が悪くなって自殺者が増えたとしても、財務省は「そんなの関係ねー!」とばかりに、「健全な財政の確保」という財務省設置法第3条に基づいて、増税や支出削減をやります。財務省職員が順守しようとしている財務省設置法は、国民の幸福に目を向けない反社会的な法律です。

                     

                     財務省の前は大蔵省だったわけですが、大蔵省もそうした考え方を引き継いでいる可能性があります。以前、財政法第4条について記事を書いたことがあります。

                     

                     この財政法第4条は、作家の佐藤健志氏によれば、GHQによって、日本が再軍備しないように作られた法律だとしています。

                     

                     財政法第4条には次のように書かれています。

                    財政法第4条
                     1.国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
                     2.前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
                     3.第1項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。

                    (出典:杉っ子の独り言「財政法第4条について(公共事業の費用は国債発行して何ら問題なし!)」から抜粋)

                     

                     佐藤健志氏は、上記の青字で書いてある部分が、問題だと指摘しています。この財政法第4条が問題と思えるのは、「1.国の歳出は公債または借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」という”くだり”です。

                     

                     憲法第85条では、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする」とありますので、公共事業で国債を発行することは何ら問題がないのですが、「1.国の歳出は公債または借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」という”くだり”によって、借入金を禁止しているのです。

                     

                     これは憲法9条を守るためにあるものとも言われています。戦争するためには「国債発行」が必要です。1689年に勃発した第2次100年戦争において、英国が戦況を有利に進めた理由の一つとして、1694年にイングランド銀行という中央銀行を設立し、英国ポンドを発行しまくったからともいわれています。通貨発行するのに国債を発行して借り入れを増やしてでも軍事力を強化し、敵と戦わなければならないのが戦争というものだからです。

                     

                     例えば中国と日本とで戦争が始まったとして、「中国共産党の政府さん!今、お金がないから攻めるのを待って欲しいんだけど・・・!」といったところで中国共産党政府は、「そんなの関係ねー!」で待ってくれません。国債を発行してでも資金を調達して戦争に勝ち抜かなければ、日本は中国に蹂躙されてしまうだけです。

                     

                     「国債発行ができなければ戦争計画ができない、戦争遂行できない」ということで、戦争放棄のために憲法9条を守るために財政法第4条があると言われているのは、佐藤健志氏が述べられていました。

                     

                     こうして考えますと、財務省設置法や財政法第4条は、憲法13条と不整合となっており、国会で議論していただきたいと私は思います。憲法13条があるにもかかわらず、財務省設置法や財政法第4条がある理由で、プライマリーバランス黒字化目標行政が遂行されてしまっては、国民が幸福になれないからです。

                     

                     

                     というわけで今日は「増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!」と題して論説しました。

                     財政法第4条をどう変えるか?アイデアが思いつきませんが、財務省設置法の場合ならば、他の省庁と同じように「国民の幸福のために」などという文言を一句加えるだけでもニュアンスが変わります。

                     今の財務省は、プライマリーバランス黒字化目標にこだわるものの、債務対GDP比率にはこだわりません。債務対GDP比率で国家の財政を考えるのは世界標準であり、GDPは国民の幸せを指すともいえます。ところが債務対GDP比率にこだわらないという思考は、国民の幸福など考える必要がなく、財務省設置法に基づく財務省設置の意義だけを考えればよいとする考え方であり、極めて問題であると私は思うのです。

                     

                     

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                    財政法第4条について(公共事業の費用は国債発行して何ら問題なし!)

                    「日銀の円建て国債購入が財政法第5条による財政ファイナンスに該当する」との指摘に対する反論

                    「ホイッ!」と作られた日本国憲法とハーグ陸戦条約第43条

                    政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!

                    緊縮財政ではなく積極財政の方向に進む米国とカナダ

                    財政赤字を増やそうとしたイタリア政府

                    決して他人事ではないイタリアで発生した高架橋崩落事故について

                    デフレ脱却のためには財政赤字の拡大が必要です!

                    「自国で通貨発行・政府支出ができる日本」と「EUに加盟しているためにできないフランス」どっちが愚かなのか?

                    「政府の債務残高対GDP比率3%以下」という”3%”に根拠なし!

                    2020年度プライマリーバランス赤字は8.2兆円!


                    ”個人消費は底堅い”と報じるマヌケなマスコミ報道

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                      JUGEMテーマ:経済成長

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                       今日は「3年ぶりに景気が下方修正された」というブルームバーグの記事をご紹介し、「”個人消費は底堅い”と報じるマヌケなマスコミ報道」と題して論説します。

                       

                       下記がその記事です。

                      『ブルームバーグ 2019/03/20 17:36 景気総括判断を3年ぶり下方修正、輸出や生産の一部に弱さ−月例報告

                       政府は20日発表した3月の月例経済報告で、日本経済の総括判断を2016年3月以来3年ぶりに下方修正した。「景気は緩やかに回復している」との基調判断は維持しながらも、中国経済の減速などの影響を受けて「このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」との表現を追加した。

                       総括判断は18年1月に「緩やかに回復している」へ上方修正されて以降、据え置かれていた。今月の月例報告では、一部に弱さが見られるものの「緩やかに増加」としていた生産を、「おおむね横ばい」へ2カ月連続で下方修正。景気の先行きについても「緩やかな回復が続くことが期待される」との表現を維持しつつ、「当面、一部に弱さが残る」を追加した。

                       政府は1月の月例報告時に、第2次安倍内閣が発足した12年12月からの景気拡大局面が1月で74カ月と「戦後最長になった可能性がある」との認識を示し、その後も維持してきた。景気の山と谷は専門家で構成する内閣府の景気動向指数研究会の議論を基に決定され、通常は判定に1年以上を要する。

                       今月発表された1月の景気動向指数では、一致指数の基調判断が後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に引き下げられた。米中貿易摩擦の影響などから足元で輸出や生産の指標の弱さが目立つ中、日本銀行は15日の金融政策決定会合で海外経済と輸出、生産の現状判断を引き下げた。
                       内閣府は今回の月例報告について、現時点で景気回復が途切れたとは考えておらず、緩やかな回復との認識に変わりはないと説明。国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費と設備投資は増加傾向にあり、雇用・所得環境の改善や高水準の企業収益を背景に、内需中心の緩やかな景気回復が続いているとしている。
                       SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは発表前のリポートで、「日本経済が2019年中に景気後退へ向かう、つまり景気の山が早晩訪れる展開を肯定する」と指摘。19年終盤に世界経済が失速し、日本も下降を余儀なくされることをメインシナリオにしており、「19年序盤にすでに日本経済が景気後退に入ったとは考えていない」としていた。』
                       上記記事の通り、政府は3月の月例経済報告で、景気判断を3年ぶりに引き下げました。
                       中国経済の減速で輸出が落ち込み、企業の生産活動が鈍っているものの、消費の底堅さなどから、景気拡大は続いていると報じています
                       中国経済の減速を主な原因として、国内の景気判断を3カ月ぶりに下方修正したわけですが、正直なところ、データをみればこうしたニュースは鼻で笑うくらいばかばかしい話です。
                       輸出が落ち込んでいるのは間違いありませんが、内需について消費が底堅く推移しているとは、馬鹿らしい話です。なぜならば2014年の消費増税で消費がものすごくひどく落ち込み、それがちょっとずつ回復しているというだけの話です。
                       消費が大きく落ち込んでいるものの、輸出が少しマシになったというだけなのです。
                       何しろ安倍政権になってから26兆円輸出が拡大し、100兆円前後になろうとしています。
                       これはラッキーで外国人の景気がいいので、日本の製品・サービスを買ったというだけの話でもあります。
                       もちろん円安の効果もあるかもしれませんが、このところ米中貿易戦争やブレグジットで先行きが不透明となり、外国人の景気が悪くなったから、少し日本の製品・サービスを買うのを控え、日本の輸出が減ったということです。
                       にもかかわらず、「景気拡大が続いている」という政府当局の判断は、国民をバカにしている話であり、データ改ざんをしてまでして”いざなぎ越え”などとしているのですから、中国や韓国のデータで嘘を並び立てるのと何ら変わらない国に落ちぶれてしまったのか?と落胆せざるを得ません。
                       というわけで今日は「”個人消費は底堅い”と報じるマヌケなマスコミ報道」と題して論説しました。

                       

                       

                      〜関連記事〜

                      景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相


                      官製春闘は効果があったといえるのか?

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                         今日は「官製春闘は効果があったといえるのか?」と題して論説したく、下記の記事を紹介します。

                         

                        『産経新聞 2019/03/13 16:34 【春闘】「額が小幅」「国民の不満・不満感高まる可能性」 識者談話

                         平成31年春闘は13日、主要企業の集中回答日を迎え、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)は前年水準を割り込む回答が相次いだ。専門家に聞いた。

                        ■日本総合研究所の山田久主席研究員

                         ベア自体が継続されたことは評価できる。ただ、額が小幅になっている。春闘の牽引(けんいん)役だったトヨタ自動車がその座を降りたことよりも、政府からの働きかけが弱くなったことが影響した。

                         世界経済の不透明感が固定費の上昇につながるベアを避ける企業心理につながった。企業体力的には賃上げ余地はまだあるが、産業構造の変革に伴い、企業は一律ベアに危機感を持っている。労使だけで自主的な賃上げをしていくことの難しさが示された格好で、官製春闘なしでもベアを維持できる仕組みが必要だ。

                        ■明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト

                         官製春闘が始まって以来、最も厳しい結果となった。ベアは景気の高揚感を演出する側面もある。低調に終われば個人消費が減ることが予想され、景気マインドにも悪影響を与える。要因は米中貿易摩擦を中心とする先行きの不透明感。特に中国の景気が、経営者の予想以上に悪かったということだ。

                         今年は消費税増税を控え、商品を値上げする企業も増える中、肝心の賃金が上昇していかないことで国民の間で政府の施策への不安・不満感が高まっていく可能性がある。

                         

                         

                         上記の記事の通り、今春の春闘では、ベアが前年水準を割り込む回答が相次ぎました。米中貿易摩擦などによる世界的な景気減速懸念を反映し、従業員の基本給を一律引き上げるベースアップについて、先行きの事業環境を見通せない中、経営側は人件費増加につながるベアに対して慎重な判断をしたということです。

                         

                         安倍政権が賃上げを促す官製春闘は薄らぎ、労使のベアへの拘りは後退しているとも言われています。景気が縮み込む局面に入った可能性がある中で、60年余り続いている春闘について岐路を迎えたといえます。今春の春闘についていえば、景気が悪いからできないということに他ならないでしょう。

                         

                         EU離脱、米中貿易戦争などに起因するスロートレードの加速で、先行き不安が増しており、こんな状況ではベアは無理と言わざるを得ません。

                         

                         そもそも官製春闘といっても、結局のところ景気に基づいてベアをやっていた可能性が高いのではないでしょうか?

                         

                         2018年までは輸出がものすごく伸長していますが、春闘をやっている企業はほとんどが輸出関連企業です。

                         

                        <2000年〜2018年における名目GDP実額の推移>

                        (出典:内閣府のホームページのGDP速報から引用)

                         

                         

                         上記は、2000年から2018年にかけての輸出と輸入の名目GDPの推移です。

                         このグラフをみますと、小泉政権下で輸出が60兆円から90兆円以上にも増えていることが分かります。

                         また2009年はリーマンショックで、輸出も輸入も大きく落ち込んだことも一目でわかります。

                         2011年以降、名目実額で輸入>輸出となっている期間がありますが、これは3.11東日本大震災で福島第一原発事故により、原子力発電所が停止し、カタールなどの産油国から高値で石油や天然ガスを買わざるを得ない状況となったことから、実額で輸入額が増加していたということです。

                         安倍政権になってからは輸出が増えて100兆円を超えました。輸出依存が増えたということは、国力が弱体化したともいえます。

                         

                         因みに春闘を実施する企業のほとんどは日立やトヨタ自動車などの輸出関連企業です。

                         

                         官製春闘についていえば、政府のいうことを聞いてベアをやっているふりをしていて、実際はラッキーにも海外が景気がよくて輸出が増えていたからベアを実施し、今年は昨年と比べて輸出が落ち込むからベアを実施しないという状況だったのでは?という疑義を持たざるを得ず、実際に官製春闘がどれだけ効果があったのか?疑問といえます。

                         

                         輸出が伸びて儲かっていたからベアを実施したというだけの話であり、儲かっていないのにベアを実施することはできないのです。

                         

                         自動車業界では日産自動車が前年と同様、要求通りの3000円の満額回答をした一方、本多は前年より300円少ない1400円。長く相場をけん引してきたトヨタ自動車はベアを開示しませんでした。

                         

                         改めて官製春闘の効果については、本当に効果があったのか?疑義があるのと同時に、今後の賃上げは景気が良ければベアはできても、大したもうけがない状況ではベアは無理ということでしょう。

                         

                         何しろ安倍政権下で、景気はすさまじく冷え込んでいます。その冷え込んだ数字を、政府官邸、官僚らが隠そうと毎月勤労統計の不正にまで手を染めている状況です。

                         

                         先のグラフの通り、もともと70兆円程度だった輸出が2018年時点で100兆円となり、輸出関連企業にとってはぼろ儲けの状況だったにもかかわらず、成長率がわずかだったということは、外需の好調がなかりせば、ものすごく経済が衰退していたということを意味します。

                         

                         それだけ内需は大事であり、この状況で消費増税とか、論外中の論外といえるでしょう。

                         

                         

                         というわけで今日は「官製春闘は効果があったといえるのか?」と題して論説しました。


                        ”合わせ技”リーマンショック

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                          JUGEMテーマ:経済成長

                          JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

                           

                           長期間記事の掲載をお休みしてしまい、皆様にご心配おかけしました。今日からまた復活いたします。

                           

                           毎月勤労統計をめぐる不正調査問題は、最近の報道ではやや下火になっていますが、あえて毎月勤労統計の不正調査問題を取り上げながら、「”合わせ技”リーマンショック」と題して論説します。

                           

                           厚生労働省の不正統計問題により、アベノミクスの効果について疑いの目が向けられています。アベノミクスで賃金UPしたとされているのですが、数字が変わるとどうなるでしょうか?

                           

                           官僚の人らは、財務省による緊縮財政の足枷があるため、財政政策をやらずして「どうやってアベノミクスが成功したと報告しようか?」と考えていたものと思われます。

                           

                           普通に財政政策を一発かければ、賃金UP、コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)、GDPデフレーターも上昇し、デフレギャップを埋めてすべての指標が上昇して経済成長に資することは誰でもわかっていることです。

                           

                           ところが、財務省の緊縮財政が原因で、財政政策は禁じ手とされています。

                           

                           首相官邸は、そうした中で安倍政権がアベノミクスを成功させたいということで、各省庁に忖度圧力がかかっていたのでしょう。何しろ、官邸は「ベースアップをやって欲しい!」「3%の賃金のベースアップを!」と官製春闘と呼ばれるものをやってきました。

                           

                           仮にもその意向に沿って3%の賃金が上昇すれば、アベノミクスの目標としては全くいいことではあるのです。

                           

                           しかしながら実際は、財務省の緊縮圧力がかかる中で、財政出動なしにプライマリーバランスを黒字化に改善する前提で、ベースアップ3%を達成するため、苦肉の策で「3%の賃金ベースアップをお願いします!」と頼んでいたというのが実態でしょう。

                           

                           政府は財政出動は一切やらず、それどころか支出削減の緊縮に励み、経団連に「賃金を上げて下さい!」とお願いする官邸に対し、経団連も「頑張ります!」とやってきたのですが、今年は、ついに経団連も「上げられません!」ということになってしまいました。

                           

                           3%賃金UPしたと報告したい人々らにしてみれば、3%上がったらいいなぁー!3%上げるためにはどうしたらいいだろう?と、しかも財政出動なしで・・・、と思っているときに不正に走るのでは?と私は思っています。

                           

                           彼もさすがにデータ操作までしようとまでは思わないでしょう。なぜならば明確な嘘つきになるという認識はあるでしょうから、そこまではしないでしょう。

                           

                           とはいえ、数値データを少しハンドリングしたら、具体的には賃金が上昇している事業所にサンプルを変更してみたら、「あれ?3%上がっている!」となり、「今までと同じ統計手法ではあるが、サンプルを少し変えただけで3%上がっている!」となったら、どうでしょうか?「このまま注釈でサンプル変更を示し、このデータをそのまま使い、黙っておこう!」と考えても不思議ではありません。

                           

                           心理的な話として、「忖度」には明確なウソを言わなくても、ウソであることを黙っておこうということで、都合がいいウソを放置するくらいの力はあります。

                           

                           実際に2018年7月に毎月勤労統計の調査が発表され、厚生労働省のホームページに掲載された賃金統計の推移は下記のとおりです。

                           

                          <厚労省が2018年8月に発表した7月の速報値>

                          (出典:厚生労働省の毎月勤労統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

                           

                           上記グラフの通り、サンプル変更後(青色の折れ線グラフ)は毎月賃金がプラスになっている一方、サンプル変更前(灰色の折れ線グラフ)では6月にプラス0.5%となっている以外は、すべての月でマイナスです。

                           

                           そして当時2018年8月にマスコミはどう報じていたか?下記がその見出しです。

                           

                          ●『ロイター通信 2018/08/07 実質賃金、21年5か月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計』

                          ●『日本経済新聞 2018/08/22 6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計』

                          ●『時事通信 2018/09/07 7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる』

                          ●『毎日新聞 2018/09/07 7月給与総額、前年比1.5%増 12か月連続プラス』

                           

                           このように新聞社各社は、アベノミクスによって賃金UPという成果が表れていると報じていました。

                           

                           これを消費増税を本当にやるのかやらないのか?という観点で考えた場合、どうでしょうか?

                           

                           具体的にいえば、2019年10月に予定されている消費増税UPに影響が出るでしょうか?出ないでしょうか?

                           

                           出るに決まっています。菅官房長官はリーマンショック級の事件が発生すれば、消費増税は延期すると言っており、よほどの事件がなく賃金UPが明確になっているとするならば、消費増税は予定通り実施するということです。

                           

                           ところが実際は賃金が伸び悩んでいるとなれば、判断に迷いが出るでしょう。

                           

                           また、そもそも菅官房長官がいうリーマンショック級の解釈には幅があります。

                           

                           一つは本当にリーマンショック的なものが発生するということなのですが、これは2019年9月までに発生する確率はゼロではなく100%発生するとも言えません。そのため、リーマンショック級の事件が一発というのではなく、「”合わせ技”リーマン」というのが、リーマンショック級という「級」の重要な概念になるものと考えられます。

                           

                           例えば「オリンピック特需の落ち込みで○○兆円マイナス」「年収1000万以上の残業代規制で○○兆円マイナス」「世界貿易のスロートレードで○○兆円マイナス」となり、「全部合わせると状況はリーマンショック級ですよ!」というのが、消費増税延期シナリオとして、一番確率の高いシナリオではないでしょうか?

                           

                           その時に重要なのは足元の賃金がどれだけUPしているか?GDPがどれだけの状況か?コアコアCPI、GDPデフレーターは?・・・と統計的に明らかにしたうえで、まだ○○兆円下がりそうだから・・・というシナリオを描くのが「リーマンショック級」という概念において一番あり得る話ではないかと思うのです。

                           

                           そこに思いっきり影響するのは統計の修正。毎月勤労統計の不正調査問題が発覚して以降、2019年1月23日付で厚労省はデータを修正しました。下記がその修正後の数値をグラフ化したものです。

                           

                          <図 Ъ村祖其盪愎堯癖神27年平均を基準とした場合)>

                          (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

                           

                          <図◆Ъ村祖其盪愎堯2013年度平均を基準とした場合)>

                          (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

                           

                           

                           2014年の消費増税5%→8%実施以降、実質賃金は2013年度水準を回復していないのです。

                           この状況で消費増税というのは、私から見れば論外中の論外としか言いようがありません。

                           

                           様々な直近の統計をみてみますと、日本はリーマンショックが発生せずとも、すでに”合わせ技”リーマンを喰らっていると認識するべきであると私は思います。

                           

                           

                           というわけで今日は「”合わせ技”リーマンショック」と題して論説しました。

                           

                           

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                          政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!

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                             今日は「政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!」と題して論説します。

                             

                             下記は産経新聞の記事です。

                            『産経新聞 2019/01/31 08:47 PB黒字化見通し、1年前倒し 経財諮問会議、中長期試算を提示

                             政府は30日の経済財政諮問会議で、経済財政に関する中長期試算を公表し、2025年度を目標とする基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化時期について、従来試算の27年度から26年度へ1年前倒しするとの見方を示した。社会保障費抑制など歳出改革の効果や最近の税収上積みが反映された。

                             試算によると、高成長ケースでは、消費税増税対策の影響により、昨年7月の従来試算で8兆9000億円と見込んでいた20年度のPB赤字が10兆1000億円に拡大。21年度以降は歳出改革の効果などで従来試算よりも財政状況は改善するとした。昨年6月の新財政健全化計画で設定された21年度の中間指標(1)国内総生産(GDP)比のPB赤字を1.5%程度(2)財政収支の赤字を3%以下(3)債務残高を180%台前半−はいずれも達成するとしている。

                             経済面では、従来試算に比べ足元の潜在成長率や物価上昇ペースが鈍化する一方、消費増税対策の効果で20年度の実質成長率が従来の1.4%から1.6%に上方修正。21年度は消費増税対策の終了で一時的に低下するが従来と同様に23年度には実質成長率2%を達成するとした。

                             名目成長率は従来は21年度に3%に達するとしていたが、1年後ずれして22年度になるとしたほか、名目GDP600兆円の達成時期も22年度と1年ずれ込むとしている。消費者物価上昇率の見通しは、22年度としていた2%の達成時期を23年度に後ずれさせた。』

                             

                             

                             産経新聞のこの記事ですが、もうめちゃくちゃすぎて突っ込みどころが多い記事です。

                             

                             この記事はプライマリーバランスを黒字化にすることが良いことであり、目指すべき財政政策であるという前提で、記事が書かれています。すべてのフレーズが家計簿発想で、しかも財政収支の赤字が3%以下という、EUのマーストリヒト条約にもある「財政赤字対GDP比率3%以下」と同じ発想です。

                             

                             財政収支の赤字が3%以下に納めなければならない、抑制しなければならないというのは、なぜなのでしょうか?また3%以下の3%とは、具体的にどのような学術的な根拠があるのでしょうか?

                             

                             おそらく、エコノミスト、アナリスト、財政に詳しいとされる有識者ら、答えられないでしょう。そんな言説がマスコミを通じて垂れ流され、通説としてまかり通っているのです。

                             

                             標題にも記載の通り、プライマリーバランス黒字は、国民が赤字になるということであり、景気が悪くなって国民が貧困化するということです。逆にプライマリーバランス赤字は、国民が黒字になるということであり、景気が良くなって国民が豊かになるということになります。

                             

                             未だ日本はデフレ脱却できていない状況で、プライマリーバランスを改善するということは、お金を使わないということ、即ち緊縮財政をするということに他なりません。お金を使わない=支出削減ですが、これはGDP3面等価の原則で、支出削減=生産削減=所得削減 となるのでデフレ促進策です。要は緊縮した分だけ経済成長が抑制され、下手すれば経済成長がマイナスになってしまうということでもあります。

                             

                             このような記事で、多くの人が誤解しがちと思いますが、プライマリーバランスが改善されるということは、完全に日本にとっては悪い話です。プライマリーバランスが黒字になるということは、日本人の暮らしがダメになり、かつデフレ脱却から遠のくということなのです。

                             

                             仮にプライマリーバランスが赤字幅が拡大したとなれば、日本国民は黒字となって豊かになるため、いいニュースとなるのですが、この産経新聞の記事は完全に真逆に報じています。

                             

                             こうした記事は産経新聞に限らず、新聞だけでなくテレビニュースも同様に、もうめちゃくちゃです。

                             

                             

                             

                             というわけで今日は「政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!」と題して論説しました。

                             カナダのトルドー首相は、財政赤字1%拡大目標を掲げています。財政収支が赤字になることは、いいことだということを分かっていてやっているのです。

                             日本もそうした知識・見聞をもって、財政運営をしていただきたいと私は思います。

                             

                             

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                            不正統計で修正された毎月勤労統計の実質賃金指数からみる消費増税議論

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                              JUGEMテーマ:消費税

                              JUGEMテーマ:社会保険

                               

                               今日は「不正統計で修正された毎月勤労統計の実質賃金指数からみる消費増税議論」と題して論説します。

                               

                               下記は産経新聞の記事です。

                              『産経新聞 2019/01/24 11:17 3〜6月に追加支給 雇用保険など現受給者に 衆院厚労委で根本厚労相

                               賃金や労働時間の動向を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計」の調査が不適切だった問題で、衆院厚生労働委員会は24日午前、閉会中審査を開いた。問題発覚後初の国会論戦となる。

                               根本匠(たくみ)厚労相は、過少支給が発生した雇用保険などに関し、現在支給を受けている人に対し「3月から順次6月までに、再計算した金額での支給を開始する」と表明した。雇用保険は3月中、労災保険、船員保険は4月中に追加支給を始める。

                              支給が終わっている人に関しては、根本氏は現住所の把握などの作業が必要なことを挙げ「スケジュールの検討にしばらく時間をいただきたい」と述べた。

                               根本氏は同委の冒頭「極めて遺憾であり、国民に迷惑をかけたことを深くおわび申し上げる」と述べた。自身の責任については「先頭に立って信頼回復に取り組んでいきたい」と述べた。

                               この問題では厚労省による「組織的隠蔽(いんぺい)」の有無が論点になっている。厚労省の特別監察委員会の報告書によると、平成29年度に同省の政策統括官(当時)は担当室長(同)から従業員500人以上の事業所の東京都内分について「全数調査を行っていない」との報告を受けた際に「しかるべき手続きを踏んで修正すべきだ」と指示した。

                               根本氏は「しかるべき手続き」の内容について「抽出調査として修正して(総務省の)統計委員会に届けて公表する、ということだと理解する」と述べた。』

                               

                               

                               上記の通り、厚労省が公表する毎月勤労統計の不正調査問題に関連し、過少給付が発生している現在の受給者およそ80万人について、3月から再集計値を反映させた追加支給を開始する方針を決めたというニュースです。

                               

                               また、データ補正が可能な2012年〜2018年分を発表し、現金の給与総額は全ての月で修正される予定とのこと。そして2019/01/23に修正データが公表されました。

                               

                               下記は平成27年度の現金給与総額を100とした場合の、実質賃金指数を表にしたものです。

                              <図 Ъ村祖其盪愎堯癖神27年平均を基準とした場合)>

                              (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

                               

                               

                               

                               上記の資料は平成26年(2014年度)〜平成30年11月までの数値を公表しています。平成26年度は前年比▲2.8%とあるため、平成25年度、即ち2013年度の指数が逆算で算出できます。

                               

                               平成25年度(2013年度)の指数=100.9÷(1-0.028)≒103.8

                               

                               上記式により平成25年度(2013年度)の指数は103.8と算出できました。さらに2013年度平均を基準として、2013年から2017年度の期間の指数を並べて、グラフにしたものが下記の図△任后

                               

                              <図◆Ъ村祖其盪愎堯2013年度平均を基準とした場合)>

                              (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

                               

                               

                               図△離哀薀佞鮓てどう思われるでしょうか?消費増税8%以前の2013年を100とした場合、2014年度以降の実質賃金指数は2013年度水準を全く回復していません。というより、2013年から2014年にかけての落ち込みがひどいことが顕著です。

                               

                               なぜ2013年度から2014年度にかけての落ち込みがひどいのかといえば、もちろん理由は消費増税8%が原因です。

                               

                               どこの誰だったか?消費増税をしたとしても、増税実施した年度は消費が落ち込み、実質賃金も落ち込むが、翌年以降はV字回復するといったのは、どこの経済学者、アナリスト、エコノミスト、国会議員だ?と言いたい。

                               

                               消費増税しても翌年V字回復するなどとは全くのデタラメであることが、ご理解できるのではないでしょうか?図△寮泙貔グラフの通り、V字回復どころかL字のままであることが誰の目で見ても明らかです。

                               

                               これは偶然L字になったわけではありません。デフレ下で消費増税すれば、賃金が増えていないために消費を削減し、それがまた賃金下落を生じさせるということ自体、当然の帰結なのです。なぜならば誰だって毎月の給料が増えないのに、消費増税で強制的に物価が引き上がったモノ・サービスをより多く消費する人はほとんどいないからです。何が言いたいかといえば、消費増税8%に引き上げれば、必ず翌年消費は落ち込み、その後もずっと8%が続くのでL字で回復しないのは当然の帰結であるということです。

                               

                               図,任2014年度から2017年度に加え、2018年度についても1月〜11月の11か月の数値が並んでいます。現金給与総額、きまって支給する給与で、平均93.9、平均99.8となります。消費増税の影響で大きく前年よりも落ち込んだ2014年度からさらに割り込み、その数値ですら2018年度は及ばないというひどい有様です。

                               

                               この状況でも消費増税10%をやるなどとは正気の沙汰とは思えず論外ですし、消費増税10%をやるかやらないか?という議論があること自体、眠い話としか言いようがありません。

                               

                               いずれにしても安倍政権は毎月勤労統計を含む賃金統計の動向も含め、経済政策の有効性をこれまで主張してきましたが、その根拠の信頼性が揺らぐ結果となったことに間違いありません。

                               

                               私はそもそも他のマクロ統計をみていて、辻褄が合わないと思っていました。GDPデフレータがマイナス、コアコアCPIがマイナスが物価下落基調であるにもかかわらず、実質賃金が上昇するというのはどうもオカシイと感じていたのです。なぜならばGDP3面等価の原則で、消費=生産=所得だからです。物価が下落すれば売り上げが落ち込むため、賃金が上昇する原資が生み出せないのです。

                               

                               だからアベノミクスという経済政策は成功しているわけでも何でもありません。雇用についても正社員の雇用が増えているわけではありません。規制緩和で派遣社員が増えているだけの話。

                               

                               さらにいえば、GDPギャップ統計というのもあるのですが、こちらもプラスになっていました。インフレギャップというのは私もよく取り上げますが、インフレギャップは概念的に説明することができても、実際に算出することはできません。が、竹中平蔵氏が潜在GDPの定義を変更したため、インフレギャップが計算できるというおかしな状況があったのです。

                               

                               インチキ統計のGDPインフレギャップもマイナスに修正されます。GDPデフレーターがマイナス、GDPギャップもマイナスとなれば、2018年に実質賃金が上昇するのは、あり得ないと思うわけであり、今回の下方修正は納得できます。

                               

                               世の中の景気を見ても、2019/01/23の日銀の金融政策決定会合で、2019年度の物価上昇率の見通しを従来の1.4%→0.9%に引き下げたばかりです。日銀の物価目標2%を大幅に下回る0.9%です。今後も景気は良くないということが普通に想像できます。

                               

                               

                               というわけで今日は「不正統計で修正された毎月勤労統計の実質賃金指数からみる消費増税議論」と題して論説しました。

                               改めてですが、本当にこの状況で消費増税をやるのでしょうか?菅官房長官はリーマンショック級が起きれば消費増税は延期もあり得るなどと発言しています。

                               これだけ状況が悪ければ、リーマンショック級の経済ショックがなかったとしても、ひどい状況であることが十分に理解できるはず。それが理解できないというのであれば、国会議員の職を辞していただきたいと思うのは私だけでしょうか?

                               菅官房長官に限らず、こうしたマクロ経済を理解できない国会議員は、多くの日本国民に迷惑をかけるため、職を辞していただきたいと思うくらいの話です。

                               消費増税凍結は言うまでもなく、消費減税5%を検討するか否か?が争点になるほどの経済状況であることを、改めて多くの日本国民が認識する必要があるものと私は思うのです。

                               

                               

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                                 連日、政府の不正統計のニュースが報道されていますが、2019年10月に消費増税10%への引き上げが予定されています。こうした中で消費増税対策の内容について意見したく、今日は「全く不十分な消費増税対策」と題して論説します。

                                 

                                 2019年10月に消費増税10%への引き上げが予定されている中で、新たな問題が出てきたのが不正統計事件です。

                                 毎月勤労統計は、景気判断や雇用保険の保険料算出に使われる大変重要なものであるにもかかわらず、調査対象から大企業が抜け落ちていた状態を長期間放置し、2018年から勝手に統計を修正していたということで本当にひどい話です。

                                 

                                 私もGDP統計は、内閣府のホームページからCSVファイルを使い、グラフを作成していますが、そのもとになっている公表数値も、毎月勤労統計が算定データの下にもなっており、極めて重要なデータなのです。

                                 

                                 この不正統計によって雇用保険などが過少給付された人が述べ2000万人程度、金額にして総額567億円にも上るとの報道もありました。

                                 

                                 この事件は統計を軽んじる厚労省の体質というより、日本政府の体質といえるのでは?と私は考えます。

                                 

                                 日本政府の体質が変化し、統計を軽んじて派手でないものに予算を削減し、政府全体が少しずつ「これくらいは、いいんじゃね?」「この程度の数値はちょちょっと改ざんしても、まぁいっかぁー!」と品質が劣化していたのではと推察します。

                                 

                                 政府統計の不正が蔓延する日本国は、一体どうなってしまったということなのか?

                                 

                                 2018年に公表されたデータでは、実質賃金が上がっているように見えていたため、アベノミクスで日本経済が好調になっていると誤解する人が増えます。

                                 

                                 コアコアCPIやGDPデフレータといった数値がマイナスである以上、物価が上昇していないのになぜ賃金は上昇するのだろうか?という疑問を持っていたのですが、その時はサンプル変更によって賃金が上昇しているようにみえたのです。

                                 

                                <賃金統計の推移(2018年1月〜2018年7月>

                                (出典:厚生労働省の毎月均等統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

                                 

                                 

                                 上記データは1月〜7月のデータですが、サンプルを同一事業者にしますと、上記グラフの通り2018年6月のみ0.5%プラスになった以外、すべての月でマイナスです。

                                 

                                 賃金上昇環境下における経済政策と、賃金下落環境下における経済政策は、まるで異なります。日本の根幹で、こんな不正をやられているとは、開いた口がふさがらず話になりません。

                                 

                                 政府はどう対応しているか?といえば、安倍首相は陳謝し、雇用保険、労災保険で給付が少なかった人への追加給付する方針を発表しましたが、間違いがある以上、これは追加給付せざるを得ません。その一方で安倍首相は2019年10月の消費増税への理解を求めています。

                                 

                                 その消費増税については、キャッシュレス決済5%のポイント還元、住宅ローン減税の延長など、各種の消費増税対策を打ち出し、大規模な経済対策で景気悪化を防ぐとしていますが、本当にこれで大丈夫なのでしょうか?

                                 

                                 統計が不正でフェイクという状況を考える必要があるものと私は思います。不正統計は、いきなり統計が不正になるわけではなく、いろんなものが政府の中で不正化しつつあるとみるべきです。

                                 

                                 その一例がこの消費増税対策です。昨年の2018年12月20日(木)17:00〜17:40に開催された財政諮問会議で配布された資料が内閣府のHPに掲載されています。

                                 

                                 配布資料は誰もが見ることができるのですが、その資料の中で、消費増税引き上げの影響が5.2兆円に対し、受益増3.2兆円に加えて新たに2.3兆円(ポイント還元、プレミアム付商品券、住まい給付金など)を対策として盛り込むため、5.5兆円の壁で3000億円多いから十二分に乗り越えられるとの記載があります。

                                 

                                 当該本文の前に、基本的な考え方として次の3点を掲げています。

                                 

                                ○消費税率については、法律で定められたとおり、2019年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げる予定

                                ○前回の3%引上げ時の経験を活かし、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調に影響を及ぼさないよう、全力で対応

                                 [彁・特別の措置を講ずる2019・2020年度予算を通じて、各措置の規模・実施時期をバランスよく組み合わせ、

                                  全体としての財政規律を堅持

                                 各措置の目的を明確化

                                 Lね莎擇啖从儿渋げ革に資する観点も十分踏まえて対応

                                〇消費税率引上げの必要性やその影響を緩和する措置などについて、国民に分かりやすい広報の実施

                                 

                                 

                                  安倍首相もきっと、この資料に目を通しているでしょう。年始の経団連のパーティーでも、消費増税は実施するがおつりがくるくらいの対策を打つので大丈夫!と吹聴されたと予想されます。もちろん、安倍首相もこの資料に不正があるとは思わず、この資料を見て吹聴しているに違いありません。

                                 

                                 ところがこの資料は完全に不正で、5.2兆円増税した分は、まるまる消費が減少するということは過去の統計で実証済みです。消費増税した分が、実質消費が減少するというのは理論的にも過去の実証的にもそうなっているのです。

                                 

                                (出典:総務省の統計データを元に作成)

                                 

                                 

                                 5.2兆円増税すれば、5.2兆円確実に消費が減ります。増税で政府が得た5.3兆円を所得移転で配ったとしても、全額消費に使われるとは限りません。お金を配った場合、全額お金を消費に使えば、その分GDPは増えますが、絶対に全部使うとは限りません。人によってはGDPにカウントされない(=誰の所得にもならない)貯金や借金返済に回す人がいるからなのですが、これはマクロ経済を少し知っている人からすれば、常識の話です。

                                 

                                 私は財政諮問会議の配布資料でウソが書いてあるとまではいいません。5.2兆円増税するが5.5兆円配分するのは事実ですが、「だから大丈夫!」という”だから”というのは、間違っています。いわば「杉っ子は東京の出身です。だから男です。」と言っているようなものであり、東京出身には普通に女性もいるわけですから、「増税するが対策もする。”だから”大丈夫!」とはならないのです。

                                 

                                 上述のようにウソではないもののめちゃくちゃであるということを指摘しておきたいのが一つ目です。

                                 

                                 2つ目は消費税率を10%にした場合、消費が極端に減少します。財政諮問会議では全くそれが考慮されていません。5.2兆円の消費縮小の現象は消費増税以降ずっと続きます。消費税対策のポイント還元やら住まいの給付金やら、それらはすべて短期的な政策であり、期間が終われば消費縮小の現象はむき出しとなって襲ってくるわけですが、そうしたことは財政諮問会議の配布資料には一切記載されておらず、内閣府のホームページに掲載されているのです。

                                 

                                 

                                 

                                 というわけで今日は「全く不十分な消費増税対策」と題して論説しました。

                                 財政諮問会議の配布資料は完全にフェイクで、不正統計が元にもなっています。基本的な考え方の2つ目に「景気の回復基調・・・」という記載があります。

                                 不正統計の結果、実質賃金減少が事実だったとするならば、アベノミクスは全く成果が出ておらずlこの大前提も間違ったことになってしまいます。

                                 不正統計が先か?フェイク資料が先か?鶏と卵どっちが先かという議論もあるかもしれませんが、フェイクの資料が日常的に出されているということもまた、統計を歪めた要因の一つといえるのでは?と私は思うのです。

                                 

                                 

                                〜関連記事〜

                                政府の統計不正改ざんは、社会保障給付を少なくしたいため?それともアベノミクスが成功していると見せかけるため?

                                現金給与総額の前年比増加率に隠されたイカサマ

                                アベノミクスはいいのか?悪いのか?

                                財務省職員の人事評価制度について(増税できた人を評価するのではなく、GDPを増やした人を評価すべき)

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                                森友学園問題!日本国を亡ぼす財務省の人事評価制度に鉄槌を!

                                 

                                 


                                政府の統計不正改ざんは、社会保障給付を少なくしたいため?それともアベノミクスが成功していると見せかけるため?

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                                  JUGEMテーマ:年金/財政

                                   

                                   1/19(土)に、永田町で「安藤裕と語る会」という会合に出席しました。安藤裕さんは、京都選出の国会議員の先生なのですが、スペシャルゲストで、元総務省の官僚をされていた方で、現在は室伏政策研究室の代表をされておられる室伏謙一様がご出席されました。

                                   その中で政府の不正統計についてご講話いただき、会合後の懇親会で私こと杉っ子も意見交換させていただきました。そこで今日は「政府の統計不正改ざんは、社会保障給付を少なくしたいため?それともアベノミクスが成功していると見せかけるため?」と題して、新聞記事を2つご紹介します。

                                   

                                   まずは読売新聞の記事です。

                                  『読売新聞 2019/01/17 がん患者、新たに年99万人…部位別では「大腸」トップ

                                   厚生労働省は、2016年に新たにがんと診断された患者数は延べ99万人を超えたと、17日付で発表した。すべての病院に患者データの届け出を義務付けた「全国がん登録」という新たな制度による初の集計で、日本のがんの実態が判明した。部位別では、大腸がんがトップだった。

                                   全国がん登録は、病院に届け出を義務化したがん登録推進法の施行に伴い、16年から始まった。それ以前の登録制度は任意で、登録漏れが指摘されていた。

                                   集計結果によると、16年のがんの新規患者数は99万5132人(男性56万6575人、女性42万8499人、不明58人)。法施行前の登録をもとにした15年の患者数89万1445人(男性51万926人、女性38万519人)に比べ、10万3687人も多かった。

                                   集計した国立がん研究センターによると、患者数が急増したというより、さらに正確なデータが集まったためとみられる。

                                   部位ごとの患者数を見ると、大腸15万8127人(15・9%)、胃13万4650人(13・5%)、肺12万5454人(12・6%)の順に多かった。

                                   15年と比べると、順位は同じだが、全体に占める割合は、胃や肺で下がった。それぞれ原因となるピロリ菌の感染率や、喫煙率の低下を反映したとみられる。逆に、大腸は0・4ポイント上がっており、食生活の欧米化などの影響がうかがえる。(後略)』

                                  <2016年にがんと診断された患者の部位別順位>

                                  順位 全体 男性 女性
                                  1位

                                  大腸がん

                                  (15万8,127人)

                                  胃がん

                                  (9万2,691人)

                                  乳房がん

                                  (9万4,848人)

                                  2位

                                  胃がん

                                  (13万4,650人)

                                  前立腺がん

                                  (8万9,717人)

                                  大腸がん

                                  (6万8,476人)

                                  3位

                                  肺がん

                                  (12万5,454人)

                                  大腸がん

                                  (8万9,641人)

                                  胃がん

                                  (4万1.959人)

                                  4位

                                  乳房がん

                                  (9万5,525人)

                                  肺がん

                                  (8万3,790人)

                                  肺がん

                                  (4万1,634人)

                                  5位

                                  前立腺がん

                                  (8万9,717人)

                                  肝臓がん

                                  (2万8,480人)

                                  子宮がん

                                  (2万8,076人)

                                   

                                   

                                   上記記事の通りですが2016年で男女合わせて最も多いのは大腸がんが1位で15万8,127人にも上ります。理由は食生活の欧米化とも記事には書かれていますが、こうした統計は、いろんな政策判断のベースとなるものであり、大事なものです。

                                   

                                   それに比べれば、下記は毎日新聞の記事ですが、ひどい話です。

                                  『毎日新聞 2019/01/11 21:24 勤労統計不正 政府統計の信頼失墜

                                   厚生労働省の「毎月勤労統計」の一部調査が不適切な手法で行われていた問題を受け、菅義偉官房長官は11日、勤労統計を含め56ある政府の基幹統計を一斉点検する方針を示した。勤労統計のデータを使った統計で見直しが必要なものも出ているほか、エコノミストからは批判の声も上がっており、信頼回復は容易ではなさそうだ。

                                  政府は、統計法に基づき、勤労統計のほか国勢調査や国民経済計算、法人企業統計など特に重要な統計を基幹統計と定めている。

                                   基幹統計は、調査を受けた側が虚偽報告した場合は罰則があるなど、一般的な統計よりも厳密とされており、政策立案や学術研究にも活用されている。そのため、政府としては基幹統計全体を点検することで信頼回復を図りたい意向。政府統計を統括する総務省の統計委員会も17日に臨時会合を開く予定で、厚労省から報告を受けて具体的な対応策の検討を急ぐ方針だ。

                                   一方、問題は他の統計にも影響している。国内総生産(GDP)と同時に発表される、全雇用者にどれだけ報酬が支払われたかを示す「雇用者報酬」は、勤労統計の給与などのデータを使用している。茂木敏充経済再生担当相は11日の閣議後記者会見で「雇用者報酬は改定が必要になる。今月中にも改定値を公表できるよう準備をさせたい」と話した。

                                   統計を使って分析を行うエコノミストからは、政府統計の信頼性について懸念の声が上がっている。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「何を信じてよいのか分からなくなる。海外投資家からも日本の統計が疑いの目で見られる恐れがある」と指摘。「一斉点検で、他の基幹統計に問題がないとの結果が出ても、『本当に信用していいのか』という疑念は拭えないだろう」と話している。【井出晋平】』

                                   

                                   

                                   上記記事の通り、厚労省の「毎月勤労統計」の一部調査に不正があったというニュースです。

                                   

                                   室伏謙一様は、総務省に入省され、統計の部局にも居られたことがあるということでした。

                                   

                                   室伏様によれば、この事件は、本当にひどい話で、日本はこうした統計ですらできなくなってしまっているほど、落ちぶれてしまったと厳しい論調でした。この事件における室伏様の講話の内容は下記の通りです。

                                   

                                  ●統計は政策判断上、重要なものに成り得るものであるため、粛々とまじめにやってきた

                                  ●統計に対して人材も投入し、部局も作ってお金もたくさんかける

                                  ●それが昔よりだんだんいい加減になってきた

                                  ●統計局部の職員は処遇が立派な処遇がなされない

                                  ●緊縮財政のあおりを受けて切り詰め切り詰めで処遇されない

                                  ●かつては部局があって出世もできた

                                  ●省内でも統計の職員は端っこで、統計なんてどうでもいいという風潮が生まれてきた

                                  ●財務省の緊縮財政で予算を削減する中で、行政を効率化していくと、その時にやり玉に挙げられるのは統計担当の職員

                                  ●(グローバリズム礼讃か?)国連を通じてアジアの外国の人材には人材育成に力を入れている

                                  ●統計担当の数学職はモチベーションが下がっていて、たとえ間違いがあっても見て見ぬふりをした方が都合がいい

                                  ●不正を指摘したら自分の将来に傷がつくので黙っていた方がいい

                                   

                                   以上が室伏様からお話しいただきましたが、私は室伏様のお話を聞いて、2点疑義を持ちました。

                                   

                                   1点目は、統計担当の職員は、事務次官などへの出世がなく、処遇も含めて冷遇されているということ。本来ならば統計は政策判断ですら左右される重要なものであるにもかかわらず、そこに携わる職員を人材育成しようという発想がないということ。しかもグローバリズムでなぜかアジア諸国の外人には人材育成しているくせに・・・というのもあります。

                                   

                                   これでは職員自体がやる気・士気が下がって当たり前。貧すれば鈍するで、統計数字の品質を劣化させる不正の温床になるのは、当然の帰結ではないかということです。

                                   

                                   2点目は、今回のデータが不正だったことで、賃金が上昇しているようになっているということです。これはアベノミクスの成功を見せかけようとしていたのでは?という疑義もあります。

                                   

                                   もちろんこの疑義を証明する術はありませんが、財務省の緊縮発想で「どうしても消費増税は成し遂げなければならない」と考えるならば、そうした疑惑も否定できないものと私は思います。

                                   

                                   今回の統計不正に限らず、安倍政権は公然と数字のごまかしをやってきました。例えばGDP30兆円のかさ上げです。500兆円のGDPを600兆円に増やすというならば、研究開発費をGDPにカウントするよう定義変更したなら、当然630兆円に増やすとして目標値も変わるべきです。

                                   

                                   また2018年の前半では、実質賃金についても、サンプル対象の事業所を入れ替えて賃金統計が高く出るように見せかけているという事件もありました。

                                   

                                  <賃金統計の推移(2018年1月〜2018年7月>

                                  (出典:厚生労働省の毎月勤労統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

                                   

                                   上記の折れ線グラフの通り、同一の事業所でみた場合の実質賃金(灰色の折れ線)はマイナスが継続していますが、サンプル変更後の実質賃金(青色の折れ線)はプラスで推移しています。

                                   

                                   アベノミクスが成功していると見せかけて、都合の悪い数字は見て見ぬふりをしてわざと見ないようにして、「消費増税しても問題なし」「消費増税は何としても実施すべき」と考える人らが、サンプル変更して数値を公表し、サンプル変更を敢えて言わずに公表しているとすれば、手口が悪質としか言いようがありません。

                                   

                                   GDPの定義変更や実質賃金のサンプリング変更が、不正とまではいわなくても、恣意的に留意点を隠蔽したりすることが日常的に行われているとすれば、今回明るみになったような不正があったとしても、誰も指摘しないということはあり得ると考えられます。

                                   

                                   とにかく財務省主導の緊縮財政発想が蔓延したことで、統計という地味な作業ですが大事な部分であるにもかかわらず、コスト削減してしまった。その結果、統計数値の品質が劣化した。これは、もう中国のGDPがデタラメとか、韓国の製品がデタラメとか、言っていられない状況にまで、日本が落ちぶれてしまったということで、大変ヤバイ状況だと私は思います。

                                   

                                   

                                   

                                   というわけで今日は「政府の統計不正改ざんは、社会保障給付を少なくしたいため?それともアベノミクスが成功していると見せかけるため?」と題して論説しました。

                                   経済政策の判断は、全部政府統計を使っているのが普通です。それだけ統計は地味ですが、大事なものといえます。なぜならば、統計が間違っていれば、経済政策の判断を間違えることにつながるからです。

                                   今回の事件で統計官が穏便に済ませて統計担当者だけを処罰するとしたら、私は反対します。むしろ財務省の緊縮発想をやめさせるべく、財務省の人事制度において、緊縮財政が遂行できた人(消費税をはじめとする増税の仕組みを作った人・支出削減をできた人)を評価するのではなく、名目GDPを増やした人が評価されるように、財務省の人事制度を変える必要があると考えます。

                                   そうすれば緊縮財政が破棄され、デフレ脱却を通じて税収も増えていくことになるからです。

                                   

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                                     今日は「ナチスドイツと高橋是清の経済政策」と題し、1929年の米国発の世界大恐慌から速やかに経済が復活できたドイツ経済と日本経済についてお話しします。

                                     

                                     皆さんは、ナチスドイツというと全体主義でアウシュビッツやユダヤ人迫害といったネガティブなイメージをお持ちかと思います。

                                     

                                     ナチスは経済政策については、実にまともな政策をやっていました。

                                     

                                     1914年に第一次世界大戦が勃発し、1919年にベルサイユ条約を締結して、第一次世界大戦は終結しました。

                                     

                                     第一次世界大戦後の1929年に世界恐慌が発生したのですが、1933年にドイツではヒトラー政権が誕生し、ヒャルマル・シャハトを財務責任者に就けて、たったの5年で完全雇用にまで経済を立ち直らせました。

                                     

                                     安倍総理にヒトラーの爪の垢を煎じて飲んでいただきたいと思うほど、ナチスの経済政策はすばらしかったのですが、それよりもすごいのは、日本でありまして、高橋是清の経済政策で、日本はドイツよりもいち早く世界恐慌からの不況から脱することができました。

                                     

                                     よく経営資源の3要素として、ヒト・モノ・カネを3要素として経営について語ることはあるのですが、国家の経済成長に必要なのは何か?経済評論家の三橋貴明氏によれば、「資本」「労働」「技術」「需要」「資源」の5つの要素をあげています。

                                     

                                     上記5要素のうち、一つでも欠けていれば、経済成長できず、給与が生まれないということになります。例えば「市場」が崩壊したとなれば、「資本」「労働」「技術」「資源」があっても所得は発生しません。「市場」とは海外でなくても国内で政府支出によって市場が形成されるものもありますので、「人口が減少するから国内ではダメだ!海外に打って出なければ・・・」ではなく、例えばコメの生産でいえば、政府が高い価格で買い取るので、コメ農家に人にたくさん作ってもらうよう政策をやれば、市場が形成されるという話になります。

                                     

                                     日本は明治維新後、工業化が急速に発展しましたが、資源制約がありました。具体的にいえば資源と鉄がありませんでした。「資源」は経済成長に必要な5要素の1つになります。

                                     

                                     世界恐慌の話に戻りますが、1929年10月にニューヨークの株式バブルが崩壊し、世界大恐慌に突入します。

                                     

                                     米国ではフーバー大統領が、「神の見えざる手」でダイナミックな市場に任せれば、やがて景気は回復するとして、何の政策も打たなかったのです。これをレッセフェール(=自由放任主義)と呼んでいますが、フーバー大統領のレッセフェールによって、米国はとんでもないデフレになりました。当時の日本もデフレになりましたが、その速度は米国と比べて緩やかなデフレだったのですが、それでも10%の物価下落。米国は日本の10%の物価下落よりもさらにひどい状況で、ドイツもひどいデフレに陥り、失業率は一番高くなりました。

                                     

                                    <ドイツの経済指標>

                                     

                                    (出典:「1933-38年におけるナチス期の経済構造」から引用)

                                     

                                     

                                     上記のドイツ経済の指標をご覧いただきますと、下記の事実が理解できるのではないでしょうか。

                                    ●1933年の公共投資2,430ライヒスマルクが、1938年には2.27倍の5,530ライヒスマルクまで倍以上に増額している

                                    ●1933年の軍事支出720ライヒスマルクが、1938年に20倍以上の1550ライヒスマルクまで激増している

                                    ●結果、1932年の失業率43.4%だったのが、1938年には2.0%にまで減少して完全雇用になった

                                     

                                     1932年の失業率43%と高かったのは、第一次世界大戦で1919年に締結したベルサイユ条約で多額の賠償金の義務を負わされたからとか、全く関係ありません。多額の賠償金の義務を負わされても、失業率が高くなることはありません。

                                     

                                     失業率が高くなるということは、所得を生み出せないということであり、「資本」「労働」「技術」「需要」「資源」のうち、稼働できる生産能力は存在していたわけで、「資本」「労働」「技術」「資源」は、あったのですが「需要」が不足していたのです。

                                     

                                     世界大恐慌では日米の物価下落率が10%と超デフレだった以上にドイツはひどい状況だったのですが、理由は総需要が不足して巨大なデフレギャップが発生していたと考えられます。

                                     

                                     この場合、生産者の所得は日に日に減少します。何しろ生産能力があっても買う人がいない状況です。値下げして売らざるを得ず貧困化が進み、デフレスパイラルに陥ったのです。日本ですら失業率10%となり、農村では女子が売られるという状況でした。

                                     

                                     こうした状況で「私たちにお任せください!」といって出てきたのが、1933年1月に誕生したヒトラー政権です。ヒャルマル・シャハトを閣僚に就け、デフレ対策を行い、公共投資でアウトバーンを作り、住宅建設を増やし、軍事を拡大させた結果、わずか5年間で完全雇用にまで景気を回復させたのです。

                                     

                                     当時のドイツ国民にとってのナチス人気は、こうした指標と事実を見れば、想像に容易いかと思います。

                                     

                                     今の自民党、安倍政権は財政出動をやっていません。短期雇用(非正規雇用)が回復しただけで正規雇用は回復していません。しかもその理由は安倍政権のおかげでも、アベノミクス効果でも何でもなく、単に少子高齢化という人口構造上の問題であり、安倍政権の政策の成果でも何でもないのです。

                                     

                                     その点、公共投資を増やして完全雇用にまで景気を回復させたナチス政権の経済政策は、経世済民の観点から完全に正しく、ドイツ国民に支持されたのは十分に理解できます。

                                     

                                     それよりもすごいのが日本です。ナチスよりも正しい政策をやったのが日本で、「ダルマさん」の愛称で知られる高橋是清のデフレ対策です。

                                     

                                     日本は世界大恐慌後に、もっとも早くデフレから抜け出すことができました。日本は1931年大蔵大臣の高橋是清が、金輸出を禁止して管理通貨制度へ移行すると同時に、英国に次いで金本位制を破棄しました。金の保有に制約されずに通貨発行する環境を作ったのです。結果、金の保有高の制約を受けず積極的な財政政策を行い、大量の国公債を発行して公共事業と軍事へ投資しました。

                                     

                                     高橋是清がやったことは、ドイツのヒャルマル・シャハトと同じ政策ですが、ドイツのナチス政権の誕生の1933年よりも2年早く、正しいデフレ対策をやっていたのです。

                                     

                                     日本の場合は1936年にインフレ率が上昇したため、高橋是清は公共事業の削減すべく軍事費を抑制しようとしたのですが、海軍・陸軍と揉めて2・26事件で陸軍の青年将校に暗殺されてしまいました。

                                     

                                     問題はアメリカですが、1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策によって政府支出増をやったのですが、大恐慌不況から抜け出したすぐその後に、財政均衡を図って公共事業の削減を始めました。その結果、1936年以降、ルーズベルト恐慌となり、失業率は13%を下回ることができませんでした。ルーズベルト大統領の在任期間は1933年〜1937年ですが、下記の折れ線グラフで1933年〜1937年を見ていただきたいのですが、15%を下回ることなく推移しているのがお判りいただけるかと思います。

                                     

                                    <米国の経済指標>

                                    (出典:「アメリカ歴史統計”第挟」から引用)

                                     

                                    (出典:「米国経済統計年鑑2007」から引用)

                                     

                                     

                                     フランクリン・ルーズベルト大統領が、財政出動した後すぐに財政均衡でアクセルを踏むのをやめて、ルーズベルト恐慌になったというのは、今の安倍政権の政策と似ていると思うのです。第2次安倍政権発足時の2013年こそ、国土強靭化で政府支出増により、名目GDPで△1.9%、税収で△6.9%を果たしたにもかかわらず、2014年に消費増税を行い、景気が失速して、物価上昇目標2%は到達できず、実質賃金の上昇も果たせず、少子高齢化でアベノミクスとは関係なく非正規雇用の数が増えただけという状況です。

                                     

                                     ドイツのナチス政権、ダルマ大将こと高橋是清、フランクリン・ルーズベルト大統領、これらを比較した場合、ナチス政権と高橋是清のデフレ対策が優れているのは明確だと思いますが、安倍政権は残念ながらルーズベルト大統領に近いことをやってしまっています。

                                     

                                     安倍政権の成果と言われている失業率3%台は、確かに完全雇用の状態といえるわけですが、これは何もアベノミクスのおかげでも何でもありません。少子高齢化という環境でたまたまそうなっただけのこと。アベノミクスの成果でも何でもないのです。

                                     

                                     

                                     というわけで今日は「ナチスドイツと高橋是清の経済政策」と題して論説しました。

                                     ナチスというと過激なナショナリズムとかジェノサイドでユダヤ人を迫害したなど、確かにネガティブな史実があることは事実なのですが、純粋に経済政策だけをみていますと、ナチス政権の評価も変わってくるのではないでしょうか?

                                     ぜひ安倍政権にも見習って欲しいですし、国会議員の人々も、こうした史実を理解した上で、正しい政策を遂行できるようにしていただきたいものと、私は思うのです。


                                    IMFとはどういう機関なのか?

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                                      JUGEMテーマ:プライマリーバランス

                                       

                                       今日は「IMFとはどういう機関なのか?」と題し、IMFについて述べたいと思います。

                                       

                                       私は2014年の年末にニューヨークに行った際、世界銀行とIMFの建物を見に行きました。場所はワシントンでホワイトハウスからも近くにあります。

                                       

                                      <世界銀行とIMF>

                                       

                                      (出典:2014年12月31日に杉っ子が撮影)

                                       

                                       IMFというのは、国連の専門機関の一つであり、1944年のブレトンウッズ体制で創設された機関です。創設にあたっては、第二次大戦中に戦後を見据え、ジョン・メイナード・ケインズ氏も尽力したといわれています。

                                       

                                       どんな機関なのか?と申しますと、加盟国の出資によって設けた基金で、短期融資によって困った国に融資し、国家運営の円滑化を図るということで、日本も1952年に加盟しました。

                                       

                                       端的にいえば国家が傾いたときに、その国家が加盟国であるならば、IMFからお金を借りられるというものなのですが、私に言われせれば、このIMFはとんでもない国際金融機関であるといえます。

                                       

                                       韓国経済がダメになった理由の一つとして、IMFが一因であると思っています。なぜならば、お金を貸す代わりに、とんでもない条件を付けられるからです。

                                       

                                       とんでもない条件とは、お金を借りたとたんに、超緊縮財政を要求します。プライマリーバランス黒字化達成をものすごく強要されます。

                                       

                                       お金を借りる側からすれば、緊縮財政をすればするほど税収が落ち込むため、プライマリーバランス黒字化なんて棚上げか破棄したいわけですが、それを許してくれないのがIMFです。

                                       

                                       そして背に腹は代えられず、IMFの言う通り緊縮財政の条件を飲む形でお金を借ります。

                                       

                                       結果、IMFから緊縮財政を要求されているがゆえに増税してお金を返すように言われるということで、大変悪名高い国際金融機関といえます。

                                       

                                       日本の場合、プライマリーバランスどころか、IMFからお金を借りる必要がないくらいです。そもそも日本円はハードカレンシーですし、IMFから借りるお金の通貨は米ドルです。米ドルなんて日本政府に必要ありません。石油輸入や穀物など食糧輸入の決済通貨は米ドルですが、日本円そのものがハードカレンシーであるため、普通に米ドルと交換ができるためです。

                                       

                                       これが韓国の場合、韓国ウォンはハードカレンシーでなく、ローカルカレンシーであるため、米ドルとの交換が普通にできなくなることがあります。例えば外貨準備高が不足していたり、発展途上国であるために韓国ウォンと米ドルの交換レートが極端に悪くなったりするのです。

                                       

                                       ギリシャの場合は、共通通貨建て債務のユーロ債務で苦しみましたが、ギリシャはIMFやECB(欧州中央銀行)からプライマリーバランス黒字化を強要されて結果的に税収が落ち込んで財政破綻しました。

                                       

                                       韓国経済も地獄のようなことになっているわけですが、韓国の場合は1997年にアジア通貨危機が発生し、IMFからお金を借りた後、徹底的な構造改革と緊縮財政をやったことで韓国には中小企業がなくなり、大手企業しか残らなくなりました。

                                       

                                       今の韓国経済が、地獄のように陥ったのは、IMFがもたらしたものともいえると私は思っています。

                                       

                                       なぜならばIMFは経済が生き物で、お金は循環するものであるにもかかわらず、それらを理解せずに軽薄な思い込みで、新自由主義的な思い込みで、間違った政策ばかりを強要します。

                                       

                                       最近でこそ、日本に対して公共事業を増やすべきであるというまともな言説も出ていますが、未だに意味不明な劣悪なレポートを出してもいます。

                                       

                                       そもそもIMFとはどういう機関なのか?

                                       

                                       IMFに所属する人々は、世界から集まります。その人らがIMFとして日本のレポートを書かせるとすれば、誰に書かせるのでしょうか?

                                       

                                       いうまでもなく日本人です。もちろん日本人以外の他国の人にもサポートしてもらうことはあったとしても、日本人が中心になって書きます。財務省職員やらがIMFに出向してという形で日本人が書きます。

                                       

                                       そのため緊縮財政を是とする日本の財務省職員が、IMFの名を借りてレポートを書くという手口で、意味不明な劣悪レポートが出され続けるということになります。

                                       

                                       普通の経済学者、エコノミスト、アナリストやちょっと知ったかの経済通の人からみれば、国連の専門機関の一つのIMFが書いてあるだから間違いないと思いがちですが、実際は財務省職員が中心となって書いてあるものであり、財務省は省益確保のためには普通にデタラメや捏造する集団でもあります。

                                       

                                       例えばIMFによれば、日本の労働市場における外国人労働者の占める割合が2%程度と世界で最低水準であるから、労働市場の改革によって外国人労働者の割合を高めるべきなどといっていますが、むしろ外国人労働者がなくてもやって来られたというのは大変立派なことです。

                                       

                                       外国人労働者の割合が高ければいいという価値観そのものが、労働市場におけるインフレギャップ、デフレギャップや生産性向上による経済成長を無視した暴論です。

                                       

                                       むしろ外国人労働者を受け入れた米国や英国や欧州諸国がおかしくなっているという事実を踏まえて論じられるべきであり、私たちもIMFのレポートを鵜呑みにしてはいけないないのです。

                                       

                                       

                                       というわけで今日はIMFという機関について述べました。

                                       

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                                      IMFレポートはフェイクニュースならぬフェイクレポートか?

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                                         今日は「IMFレポートはフェイクニュースならぬフェイクレポートか?」と題して論説します。

                                         

                                         昨年の2018/11/28にIMFが日本の経済情報を分析する報告書を公表し、日本が人口減少によって今後40年で実質GDPが25%以上減少しかねないとする試算を示しました。このレポートについて猛烈に反論させていただきたいと思います。

                                         

                                         下記は時事通信のニュースです。

                                        『時事通信 2018/11/29 00:13 日本のGDP、今後40年で25%減=外国人材の拡大検討を−IMF

                                        【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は28日、日本経済の年次審査報告書を発表し、高齢化による人口減少で「実質GDP(国内総生産)は今後40年で25%以上落ち込む恐れがある」と予測した。労働力を確保して成長を継続させるため、外国人労働者の受け入れ拡大などを選択肢として検討するよう提言した。

                                         IMFによると、日本の労働人口に占める外国人の割合は2%程度と世界でも最低水準。適切な受け入れ規模は各国が判断すべきだとしつつ、「日本の場合は特に技能を持つ外国人(の受け入れ拡大)が役立つ」(審査担当者のポール・カシン氏)との見方を示した。
                                         IMFは、日本の高齢化に言及し、早急な改革に取り組まなければ成長力が落ち込むと分析。「女性や高齢者、外国人労働者のさらなる活用は人口減(問題)を一部補う」と検討を提案し、賃上げを図る所得政策の重要性も強調した。(2018/11/29-00:13) 』

                                         

                                         

                                         上記記事の通り、今後40年間で実質GDPが25%以上落ち込むとし、労働力確保によって経済成長を高めるため、外国人労働者受入拡大を選択肢として検討するよう提言したとしています。

                                         

                                         私は、IMFのホームページで、この報告書とやらを探したのですが、見当たらず。しかしながら2018年11月28日プレスリリースというのを発見しました。そこには今後40年でGDPが25%以上落ち込むという記述が見当たりませんでしたが、「2018年 対4条協議終了に当たっての記者会見」という2018年10月4日発信のページに、その数値が記載されていました。下記はその抜粋です。

                                        以上、背景として申し上げた上で、私から四つの要素について述べてみたいと思います。この数週間での作業を受けての結果です。

                                        まず、アベノミクスが始まって6年目に入り、相当な成果が上がっています。三本の矢のおかげです。第一に、デフレリスクは後退しました。第二に、財政赤字は大幅に減っています。第三に、失業率もとても低いです。第四に、かなりの女性が就業するようになっています。しかし、インフレは日銀の目標2%をまだ大幅に下回っており、公的債務もまだ持続可能なところまで戻っていません。家計の所得も低迷中です。われわれの見解によると、こういった課題はさらに肥大化するのではないかと思っています。というのは、日本は高齢化および人口減少を続けるからです。われわれの評価としては、人口と経済の規模は、向こう40年間で約25%減るのではないかと思っています。これが第1点です。

                                        ということは、新鮮な目でアベノミクスを見る必要があります。そのためには力強い政策が必要だと思っています。基本的なわれわれの見解によると、アベノミクスの原則は有効であると思います。でも、これをもっと拡大し、持続可能にし、加速化する必要があります。より重要なことは、三本の矢をパッケージとして総動員するということです。それができれば、お互いに強化し合うことができるからです。

                                        3点目、フォーカスは今後、日本のマクロ経済政策の余地を再生していくということになります。現状によると、財政政策も金融政策もぎりぎりのところまで広げてきて、ショック対応の余地が限定的になっています。短期的な財政政策は成長を守るべきです。成長志向にならなくてはなりません。この脈絡では、消費増税がその一助となります。医療、年金などの経費充当の一助となり、財政再建を後押ししてくれるからです。しかし、われわれのリコメンデーションとしては、2019年の消費税引き上げは慎重にデザインされた緩和政策とセットであるべきと思っています。短期的なリフレを守る、成長のはずみを守るためです。少なくとも向こう2年間、フィスカルスタンスは中立であるべきだと思っています。

                                        短期を超えるということになると、今回の引き上げに次いで、漸進的な小幅な引き上げがあるべきと思っています。中長期的には、信頼できる、具体的な財政戦略を取ることが必要かと思います。公的債務を管理するため、高齢化関連のコストに応えるためです。日銀が堅持なさっている金融緩和をわれわれは支持しています。2%のインフレ目標を達成するという日銀のイニシアティブを、金融政策を持続可能にするという点で歓迎します。

                                        4点目、アベノミクスを再活性化することは、第三の矢、すなわち構造改革をさらにやることができるかに多分にかかっています。構造改革はいろいろとやることができます。その中でも、労働市場改革が最重点策ではないかと思っています。そして、これによって最大限の便益が得られると思います。労働者の生産性が高まり、デマンドの刺激も、賃金および物価につながる、そしてインフレに役立つからです。これが最重点策と思っているのですが、これに加えて、製品市場の改革、コーポレートガバナンス改革、貿易の自由化も進めるということだと思います。既に日本は後者においてはリーダーです。こういった改革は法制化する必要があり、実施しなくてはいけない、深さを持たなくてはいけない、そして信頼できるものでなくてはいけません。日本および日本国民がアベノミクスのメリットを最大限享受し、それを促進するために。

                                         

                                         外国人労働者の受入は、上記抜粋に見当たりませんでしたが、時事通信の記事の通り、2018年11月28日発信のプレスリリースには外国人労働者受入拡大を匂わせる記述がありました。

                                         

                                         トランプ大統領風にいえば、CNNやニューヨークタイムズやらマスコミのことをフェイクニュースといい、日本でも朝日新聞や毎日新聞がとんでもないと思いきや、日本経済新聞でさえも経済記事はフェイクニュースといえます。その論調でいえば、このIMFレポートもまたフェイクレポートといえるでしょう。

                                         

                                         韓国の文在寅大統領が経済を全く理解せず、韓国経済が瀕死の状態に陥っているということをお伝えしました。(記事名:「文在寅大統領が”コンクリートから人へ!”をやって疲弊した韓国経済」)適当な思い込みで”コンクリートから人へ”を推進して経済が疲弊しているのが韓国ですが、記事の内容からIMFレポートの内容は、文在寅大統領と同等レベルの劣悪レポートです。

                                         

                                         まず第一に高齢化による人口減少で、40年後に実質GDPが25%減少するという指摘について、そもそも経済のGDP成長即ち国民所得がどうすれば増加するのか?という認識が全くありません。

                                         

                                         一人当たり賃金も消費量も40年間変わらないという前提であるならば、人口減少した場合にその分減少すると言いたいのかもしれませんが、その言説自体が全くの誤りです。

                                         

                                         人手不足という状況は、労働市場において「需要>供給」というインフレギャップの状態であるため、賃金が上がる状況を創出できる環境にあるということを意味します。賃金上昇を通じて、人手不足を放置すれば、賃金上昇→所得上昇となって消費が増えるというメカニズムが駆動するという意味で、人手が余るよりも人手不足の方が経済成長でき得る環境といえます。

                                         

                                         安易に外国人労働者を受け入れるならば、賃金上昇が抑制され、消費が伸びず経済成長ができないメカニズムがあるということは、労働市場をみれば一目瞭然な話です。

                                         

                                         それを全く理解せず、移民政策推進を側面支援するために、IMFは報告書を書いているのでは?という疑義が濃厚なレポートであるという点が第一です。

                                         

                                         第二に外国人労働者を受け入れるとなれば、彼らだって人間です。人間を入れるとなれば日本社会に溶け込む能力が低い人々がいたとしても、外国人であればある意味当たり前の話。そのため文化や言葉も知らないということで彼らが失業し、彼らの対策のためのコストを税金で補てんするということで、どう考えても余計なコストです。日本人のニートやら失業者や生活保護受給者らの職業訓練のために税金で補てんするのであれば、必要なコストといえるでしょう。自国民ファーストを是とすれば、同じお金をかけるとしても後者の方にコストをかけるべきでは?という話になるでしょう。

                                         

                                         「外国人が大量に入ってくる=経済成長の足枷」ということを理解していないため、外国人労働者受入が経済成長を低下させる要因になるとの認識が全く欠如しているという点を指摘できます。

                                         

                                         以上の2点の通り、人手不足のメリットを認識せず、外国人労働者が日本国内に大量にいることで余計なコストがかかるという点で、このIMFレポートは到底信頼に足らないフェイクレポートであると断言します。

                                         

                                         皆さんは、IMFといえば、世界の名だたる権威ある機関であり、レポート内容がフェイクであるなどとは、にわかに信じがたいでしょう。しかしながら、言葉尻だけではなく報告書の内容の全容を見るに、マクロ経済を理解しているフリをしているだけの中身のないレポートです。

                                         

                                         少なくても労働市場におけるインフレギャップ、デフレギャップというものを全く認識していないレポートです。

                                         

                                         

                                         というわけで今日は「IMFレポートはフェイクニュースならぬフェイクレポートか?」と題して論説しました。


                                        消費増税をしなくてもリーマンショック級の経済低迷に陥る日本

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                                           今日は「消費増税をしなくてもリーマンショック級の経済低迷に陥る日本」と題して論説します。

                                           

                                           まずは過去最大となった一般会計101兆円について報じている時事通信の記事を紹介します。

                                          『時事通信 2018/12/13 11:53 一般会計101兆円前後=過去最大、消費増税対策で膨張19年度予算案

                                           政府は13日、2019年度予算案について、一般会計総額を過去最大の101兆円前後とする方向で調整に入った。19年10月の消費税増税に備えた景気対策で歳出が膨らみ、当初予算段階で初めて100兆円の大台を突破する。税収は過去最高の62兆円程度を見込むが、歳出拡大も止まらず、財政再建が進むかは不透明だ。

                                           安倍晋三首相は「経済再生なくして財政健全化なし」との方針で、消費税増税に伴う景気の腰折れ対策に万全の対応を打ち出す構え。21日の閣議決定を目指す。
                                           歳出総額は、過去最大だった18年度当初予算の97兆7128億円を約3兆円上回る。消費税増税に備え、2兆円規模の景気対策を実施。中小の小売店で現金を使わないキャッシュレス決済時に最大5%のポイントを還元するほか、低所得者向けに公費負担で購入額以上の買い物ができる「プレミアム付き商品券」を発行。今夏の自然災害を踏まえ、重要インフラの防災対策も強化する。
                                           高齢化に伴う社会保障費(前年度32兆9732億円)の自然増は、臨時の薬価改定などを通じて1000億円程度抑制するが、5000億円弱の伸びは避けられない見通し。消費税収の一部を投じて幼児教育無償化なども盛り込む。』

                                           

                                           上記の記事の通り、2019年度の一般会計が101兆円となり、過去最大となりました。そのうえで、歳入では来年2019年の消費増税と、堅調な企業業績を背景に62兆円を超え、過去最高を更新するものの、歳出拡大で支出が税収を大きく上回る借金頼みの財政状況は変わらないと報じています。

                                           

                                           相変わらず財政再建とか歳出拡大が悪とか、その報道自体が間違っています。日本は財政問題は存在しませんし、GDPデフレーター、コアコアCPI(生鮮食品とエネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)が2%以上を継続的に推移するようになるまでは、デフレ脱却したとは言い切れず、歳出拡大はむしろ推進するべきであって財政赤字を拡大させるのが正しい経済政策です。

                                           

                                           ただ”過去最大101兆円の一般会計”という報じ方は、いかにも「歳出拡大しているぞ!」ということなのですが、これにはカラクリがあります。

                                           

                                           一般会計という言葉は、当初予算という言い方もします。普通は毎年、当初予算は減らないというイメージがある一方、補正予算はその年によって増減し、例えば今年は補正予算を10兆円出したとしても、次年度はゼロということもあり得ます。補正予算とは異なり、一般会計は絶対減らないというイメージがあるのです。

                                           

                                           そして今回の一般会計には、消費増税対策の特別枠が入っています。この特別枠は、当初予算枠に入っているものの、実は完全に補正予算と同じ扱いです。

                                           

                                           消費増税対策期間の2年間は骨太方針に書かれているものであり、2019年度と2020年度の2か年は特別期間で、この期間は消費増税対策が必要となるため、特別枠を設けるということであって、仮に消費増税対策で2兆円増えていても、将来その分減ることが予定されています。

                                           

                                           一般会計101兆円といっても、少なくても消費増税対策2兆円は入れないのが正しく、時事通信のような報道内容だと「100兆円を超えた!すごい!」とミスリードさせることを通じて、日本国民に政府がお金をたくさん使っているという印象操作されているといえるでしょう。

                                           

                                           もちろん100兆円超えたのは事実で、過去最大といえば本当なのですが、特別枠という特別なものが入っていることは、財務省が意図的に無視して敢えて触れずに説明している可能性が高いのです。

                                           

                                           巷ではキャッシュレス決済時のポイント還元、自動車税、住宅の税金などなど、消費増税があたかも決まったようなニュースが氾濫していますが、今の世界情勢をみれば、消費増税をしないで経済対策をしなければいけない状況でしょう。

                                           

                                           大和総研の試算によれば、デフレが継続している状況の中で下記の要因を掲げ、リーマンショック級の経済低迷に陥る旨の指摘があります。

                                           

                                          ●中国の低迷

                                          ●中東の混乱

                                          ●トランプ大統領の迷走

                                          ●働き方改革

                                           

                                           上記だけで実質GDPで▲3.6%のマイナス効果との試算としているのですが、リーマンショック時の実質GDPは▲3.7%でした。

                                           

                                           世界は、ブレグジット、トランプ大統領、中東混乱、米中貿易戦争等によるスロートレード、国内は働き方改革、オリンピック特需消滅等で、これらを全部合わせて▲3.6%ですから、消費増税をしなくてもリーマンショック級の経済低迷に陥ると予想されています。

                                           

                                           だからキャッシュレス決済時のポイント還元やら、自動車や住宅購入時の減税など、消費増税をしないまま消費税率8%のままやるくらいしなければ、ひどいデフレに陥ることは明らかです。

                                           

                                           海外情勢が不安定な状況であることを考慮しても、消費増税は延期しても至って普通であり、消費増税しなければならないとか、欧州のように20%近くまで引き上げるべきなどとする言説は、何の根拠もなく理論的にも間違った言説です。

                                           

                                           日本は2014年度の消費増税のときと比べ、輸出が15兆円増えています。外需に依存度が増えたという状況ですが、今後は輸出が増えるどころか、減る可能性も十分にあり、消費増税とかいっている状況ではないのです。

                                           

                                           

                                           というわけで今日は「消費増税をしなくてもリーマンショック級の経済低迷に陥る日本」と題して論説しました。

                                           輸出で増やそうとすることは、ある意味で不況を輸出することと同じであり、通商協議が激しくなったり、最終的には戦争になったりもします。何が言いたいかといえば、真に財政再建をしたいならば、輸出に依存せず国内需要で経済成長できるように、普通に「国債増刷」「政府支出増」のパッケージでの財政拡大をすれば、GDPの成長を通じて税収増となることは確実であるということです。

                                           消費増税をしなくても財政再建ができること、そして消費増税をすれば国内需要を削減してしまう結果、GDPの6割を占める個人消費を削減することとなって税収が落ち込んでしまうということを、多くの人々に気付いていただきたいと思うのであります。

                                           

                                           

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                                            JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

                                             

                                             今日は「2018年第3四半期のGDP速報値の前期比▲0.3%、年率換算▲1.2%をどうみるべきか?」と題して論説します。

                                             

                                             内閣府が先月11/14に発表した2018年の第三四半期(7月〜9月)のGDP速報値は、物価変動を除いた実質で前期比▲0.3%、▲1.2%と2四半期ぶりのマイナス成長となりました。

                                             

                                             この原因は、相次いだ自然災害の影響で個人消費が振るわず、輸出も振るわなかったためとし、さらには西日本豪雨、台風21号、台風24号、北海道胆振地震など、全国で相次いだ自然災害で個人消費が伸びず、工場の操業・物流への影響で輸出も落ち込んだとしています。

                                             

                                             私が保有している株式銘柄の中にも、今年の自然災害で稼働率が一時的に低下したことを原因として業績を下方修正した銘柄もありました。

                                             

                                             皆さんは、年率換算▲1.2%と聞いてどう思うでしょうか?「2四半期ぶりなのだから、たまにはそういうことがあってもいいのでは?」と思われる方がいるかもしれません。もし、経済のマイナス成長が続けば、日本人は裸で生活しなければならないような超貧乏国家になります。経済成長率のマイナスというのは、そのくらい大変なことであるという認識をすべきであることが1つ目。

                                             

                                             2つ目は、「自然災害が多発し、輸出が落ち込んだから仕方がないのでは?」と思われる方がいるかもしれません。日本経済新聞では、次の四半期でプラスになるから問題ないなどと報じています。これは少し自然災害があったくらいで経済成長がマイナスになってしまうくらい、日本経済の足腰は弱いと考えるべきです。

                                             

                                             よく日本経済はファンダメンタルズがしっかりしており・・・と言われることがあります。

                                             

                                             ファンダメンタルズとは基礎体力とういことなのですが、確かに今年は自然災害が多発しましたが、東京都や愛知県といった大都市圏では災害はありませんでした。

                                             

                                             輸出が増えたとかもありそうですが、ちょっと台風が来たくらいで年率換算で▲1.2%と、これはGDP500兆円とした場合に5兆円〜6兆円のマイナスというわけで、いわば皆さんの給料が1%減少したことを意味します。

                                             

                                             皆さんの給料が1%減少していなければ、その分他の人の給料が2%とか3%とか減少しているわけで、その人たちが消費者となった場合、給料が減っているために買う量を減らしたり、安売りしないと買ってくれないということになり、給料が減らなかった人にも大きな影響があるわけです。

                                             

                                             それでも「いや!うちは海外事業が順調なので・・・!」という人も、米中貿易戦争やイギリスEU離脱など、世界はスロートレード(貿易の伸び率が経済成長の伸び率を下回る状態)です。中国を封じ込めるために貿易量を減らして自国で供給力を強化する方向に向かってます。

                                             

                                             結局ファンダメンタルズの尺度というのは、言葉だけで何も中身はありません。ちょっと大きめの自然災害が多発したくらいで、経済成長がマイナスになってしまうくらい日本経済はダメなんだということを、私たちは認識する必要があるのです。

                                             

                                             この状況であれば、普通は「消費増税は無理!」となるべきなのですが、これで「無理だな!」という感覚が出ない場合は、相当ヤバイことになります。

                                             

                                             本来であればこの程度の自然災害で左右されてはいけないくらいの体力がなければなりません。なぜならば中国のGDP成長率の6%〜7%というのは横に置き、世界の経済成長率は3%〜4%が当たり前です。

                                             

                                             3%〜4%が当たり前だとするならば、2018年第3四半期の年率換算▲1.2%というのは、▲4%〜▲5%もマイナスしなければ、マイナス成長になりません。そのくらい途轍もないマイナスということであり、普通は台風や輸出が落ち込んだという理由で▲1.2%マイナスするということはあり得ません。

                                             

                                             第3四半期の年率換算▲1.2%とは、とんでもなく体力がないということを意味しているのであり、消費増税はあり得ません。その議論が日本国内で全く出てこないですし、新聞でも一言も書かれていないという状況、これが本当にヤバイと思うのです。

                                             

                                             今回のGDPでは、輸出▲1.8%、個人消費▲1.1%、企業投資▲0.2%、公共投資▲1.9%、住宅投資△0.6%となっていますが、特にGDP500兆円とした場合で6割を占める個人消費は300兆円として▲1.1%は、実額で3.3兆円のマイナスとなります。

                                             

                                             今年は災害がたくさんあったかもしれませんが、来年は今年より少ないとは言い切れないのが、自然災害大国の日本です。

                                             

                                             またインバウンドは輸出に該当しますが、災害で海外からの来訪者が減ったとか、買い物の量が減ったとか、2019年の世界経済は、米中貿易戦争もあって減速基調を強める見通しといわれています。

                                             

                                             どこの新聞、ネット記事、国際経済に関する議論をみても、これから世界経済は下振れするといわれています。

                                             

                                             こうした状況で下振れする中でも経済成長率をプラスにしようとするのであれば、内需が勢いよく成長しているという状況を作らなければダメであるということは理解できるのではないでしょうか?なぜならば、2019年度はマイナス成長する環境ですといっているようなものだからです。

                                             

                                             にもかかわらず、内需を冷やす消費増税を実施するというのは、自殺願望そのもの。日本は自殺願望がないということを想定すると、願望もないのに自殺しようと消費増税するのは狂っているとしか言いようがありません。

                                             

                                             日本人の給料を増やして、消費を増やして、それで企業も国内投資をしていくということを継続的にできるようにしなければ、デフレ脱却はできません。

                                             

                                             そもそも外需がこれから冷え込むというのに、戦々恐々とする状況というのは誠におかしなことであって、外需は本来はボーナスみたいなものです。基本は国内需要だけで3%程度の経済成長していれば、外需が冷え込んで▲1%〜▲2%となってもプラスです。外需が好調のときは△1%〜△2%となって、全体は△4%〜△5%なるような需給を目指すべきです。

                                             

                                             

                                             というわけで今日は「2018年第3四半期のGDP速報値の前期比▲0.3%、年率換算▲1.2%をどうみるべきか?」と題して論説しました。

                                             外需依存は発展途上国化です。ついでに外交上のカードを持たれます。国内需要で国民の需要を国内で供給しうる力をたくさん持っている国が先進国です。

                                             GDPがマイナスとなっても何とも思わないくらいの平和ボケ。このままでは間違いなく日本は中国に飲み込まれていくことになるでしょう。

                                             そうならないようにするためには、一般人を含め、多くの日本人が経済について知見を高める必要があるものと、私は思うのです。


                                            第一次補正予算(2018年度)について

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                                              JUGEMテーマ:大震災後の復興支援

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                                               今日は「第一次補正予算(2018年度)について」と題して論説します。

                                               

                                               下記は日本経済新聞の記事です。

                                              『日本経済新聞 2018/11/07 17:06 第一次補正予算(2018年度)について

                                               西日本豪雨などの災害復旧費を盛り込んだ2018年度第1次補正予算が7日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。総額は9356億円。財源は公共事業に使い道を限る建設国債の発行で6950億円をまかない、残りは17年度決算の剰余金などで確保した。

                                               第1次補正予算は西日本豪雨や大阪北部地震、北海道地震など自然災害からの復旧・復興に7275億円をあてた。

                                               熱中症対策として公立の小中学校へのエアコン設置に822億円、地震による倒壊で犠牲者が出たブロック塀の補強対策に259億円を計上。相次ぐ自然災害を受け18年度当初予算の予備費を1000億円積み増した。

                                               政府・与党は補正予算の成立を受けて、外国人労働者の拡大に向けた出入国管理法改正案の今国会中の成立に全力を挙げる。同法案は13日の衆院本会議で審議入りする見通しだ。』

                                               

                                               上記記事の通り、2018年度の第一次補正予算が10/7(水)に参議院本会議で全会一致で可決成立しました。

                                               歳出総額9,356億円で、相次ぐ自然災害からの復興復旧費が柱になります。

                                               

                                               記事によれば、9,356億円の内訳は以下の通りです。

                                               第1次補正予算の内訳       
                                              災害復旧・復興費 7,275億円
                                              公立小中学校へのエアコン設置 822億円
                                              学校のブロック塀の改修 259億円
                                              予備費の追加 1,000億円
                                              総額 9,356億円

                                               

                                               今回の補正予算をどう見るべきか?といえば、以前にも記事を書いている通り、小さな現場を見てつぶさに積み上げた結果なのか?十分な金額なのか?という点に尽きます。

                                               

                                               2018年度は大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号、台風24号、北海道胆振地震と、災害が多い年でした。冬を迎えて、これからも大雪被害とか発生するかもしれません。

                                               

                                               3.11のとき、私が損害保険会社に勤務していまして、当時は福島県いわき市にいました。3.11での地震保険の対応で、当時は営業だったのですが、保険金の支払査定をやっていました。このとき、私が在職していた保険会社は、2か月後の5.11までに支払案件の90%を完了させるという目標があり、その目標に向かって邁進した記憶があります。

                                               

                                               今年、保険会社の社員の人に聞いたのですが、3.11のときよりも広域であること。地震保険の査定と違って台風の査定はロードがかかることなどから、相当時間を要するというようなお話を聞いております。

                                               

                                               そうしたことを踏まえますと、7,275億円というのが、本当に災害復旧・復興費として十分なのか?ということについては、報道記事内容からは把握が難しいです。

                                               

                                              <台風24号で被害を受けた鳥取県大山町>

                                               

                                              <西日本豪雨災害で被害を受けた鳥取県内の陥没した道路と濁流>

                                               

                                               上図の写真は、いずれもふるさと納税支援サイトから引用したもので、鳥取県内における災害発生当時の被害状況です。

                                               ふるさと納税で支援するというのもわからなくもないですが、マクロ経済的には、寄付者はその寄付した分、他の支出が減る可能性があるため、むしろ普通に政府支出でしっかりと十分に予算を付けた方が、復興は早いに決まっています。

                                               政府が緊縮して、民間にやらせようとふるさと納税を支援するなどということは、愚の骨頂としかいいようがありません。

                                               

                                               京都府では応仁の乱の西軍の陣があった山で船岡山というのがありますが、そこでも倒木が多数あります。京都の街中の山なのですが、森の南側の木が半分くらい台風21号で折れました。倒木は数十本もあり、稲荷社本殿・拝殿も倒壊しました。京都府災害対策本部の資料に文化財保護課発信で、台風21号の文化財被害として、被害状況71社寺等 計136件(国指定登録等81件、府指定登録等55件)ものリストが掲示されています。

                                               

                                               こうした文化財の被害も、5,034億円に入っているのか?入っていて欲しいと思うのですが、仮に入っていなければ2次補正ですぐに予算を付けて着手すべきだろうと思います。

                                               

                                               先述の鳥取県の被害も含め、予算を付けずに災害復旧が放置されるようなことがあれば、被災地の人々は見捨てられたのと同じであり、ナショナリズムは崩壊していくことになると私は思います。

                                               

                                               

                                               というわけで今日は「第一次補正予算(2018年度)について」と題して論説しました。

                                               第二次補正予算の金額に注目していますが、2〜3兆円程度では、経済効果も期待できないでしょう。真に必要な復興費用がちゃんと積み上げられることを私は希望します。

                                               

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                                                 今日は「2018年度の第一次補正予算9,400億円をどう見るか?」と題して論説します。

                                                 

                                                 下記は時事通信の記事です。

                                                『時事通信 2018/10/11 18:56 1次補正9400億円=災害復旧、学校に冷房−政府

                                                 政府は11日、2018年度第1次補正予算案の総額について、約9400億円とする方針を固めた。相次ぐ自然災害からの復旧に加え、公立学校の冷房整備や危険なブロック塀の改修などの費用を盛り込む。15日にも臨時閣議で決定し、24日に召集する臨時国会での早期成立を目指す。
                                                 1次補正予算案の大半は、西日本豪雨や大阪北部地震、台風21号、北海道地震からの復旧・復興関連費用。道路をはじめとするインフラの修復や観光振興、中小企業の資金繰り支援などが中心となる見通しだ。』

                                                 

                                                 上記記事の通り、西日本豪雨など今年の夏以降の自然災害の復旧費や公立小中学校の教室に冷房を設置するための関連費用を盛り込み、第一次補正予算として9,400億円を支出する見込みであることを報じています。

                                                 

                                                 この第一次補正予算の額9,400億円という数字が、どうやって出てきたのか?が私の関心事です。

                                                 

                                                 例えば西日本豪雨、大阪北部地震、台風21号、台風24号、最大震度7を観測した北海道北部地震など、災害の現場をチェックしてつぶさに調査した結果、9,400億円の予算が必要であるということであれば問題ありません。

                                                 

                                                 しかしながら今ある財源は予備費等、2018年度でまだ未執行の予算が9,400億円程度あるから、それを使いましょう!という発想ですと、間違いなく復興復旧のスピードは遅くなるに決まっています。

                                                 

                                                 京都では御所の木がたくさん倒れています。私は保険代理店で営業をしていますが、担当している企業において、企業向けの包括火災保険のご契約をしていただいているすべての企業が罹災しています。

                                                 

                                                 というより、西日本豪雨で西日本を中心に大被害が発生し、台風21号、台風24号で全国がやられ、震度7の北海道胆振地震で北海道がやられているというように、今年は日本のほとんどの地域で何らかの自然災害の被害が発生しているといえるでしょう。

                                                 

                                                 小さな現場であっても、そうした一つ一つをつぶさにチェックして、そのために必要な額を速やかに積み上げていくという方針で、政府には復興予算を立てていただきたいと思います。

                                                 

                                                 もちろん、これは一次補正予算であるため、出始めのスタートとも考えられます。災害復旧は一回の補正予算をやれば終わりというものではないため、被害を元通りにするのみならず、被害発生前以上の水準に戻してもらうくらいの対策をしていただきたいです。

                                                 

                                                 その例として毎日記事を紹介します。

                                                『毎日新聞 2018/10/13 17:45 地元自治体:関西空港「海底トンネル構想」推進へ

                                                 関西国際空港と対岸を海底トンネルで結ぶ「第2のルート」整備計画が日の目を見るかもしれない。9月の台風の影響で連絡橋が破損し、利用客らが一時孤立。周辺自治体はこの事態を懸念し、30年以上前から整備を求めてきた。巨額の資金がネックで計画は動かなかったが、懸念が現実になり、リスク管理や関西経済への側面からも首長らは来月、国土交通省や総務省に構想推進を直談判する。

                                                 海上に人工島を造成し1994年に開港した関空。計画段階では、対岸の大阪府泉佐野市、泉南市、田尻町が連絡橋の候補地だった。大阪府は「複数ルートの整備が必要」としつつも、大阪市中心部により近い泉佐野市と関空島北部をつなぐ「北ルート」が選ばれ、自動車と鉄道用の連絡橋が建設された。

                                                 一方、候補地から外れた泉南市は、災害やテロ行為でアクセスが絶たれるリスクを回避すべきだとして、島南部と市を結ぶ「南ルート」整備を主張。86年から国や府などへの要望活動を始めた。

                                                 2000年には府南部や和歌山県の市町とともに「関西国際空港連絡南ルート等早期実現期成会」を設立。現在は8市2町が参加、毎年関係省庁や国会議員に陳情しているが具体的な協議に入ったことはないという。

                                                 南ルートが「検討課題」として宙に浮く中、先月4日の台風21号では連絡橋にタンカーが衝突し、道路と鉄道が通行止めとなった。利用客や職員ら約8000人が一時空港島内に閉じ込められ、自動車道の全面再開は、来年春の見通しだ。

                                                 関空は07年に2本目のB滑走路が供用されて以降、格安航空会社(LCC)の需要が高まり、昨年度は過去最多となる約2880万人の旅客が利用した。期成会の事務局を務める泉南市の竹中勇人市長は「関空はインバウンド(訪日外国人)が増え続け、昔とは状況が異なる。世界的に注目される空港となった以上、今回のような事態は二度とあってはならない。南ルートの検討を直ちに始めるべきだ」と主張する。

                                                 期成会は、強風の影響を受けないトンネルでの整備を念頭に置くが、少なくとも1000億円以上はかかるとみられ、実現へのハードルは極めて高い。

                                                 国交省の担当者は「(施設を所有する)新関西国際空港会社は多額の負債を抱え、すぐに新ルート整備に着手するのは現実的ではない。まずは地元自治体で建設費の試算や需要予測など具体的な計画を立ててほしい」としている。』

                                                 

                                                <関西国際空港連絡南ルートの海底トンネルのイメージ>

                                                (出典:泉南市の市役所のホームページから引用)

                                                 

                                                 

                                                 上記の記事は、今年2018年9月5日の台風21号の被害で発生したタンカーと連絡橋の衝突事故によって関西国際空港が一時島に閉じ込められたということで、改めて泉南市をはじめとする地方自治体が、第2ルートである海底トンネル構想の実現の検討を始めるべきと論じているニュースです。

                                                 

                                                 これこそ、被害発生以前以上の水準にする関西空港の強靭化につながる政策といえるでしょう。

                                                 

                                                 公共事業に否定的でかつ財務省の緊縮財政の意向に忠実な毎日新聞らしく、「少なくても1,000億円以上かかるので、実現へのハードルは極めて高い」などと報じています。 毎日新聞の記事は、関西国際空港連絡南ルートの海底トンネル構想を報じたものの、資金がボトルネックになる懸念ということなのでしょう。

                                                 

                                                 ”1,000億円のハードルが極めて高い”とは、なぜでしょう?1,000億円ものお金をかけることが、あたかも無駄なように聞こえます。あたかも財源はどこ?とでも言いたいように聞こえます。

                                                 

                                                 確かに泉南市や大阪府といった地方自治体には通貨発行権はありません。国交省や総務相に直談判とありますので、国策で予算を付けてもらうなり、今回の災害の補正予算で予算を付けてもらうなり、地方交付税交付金を大幅に増やしてもらうなりといったことを、大阪府選出の国会議員や大阪府知事がやるべきことでしょう。

                                                 

                                                 いずれにしても補正予算は第一次で終わりません。2018年末には国土強靭化対策を中心とした第2次補正予算を組むとしています。

                                                 

                                                 ようやく日本も自然災害対策に本気で取り組むようになってきたということがわかるくらいの金額の補正予算をドーンとやっていただきたい。正直、一次補正予算の9,400億円では、景気浮揚策にもなりません。

                                                 

                                                 なぜならば、消費増税のマイナスインパクトは個人消費で8兆円マイナスといわれています。加えて働き方改革で残業代の減少による個人消費のマイナスが8兆円(大和総研調べ)。さらにオリンピック特需後の需要の落ち込みが数兆円と、20兆円近いデフレギャップが存在するといわれています。

                                                 

                                                 この20兆円近いデフレギャップを埋めるためには、しかも消費増税10%を敢行するとすれば、20兆円の政府支出をしない限り、ひどいデフレに突っ込むことになることでしょう。

                                                 

                                                 もちろん一次補正予算のみならず、二次補正予算だけで災害対策が終わるわけではありません。とはいえ、次の二次補正予算の金額で、国土強靭化の本気度の度合いが判明するかもしれません。

                                                 

                                                 例えば二次補正予算の額が、「2兆円〜3兆円で大幅に増やした。すごいでしょ!」みたいな程度であれば、国土強靭化の本気度はウソと断定せざるを得ません。

                                                 

                                                 2018/09/20に行われた自民党総裁選の翌日に閣議を行い、3年間で緊急のインフラチェック・点検を行うと表明しました。その結果、各地方でインフラ点検の作業を行い、補修に必要な費用を積み上げてチェックしたものを集計しています。

                                                 

                                                 この積上げ額は相当な額になるはずですが、積み上げた額に対して、実際に予算を付けるかどうかは別問題であるため、積上げ額に対してどれだけ予算が付くか?で、国土強靭化の本気度が決まります。

                                                 

                                                 今年12月中旬に閣議決定されますが、大体の予算の規模は11月頃に判明します。そこで11月中旬〜12月中旬にかけて財務省との駆け引きなどの調整が予想されるでしょう。

                                                 

                                                 財務省の緊縮財政の思考にハマり、2兆円〜3兆円程度で補正予算額が決定されるとなれば、災害対策を本気でやるというのは、ウソです。

                                                 

                                                 この場合、「安倍総理は国土強靭化を徹底的にやると言ったはずであるにも関わらず、2兆円〜3兆円程度とかその程度でよいのか?」という批判があってしかるべきであり、「政府として国土強靭化を改めて行うと言ったはずなのに、ウソではないか!」ということになります。

                                                 

                                                 だから各地方の現場では、被害に遭った箇所をしっかりとつぶさにチェックして報告していただき、政府はプライマリーバランス黒字化とか財政規律とか一切を無視して、本当に日本国民の安心を確保するためには何が必要なのか?という視点で予算を付けるという方針になるようにしていただきたいと思うのです。

                                                 

                                                 

                                                 というわけで今日は「2018年度の第一次補正予算9,400億円をどう見るか?」と題して論説しました。

                                                 ぜひとも政府には建設国債を発行するなど、財源について躊躇せず国債増刷していただき、現場から積み上げられた費用に対して予算を付けていただきたい、日本国民の命を守るようにしていただきたいと考えます。

                                                 人の命はお金には代えられません。防災対策は、時間をかけて少しずつやるというのではなく速やかに完了させれば、例えば10年かかるものを1年で終えれば、残り9年間は人の命が守られます。

                                                 絶対にそうするべきだし、そのようにしていただきたいものと、私は思います。


                                                日本のプライマリーバランスが黒字だったときは?

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                                                   今日は「日本のプライマリーバランスが黒字だったときは?」と題し、プライマリーバランス黒字化目標について論説します。

                                                   

                                                   プライマリーバランスとは何か?といえば、基礎的財政収支のことをいいます。

                                                   

                                                   では財政収支とは何でしょうか?一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)において、歳入から歳出を差し引いたものです。その財政収支から、国債の利払い費用を除いたものを基礎的財政収支(=プライマリーバランス)と呼んでいます。

                                                   

                                                   プライマリーバランス黒字化とは、入ってくるお金から、出ていくお金と国債の利払い費用を差し引いた数値をプラスにするというものです。家計簿の発想でいえば、収入から支出を差し引き、住宅ローンや自動車のローンなどの利息を引いたものをプラスにすると考えれば理解ができるでしょう。

                                                   

                                                   家庭の家計簿ならまだしも、国家の財政運営においてプライマリーバランス黒字化目標は、本当に日本にとって必要なのでしょうか? 

                                                   

                                                   このプライマリーバランス黒字化目標が導入されたのは、竹中平蔵氏が経済財政政策担当大臣だった小泉純一郎政権のときです。竹中平蔵氏の「財政健全化のためには、プライマリーバランス黒字化が必要」という誤った考え方は、財務省に受け継がれ、デフレ脱却を困難にしている一つです。

                                                   

                                                   そもそも政府はプライマリーバランス黒字化する必要はありません。徴税権と通貨発行権という強力な権限を持つ日本政府は、国民経済を成長させ、国民を豊かにするためならば、プライマリーバランスが赤字だったとしても何ら問題はありません。

                                                   

                                                   基礎的財政収支を黒字にしよう赤字にしようとも、それが「国民が安全に、豊かに暮らすこと」が達成できればいいのです。なぜならば、日本政府は「国民が安全に、豊かに暮らすこと」を目的とした非営利組織であって、利益追求組織ではないからです。

                                                   

                                                   自民党の総裁選で争った安倍首相と石破茂氏とでは、プライマリーバランス黒字化について意見が異なっています。安倍政権は、2017年10月の衆議院議員選挙直後の2017年10月22日に日本テレビ番組において、「プライマリーバランスを無理やり黒字化して、アルゼンチンは次の年にデフォルトになった。経済を成長させ、投資すべきものはしっかりと投資しながら、財政健全化を図っていきたい」と述べました。

                                                   

                                                   つまり安倍首相は、無理やりプライマリーバランス黒字化をしてはいけないという意見を持っていると考えられます。一方で石破茂氏は、2017年6月27日のブルームバーグの記事によれば、「プライマリーバランス黒字化目標を変えたら終わりだ!」と述べていました。

                                                   

                                                   プライマリーバランス黒字化目標を撤廃したところで、何が終わるのでしょうか?日本が終わるといっているのでしょうか?

                                                   

                                                   プライマリーバランス黒字化目標を撤廃することこそ、デフレ脱却の一矢であることを、私たちは認識する必要があります。この世の中で、政府、企業、家計のすべてが黒字になることはできません。誰かが赤字にならない限り、黒字は生みだしません。仮にも政府がプライマリーバランス黒字化を無理やり続けた場合、企業や家計は赤字になり続けます。これは貧困化を意味します。企業や家計が赤字になれば、当然税収も減ります。

                                                   

                                                   即ちプライマリーバランス黒字化すべきと主張することは、日本国民に「貧しくなれ!財政は悪化しても構わない!」と主張していることに等しいのです。

                                                   

                                                   日本のプライマリーバランスが過去に黒字化したときがありました。下記のグラフをご覧ください。

                                                   

                                                  (出典:世界経済のネタ帳から引用)

                                                   

                                                   1985年〜1992年にかけて、日本のプライマリーバランスは黒字化しています。この時代はバブル期で、企業も家計も超絶黒字の絶好調だったため、税収が激増して景気対策も不要になりました。このようにプライマリーバランスが黒字になっているときに景気対策をすると、さらに景気が過熱化します。

                                                   

                                                   もし、財務省が本気でプライマリーバランスを黒字化したいと考えるのであれば、政府の財政支出を拡大させ、減税を繰り返して超好景気にすればいいだけの話です。

                                                   

                                                   財務省の官僚が本気でプライマリーバランス黒字化を目標に掲げるのであれば、日本経済に好景気をもたらすように財政支出増を認めるべきです。にもかかわらず、緊縮財政と政府支出削減を継続するならば、財務省の官僚はプライマリーバランス黒字化を望んでいないのでは?という結論にならざるを得ません。

                                                   

                                                   

                                                   というわけで今日は「日本のプライマリーバランスが黒字だったときは?」と題して論説しました。

                                                   バブル期のときに黒字だったプライマリーバランスが、なぜ赤字を続けているか?といえばバブル崩壊という原因もあったでしょう。特に1997年の構造改革基本法制定以来、緊縮財政が始まった1998年から、赤字が継続していますが、金利も一環として下げ続けてきました。

                                                   マイナス金利が続いているということは企業に資金需要がないということです。しかも政府も借金を増やそうとしていないわけですからなおさらです。企業が債務を増やしてまで投資をしようとしないデフレ期においては、政府が財政赤字を拡大して国内需要の創出に努めなければ、国民は貧困化していきます。誰かが支出を増やさない限り、誰かの所得も創出されないからです。

                                                   GDPデフレーターで2%、コアコアCPIで2%が達成されるまで、プライマリーバランスの赤字幅を増やし続ければ、やがて景気が良くなってGDPが拡大して税収も増えていくことで、プライマリーバランスは黒字化するでしょう。

                                                   そもそも資本主義とは、企業や政府の負債は増え続けながら経済成長するものです。企業も政府も家計も黒字になることはできません。プライマリーバランスを黒字化させるのであれば、政府支出増と減税が必要であることを多くの人々に気付いていただきたいと私は思います。


                                                  アベノミクスはいいのか?悪いのか?

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                                                     今日はIMFのラガルド専務理事がアベノミクスを見直すよう要請したというニュースを取り上げ、「アベノミクスはいいのか?悪いのか?」と題して論説します。

                                                     

                                                     下記はAFP通信の記事です。

                                                    『AFP通信 2018/10/04 20:22 IMF専務理事、アベノミクスの見直しを要請

                                                    【AFP=時事】来日中の国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事は4日、根強い低インフレと成長の鈍化、急速な高齢化に直面している世界第3位の経済大国である日本に対し、経済政策の全面的な見直しを促した。

                                                     ラガルド氏は、超金融緩和政策に財政刺激策と構造改革を併せた安倍晋三(Shinzo Abe)首相の「アベノミクス(Abenomics)」を「新たな目」で見直すよう要請。

                                                     「政策の見直しが必要になってくるだろうと考えている。われわれの見解としては、基本方針は引き続き妥当であるものの、拡大し、持続させ、加速させる必要がある」と指摘した。

                                                     また、日本の経済と人口の両方の規模が今後40年間で4分の1縮小するとの予測に触れ、日本が直面している経済問題は「人口の高齢化と縮小が続く以上、大きくなる一方だろう」と警告した。』

                                                     

                                                     上記の通り、IMFのラガルド氏が来日しており、安倍総理と会談の中でアベノミクスの見直しを要請したというニュースです。

                                                     

                                                     記事では、「超金融緩和政策」と「財政刺激策」と「構造改革」を合わせたアベノミクスを見直すよう要請とあります。

                                                     

                                                     アベノミクスは三本の矢といわれていますが、当初は下記の通りでした。

                                                     第一の矢:金融政策(異次元の金融緩和)

                                                     第二の矢:財政政策(財政支出増による国土強靭化)

                                                     第三の矢:成長戦略

                                                     

                                                     それが2015/09/24に新三本の矢ということで、下記の通りとなりました。

                                                     第一の矢:希望を生み出す強い経済

                                                     第二の矢:夢をつむぐ子育て支援

                                                     第三の矢:安心につながる社会保障

                                                     

                                                     当初のアベノミクスの矢は、成長戦略こそ不明でしたが、第一の矢と第二の矢は具体的だったといえます。デフレ脱却のオーソドックスな政策である「金融緩和」「財政支出増」の組み合わせであり、実際に2013年度は異次元金融緩和と国土強靭化による財政支出増の組み合わせで、名目GDPは1.9%プラスとなり、税収は法人税・所得税が伸びて6.9%プラスとなりました。

                                                     

                                                     ところが2014年4月の消費増税8%を実行に移したことに加え、国土強靭化はどこ吹く風と言わんばかりに緊縮財政をやりました。本予算と補正予算を合わせて、公共事業を削減する方向に転換したのです。さらにデフレ脱却ができない状況、即ちデフレギャップが存在する状態「需要<供給」であるところに、成長戦略とは名ばかりの規制緩和で供給↑を推進したため、「需要<供給」のデフレギャップがさらに拡大することとなったのです。

                                                     

                                                     コアコアCPIが大きくマイナスせず、プラスマイナスゼロで持ちこたえる理由は、医療介護費が伸びているからです。しかしながらこれも医療費抑制、介護費抑制で伸びを抑制しています。医療費・介護費の伸びを抑制していなければ、その分経済成長できていたということが明々白々です。

                                                     

                                                     アベノミクスはいいのか?悪いのか?

                                                     

                                                     国民が豊かになるということは、国民の所得が増える、給料が増えるということになります。しかも実質賃金が増えているということ、即ち物価の上昇以上に実質賃金が増えていくことが重要です。

                                                     

                                                     安倍政権は2013年度こそ、名目GDPを増やして税収も増やしたのですが、2014年から消費増税をして以降、実質賃金は下落しています。

                                                     

                                                     その失政を指摘されることを嫌がり、株価は上昇していると国会でも発言していました。自分が在任してから株価が2万円台になったと発言したのです。これは安倍首相自身のみならず、自民党の一部の政治家、安倍政権側につくジャーナリストらもそうした発言をすることがあります。

                                                     

                                                     実際はどうでしょうか?株価が上昇すると国民は豊かになるのでしょうか?

                                                     

                                                     現実には実質賃金が5%も下げているわけで、株価と所得は全然違うことに気づかない人々は、上述の発言に騙されてしまうのです。

                                                     

                                                     そもそも日本の株価は誰が決めるのでしょうか?

                                                     

                                                     

                                                    (出典:蠹豕証券取引所のホームページの株式年間売買状況から引用)

                                                     

                                                     上記は株式年間売買状況をグラフにしてみたものです。外国人投資家の売買比率が60%〜70%を占めます。売買代金でみた場合でも、2013年の安倍政権誕生をきっかけに、600兆円〜800兆円と伸びています。2013年は個人投資家もアベノミクスに夢を求めたか?少しだけ売買代金が増えて200兆円まで伸びましたが、その後は伸び悩み、外国人投資家と大きく差がついている状況です。

                                                     

                                                     安倍政権や首相官邸はこうした数字を知っているのか知らないのか?外国人投資家が株を買えば株価が上がり、外国人投資家が株を売れば株価は下がるのです。

                                                     

                                                     なんで外国人の売買状況によって左右されるものを経済指標にしているの?と疑問に思いませんでしょうか?

                                                     

                                                     このようなものを経済指標にすること自体、本当にばかばかしい話であり、アベノミクスの成果は、実質賃金が下がっている以上、目立った成果はないと私は考えます。

                                                     

                                                     というより、過去5年間のアベノミクスの成果は失敗であったということを、政府も日銀も認識している可能性があります。特に内閣府や財務省職員ら官僚たちからみれば、安倍政権は過去5年間は失敗と認識しているのではないでしょうか?

                                                     

                                                     政治家は認識せずとも官僚たちは総務省が公表する実質賃金統計を知っているはずです。すなわち実質賃金が下がって貧困化しているということを認識しているでしょう。ところがそれを認めたくないため、失政を隠すために株価は堅調に推移などと言っているのではないでしょうか?

                                                     

                                                     それだけではありません。今年9月、マスコミの発表では7月の実質賃金が対前年比0.4%増と報じましたが、これは統計の対象のサンプルを半分入れ替えた補正をしていない数値です。実際は同一事業所でみた場合、下記の通り、給与総額で0.4%のマイナス(グラフでは小数点が四捨五入されて0.0%と表示されている。)、実質賃金で1.1%マイナスです。

                                                     

                                                    (出典:厚生労働省の毎月均等統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

                                                     

                                                     しかしながら本来ならば補正をかけるべきところ補正をかけていない事実を知らせず、マスコミが1.5%増と報じれば、多くの人々は新聞を見て安倍政権はよくやっていると思う人が多くなることでしょう。

                                                     

                                                     私は国会議員にも問題があると思うのですが、指摘しておきたいのは2点あります。

                                                     

                                                     まずデータをみる習慣がないのでは?ということです。例えばこの記事で使っているグラフは、東京証券取引所や厚生労働省のホームページに載っています。にもかかわらず、当選回数が多い少ないに関係なく、新聞の数字をそのまま信じてしまうという点は問題だと思うのです。

                                                     

                                                     もう1つは、与党の政治家は安倍政権の成果を否定するような論説は耳にしたくないということです。このポイントは、嘘は言っていないということ。株価が上昇しているのは事実です。とはいえ、株価と実質賃金に相関関係があるのかないのか?説明をしていません。実質賃金が上昇しているというのは、対象事業所数のサンプルを半分も入れ替えして、上昇したといっていますが、これは巧妙に国民を騙しているのと同じではないか?と思うのです。

                                                     

                                                     

                                                     というわけで今日は「アベノミクスはいいのか?悪いのか?」と題して論説しました。

                                                     私はアベノミクスは失敗だったと思っています。2014年以降の消費増税や緊縮財政が原因です。とはいえ「国債増刷」「政府支出増」へ政策を転換していただければ、普通に成果は出せるでしょう。

                                                     デフレが脱却できるまで、具体的にはGDPデフレータでプラス2%以上かつコアコアCPIでプラス2%以上が継続的に推移する状態になるまで「国債増刷」「政府支出増」を継続すれば、安倍政権は文句ない成果を出すことができ、国民が豊かになることを実感できるものと私は思うのです。


                                                    緊縮財政派と財務省側の思惑の多い予算編成

                                                    0

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                                                       今日は今年の相次ぐ自然災害によって、政府が2018年の補正予算を編成するというニュースについて取り上げます。

                                                       

                                                      まずは読売新聞の記事です。

                                                      『読売新聞 2018/09/22 補正予算2段階、1次で災害復旧…2次インフラ

                                                       政府が、2018年度補正予算を2段階で編成する方向で検討に入った。まず、今秋の臨時国会に、西日本豪雨など自然災害からの復旧・復興費用を盛り込んだ第1次補正予算案を提出する。年末にかけては国土強靱(きょうじん)化対策などを計上する第2次補正予算も編成する方針だ。19年10月に控えた消費税率10%への引き上げを見据え、切れ目のない財政出動で景気を下支えする狙いもある。
                                                       今夏は西日本豪雨のほか、大阪北部地震、台風21号、北海道地震など災害が相次いだ。第1次補正予算は、被災地での道路などインフラ(社会基盤)復旧、中小企業の資金繰り支援、観光振興策などが中心となる。来年以降の猛暑対策として、公立小中学校の教室にクーラーを設置する関連費用も計上する。財源は17年度決算の剰余金の一部や、公共事業に使途を限定した建設国債の発行などで賄うことを検討している。

                                                       

                                                       当たり前の話ですが、復興財源は建設国債発行で賄うことを検討していると報じています。財政法第4条で公共事業は建設国債発行を認めています。そのため、具体的には短期的な復旧・復興支援は言うまでもなく、次なる災害に備えた中長期的な治水事業・治山事業や、公立の小中学校の教室にエアコンを設置することなど、どんどんやればいいだけです。

                                                       インフレの状況でこれらのことをすれば、さらなる物価上昇を引き起こし、バブルを生み出すリスクがあるのですが、幸いにも日本はデフレであり、むしろどんどん建設国債という負債を増やして、政府支出を拡大させることが、デフレ脱却につながり、経済成長に資します。

                                                       

                                                       補正予算は暫定的なものであるため、それと合わせて注視していかなければならないのが、2019年の本予算です。次の記事をご紹介します。

                                                      『産経新聞 2018/08/29 11:40 国土交通省、6兆9000億円を概算要求 水害対策、大幅拡充へ

                                                       国土交通省は29日、平成31年度予算の概算要求を発表した。総額は6兆9070億円、うち公共事業関係費は6兆1736億円で、いずれも30年度当初予算比で19%増になる。西日本豪雨などを踏まえた防災・減災対策に力を入れるほか、物流体制の強化などに重点を置いた。

                                                        大幅に拡充するのは水害対策で、33%増の5273億円。堤防のかさ上げや住民避難のタイミングなどを時系列で想定するタイムラインの策定など、ハード・ソフト両面の対策を推進。被災地で集中的な対策を実施し、再発防止に取り組む。地方自治体向けの防災・安全交付金は21%増の1兆3431億円とした。

                                                        物流ネットワーク強化には29%増の4374億円を要求し、三大都市圏の環状道路整備、輸送効率の高い「連結トラック」の実用化などに充てる。自治体のインフラ整備を支援する社会資本整備総合交付金は、20%増の1兆663億円を求めた。また、災害時も物流を滞らせないため、道路の耐震化や除雪体制の整備、緊急輸送道路の無電柱化などの費用として4156億円も盛り込んだ。

                                                       観光庁は、来年1月から出国時に1人千円を徴収する国際観光旅客税の税収480億円を見込み、要求額を2・68倍の739億円とした。新税の税収は関係省庁に配り、訪日客が旅行しやすい環境づくりに充てる。緊急災害対策派遣隊(TEC−FORCE)や観光庁、海上保安庁などの体制強化のため、404人の定員増も求める。』

                                                       

                                                       上記は2018/08/29付の産経新聞の記事ですが、本予算について報じています。この中で、西日本豪雨を踏まえた防災体制強化、北朝鮮の漂流船の監視拡充、サイバー攻撃対策など、日本が直面する喫緊の課題に取り組むための項目が織り込まれています。

                                                       

                                                       大幅に拡充しているのは、水害対策で33%増の5,273億円となっています。一見して数字でみると3割以上の増えているので、いいニュースにみえるのですが、これがなかなか一筋縄ではいかない複雑な話なのです。

                                                       

                                                       水害対策で「うゎー!3割も増えるんだ!すごい!」と思ってしまうかもしれませんが、財務省に思わされているだけという可能性があります。というのも要求しているだけだからです。

                                                       

                                                       前年予算の9割は確保しておき、そこから30%上積みして概算要求するのはOKで、即ち前年比120%増の予算を要求するのはOKだけど、認めるのは100%と、財務省は各省庁に指示を出しているといわれています。

                                                       

                                                       そういう前提であるために、各省庁は要求しているだけであり、概算要求で5,237億円がそのまま承認されることはないでしょう。

                                                       

                                                       「概算要求で33%増」と報じられると、本予算が増えると思うかもしれませんが、実際はそうなりません。しかも増やしたらダメという緊縮財政の人がいるわけです。特に公共事業を忌み嫌う人がいます。それだけでなく、国交省や防衛省を目の敵にしている人もいます。安全保障強化を盾にいろいろと予算要求するからです。

                                                       

                                                       そうした人からみれば、「概算要求で33%増」という記事をみたら怒りを買うこととなり、緊縮思考を一層喚起することができるのです。そうやって報道させて、緊縮財政派の人をムカつかせて削減するというシナリオは、普通に考えられます。

                                                       

                                                       また本予算において水害対策で33%増なのに、全体は19%増ということは、他の省庁はプロジェクトを企画して予算要求するということを、それほどやっていないということになります。この場合、一律カットしたら、水害対策以外の予算が思いっきり削減される危険性があるため、本来だったら従来の予算よりも純増すべきでした。

                                                       このままでいくと、一律に予算削減された場合に、「はい!言われた通り、水害の分は増やしましたよ!」となる一方、道路や新幹線整備やインフラ老朽化対策などが、思いっきり削減されてしまう危険性があります。

                                                       

                                                       とはいえ、デフレ脱却できずにデフレで苦しみ、地方経済が苦しむ中では、道路も新幹線整備もインフラ老朽化対策も、すべて喫緊の課題であって速やかに着手すべき案件であることは言うまでもありません。

                                                       

                                                       

                                                       というわけで今日は「緊縮財政派と財務省側の思惑の多い予算編成」と題して論説しました。

                                                       2018年度の補正予算は、可及的に速やかに建設国債を発行して政府支出を実行するべきです。何しろ北海道の観光被害だけでも、292億円の被害です。それ以外にも大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号と、復興需要はたくさんあるはずです。

                                                       かつて民主党政権のときの東日本大震災のときは、こういう状況で復興増税を導入し、日本経済を痛めつけました。というより今もなお痛め続けています。安倍政権には、補正予算編成でどうか躊躇なく建設国債を発行していただくと同時に、本予算についても概算要求のすべてが認められるようリーダーシップを発揮していただいて財務省の緊縮思考を駆逐していただきたいと思うのです。


                                                      台風21号と震度7の地震が襲った北海道には、公的資金でもなんでも入れるべきです!

                                                      0

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                                                         今日で震度7を観測した北海道地震から3週間が経過しようとしています。

                                                         

                                                         今年は夏の猛暑による熱中症、台風21号、西日本豪雨と、地球温暖化による影響もあると思われる自然災害が多く発生しました。中でも北海道は、台風21号で大被害があった後に、震度7の地震ということで、北海道電力の苫東厚真火力発電所の停電による悪影響が今もなお続いています。

                                                         

                                                         千葉でサンマが豊漁となりましたが、昨年まで全然取れなかったサンマが今年は北海道でも豊漁でした。ところが3週間前の地震によって、北海道内で大規模停電(ブラックアウト)が発生し、電気がストップすれば、冷蔵施設も使えないということで、市場や小売業でサンマを並べることができず、かなりの被害が出てました。その豊漁だったサンマは、地震の直前から漁獲が激減し、築地市場北海道産サンマは卸売価格が2.5倍超にまで跳ね上がりました。

                                                         

                                                         JAとまこまい広域では、じゃがいものコンテナが地震でめちゃくちゃとなり、片づけに追われるなどして、東京の大田市場では北海道産じゃがいも、にんじん、たまねぎの出荷量が地震の直前と比べて2〜4割も減少しています。

                                                         

                                                         こうした中、2週間が経過した先週、北海道電力苫東厚真火力発電所1号機が、ようやく再稼働しました。1号機の再稼働によって北海道電力の供給力391万キロワットに回復し、地震の前日のピーク需要を上回ったため、経済産業省は特別な節電は不要となったとして、節電は解除されました。

                                                         

                                                         その北海道電力は、2018/09/06未明の地震の後、大規模停電(ブラックアウト)を防ぐために、一部地域を強制的に停電させて電力の需要を減らす措置を3回試みたことがわかっています。

                                                         

                                                         とにかく北海道経済は大打撃です。1次産業、2次産業、3次産業もすべて大打撃です。北海道で罹災に遭われた方々は、電気がインフラの中のインフラで、現代文明に必要不可欠かつ社会的基盤に必須のインフラであることを、骨に染みて理解されたと思います。

                                                         

                                                         ところが日本政府としては、インフラの中のインフラである電力について、供給体制を脆弱なまま放置していたといえます。むしろ脆弱な供給体制だったのをさらに脆弱化させる発送電分離を推進しようとしています。

                                                         

                                                         電力の供給体制を強靭化するためには、どう考えても発電と送電を一体化して国家が一括管理するというのが強靭化の方向ではないでしょうか?

                                                         

                                                         そのためには発送電分離は、やってはいけないことなのですが、国会議員や国民からそうした声が出ないということに、私は失望します。

                                                         

                                                         自由化がすべて正しいということはありません。規制緩和がすべて正しいということはありません。特に公共性が高い分野においては、むしろ規制が必要で、政府の関与は大きくなければ供給体制を強化できません。無駄を削減して効率化させるために民営化という発想は、一見正しく思えますが、無駄があって遊びがあればこそ、いざという時の大災害でも強靭に供給することができるのです。

                                                         

                                                         無駄や遊びがあるということは、民間企業では、なかなか許されません。利益追求の株式会社組織では利益が優先され、安全保障の強化・強靭化ということにお金を使うというインセンティブは、どうしても弱くならざるを得ないのです。

                                                         

                                                         いかに今まで政府が自由化を進めてきたとしても、今回の事故を踏まえて反省して政策転換しないとすれば、誠に遺憾としか言いようがありません。

                                                         

                                                         下記は産経新聞の記事です。

                                                        『産経新聞 2018/09/15 20:12 観光の損失、292億円 宿泊キャンセル94万人

                                                         北海道は15日、最大震度7の地震が発生した6日以降、道内の宿泊施設の予約をキャンセルしたのは延べ94万2千人で、飲食などを含む観光全体の損失額は推計約292億円に上るとの集計を発表した。

                                                         昨年度、北海道を訪れた観光客は過去最高の5610万人で、うち宿泊客は1883万人。外国人観光客も多く、地震の影響が長引けば国や道が進めるインバウンド施策にも影を落としそうだ。

                                                         道が15日までにまとめた集計によると、ホテルや旅館などの宿泊施設のほか、テーマパークなどの観光施設では6万9千人、フェリー・遊覧船は2万2千人、観光バスでは4千台のキャンセルが出た。』

                                                         

                                                         北海道は厚真町と知床で300僧イ譴討り、電力は復旧したものの、上記の産経新聞の記事の通り、観光のキャンセルが相次いでいます。9/6〜9/15の間で、292億円の損失額という試算です。

                                                         

                                                         北海道民の方々が、それだけ所得を失ったということ。北海道電力にしてみたら、仕方がないかもしれませんが、国家として仕方がないというわけにはいかないでしょう。政府として国民の財産を守ることができなかったわけで、本来であれば北海道民の方々は、政府に対して損害賠償請求をしてもいい話です。

                                                         

                                                         下記の写真は、9/19に運行が再開した北海道の貨物列車13両の「ジャガイモ列車」の写真です。

                                                        (出典:NHKニュースウェブから)

                                                         

                                                         国内最大のジャガイモの産地の十勝地方では、本州にジャガイモを運ぶ専用の臨時列車、通称「ジャガイモ列車」というのがあります。この「ジャガイモ列車」は臨時貨物列車なのですが毎年運行され、十勝地方で採れたジャガイモを大量に本州に運んでいるのです。

                                                         北海道地震の後、線路にゆがみが見つかったため、運行が延期されていたのですが、線路の復旧が完了して、9/19から運航が始まりました。青函トンネルを経由して埼玉県内の駅に到着し、ポテトチップスに加工するためにトラックに積み替えられ、首都圏各地の工場に運ばれるのです。

                                                         

                                                         こうした鉄道路線でいえば、JR北海道は厳しい状況に置かれています。JR東海やJR東日本と異なり、相対的にドル箱路線がないために路線を維持するにしても経営環境が厳しいのです。そのため、どんどん路線が撤退するともいわれています。

                                                         

                                                         ただでさえ北海道経済は疲弊しており、そうした中での台風21号と北海道地震の発生です。日本政府は北海道の復興を真剣に考えていただきたい。具体的には公的資金の投入やJR北海道の国有化で社員の公務員化のみならず、公務員自体を増員する、政府支出によるインフラ整備の支出を増額するなど、その財源は建設国債を発行すればいいだけの話。国債不足でマイナス金利になっている状態であるため、タダ同然で政府はお金を借りられます。建設国債を大量に発行すれば、国債不足も解消し、銀行のバランスシートを毀損し続ける状況もストップできるでしょう。

                                                         

                                                         

                                                         というわけで今日は「台風21号と震度7の地震が襲った北海道には、公的資金でもなんでも入れるべきです!」と題し、論説しました。

                                                         

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                                                          JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

                                                           

                                                           今日は「現金給与総額の前年比増加率に隠されたイカサマ」と題して論説します。

                                                           

                                                           下記は西日本新聞の記事です。

                                                          『西日本新聞 2018/09/12 10:14 統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 補正調整されず・・・専門家からは批判も

                                                           政府の所得関係統計の作成手法が今年に入って見直され、統計上の所得が高めに出ていることが西日本新聞の取材で分かった。調査対象となる事業所群を新たな手法で入れ替えるなどした結果、従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続いている。補正調整もされていない。景気の重要な判断材料となる統計の誤差は、デフレ脱却を目指す安倍政権の景気判断の甘さにつながる恐れがある。専門家からは批判が出ており、統計の妥当性が問われそうだ。

                                                           高めになっているのは、最も代表的な賃金関連統計として知られる「毎月勤労統計調査」。厚生労働省が全国約3万3千の事業所から賃金や労働時間などのデータを得てまとめている。1月に新たな作成手法を採用し、調査対象の半数弱を入れ替えるなどした。

                                                           その結果、今年に入っての「現金給与総額」の前年比増加率は、1月1.2%、2月1.0%、3月2.0%、4月0.6%、5月2.1%、6月3.3%を記録。いずれも2017年平均の0.4%を大きく上回り、3月は04年11月以来の2%大、6月は1997年1月以来21年5か月ぶりの高い伸び率となった。安倍政権の狙い通りに賃金上昇率が高まった形だ。

                                                           しかし、調査対象の入れ替えとならなかった半数強の事業者だけで集計した「参考値」の前年比増加率は、1月0.3%、2月0.9%、3月1.2%、4月0.4%、5月0.3%、6月1.3%と公式統計を大きく下回る月が目立つ。手法見直しで、計算の方法を変更したことも誤差が生じる要因とみられる。

                                                           誤差に対しては、経済分析で統計を扱うエコノミストからも疑義が相次いでいる。大和総研の小林俊介氏は「統計ほど賃金は増えていないと考えられ、統計の信頼性を疑わざるを得ない。報道や世論もミスリードしかねない」と指摘。手法見直し前は誤差が補正調整されていたことに触れ「大きな誤差がある以上、今回も補正調整すべきだ」と訴える。

                                                           厚労省によると、作成手法の見直しは調査の精度向上などを目的に実施した。調査対象の入れ替えは無作為に抽出している。見直しの影響で増加率が0.8ポイント程度上振れしたと分析するが、参考値を公表していることなどを理由に「補正や手法見直しは考えていない」(担当者)としている。』

                                                           

                                                           

                                                           この報道で指摘されている毎月勤労統計調査について、私も調べてみました。

                                                           

                                                           具体的には、厚生労働省の毎月勤労統計調査(平成30年7月分結果速報)をみますとと、P2には新たな手法で調査したもの、P13には参考値として従来の事業所を対象にしたものということで、数値が記載されていました。

                                                           

                                                           それぞれの数値を並べますと、下記のグラフの通りとなります。

                                                          (出典:厚生労働省の毎月勤労統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

                                                           

                                                           

                                                           上記グラフの通り、事業入替後の統計は、入替前の同一事業所の統計と比べて、毎月上回っています。入れ替えること自体に何か問題があるわけではないと考えますが、問題なのは補正調整をしないということです。

                                                           

                                                           補正調査をしないと上記グラフの青のグラフが正式な統計となります。対象の事業所を入れ替えたとすれば、

                                                           

                                                           実際、この数値を使い、新聞各社は下記の見出しで報道しています。

                                                           

                                                          ●『ロイター通信 2018/08/07 実質賃金、21年5か月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計』

                                                          ●『日本経済新聞 2018/08/22 6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計』

                                                          ●『時事通信 2018/09/07 7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる』

                                                          ●『毎日新聞 2018/09/07 7月給与総額、前年比1.5%増 12か月連続プラス』

                                                           

                                                           各紙、毎月勤労統計では実質賃金の上昇を報じています。では、先ほどの入替前の同一事業所の統計で、現金給与総額指数から消費者物価指数を控除すると実質賃金指数が算出されます。それをグラフに加えてみたのが、下記のグラフです。

                                                          (出典:厚生労働省の毎月勤労統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

                                                           

                                                           上記の通り、実質賃金は2018年6月以外はマイナスで推移しています。調査対象から「給料が低い事業所」を外して「給料が高い事業所」を入れれば、普通に前年比でプラスします。西日本新聞の記事は、このことを問題視しているのです。

                                                           

                                                           少なくても、入替後の1年間は、旧事業所で同一事業所の数字の比較を出すべきですが、そうせず入替して3.3%増えたしているのです。入替自体に問題があるということを言いたいわけではありませんが、2018年7月速報でいえば、事業所入替後の給与総額がプラス1.5%に対して、同一事業所の実質賃金はマイナス1.1%です。

                                                           

                                                           プラスとマイナスでは印象が大きく変わります。1000兆円の借金問題における「一人当たり800万の借金」と「一人当たり800万の貸付金」というのでは、印象が全く異なるのと同様です。

                                                           

                                                           印象が全く異なるとすれば、これはもうイカサマとしか言いようがありません。しかしながら、こうした数字のイカサマを知らないとどうなるか?「賃金は名目も実質もプラスになっているので、消費増税しても影響はない!」となって、消費増税は強硬されてしまうことになるのです。

                                                           

                                                           

                                                           というわけで今日は「現金給与総額の前年比増加率に隠されたイカサマ」と題して論説しました。

                                                           本来安倍政権は、厚生労働省に対しては、補正調整の指示をすべきですが、それをしないと厚労省の担当者は述べています。数字をでっち上げて平気で発表し、それをマスコミがイカサマと気付かずに報道し、多くの国民がまたそれを鵜呑みにする。

                                                           韓国や中国並みに数字が信用できなくなってしまうくらいに落ちぶれてしまった日本と思うのは私だけでしょうか?

                                                           中国のGDPの数字がウソ・デタラメなのは有名ですが、それ以外に中国では鉄道貨物輸送量、工業電力消費量なども怪しい数字が多いといわれています。日本も統計数値をイカサマするようになったとすれば、もはや中国や韓国のことを笑ってバカにしてはいられないものと思うのと同時に、そこまで落ちぶれてしまったということに落胆せざるを得ないのです。


                                                          低年金者向けの消費増税対策について

                                                          0

                                                            JUGEMテーマ:年金/財政

                                                             

                                                             台風21号と北海道地震で被害に遭われた皆様には、お見舞い申し上げます。

                                                             

                                                             今日は「低年金者向けの消費増税対策について」と題して、消費増税について論説します。

                                                             

                                                             下記は日本経済新聞の記事です。

                                                            『日本経済新聞 2018/8/15 20:00 低年金者給付 前倒し浮上 消費増税対策、財源など課題

                                                             2019年10月に予定する消費増税対策の一つとして、政府内で低所得の高齢者への影響を抑える対策が焦点になってきた。低所得の年金生活者に最大で月5千円(年6万円)を給付する新制度について、実際の支給が増税時に間に合うよう制度開始を2カ月程度前倒しする案が浮上。1千億円規模の財源の確保や煩雑な給付作業などを巡り、財務省や厚生労働省は年末に向けて議論する。

                                                            焦点となっている仕組みは、政府が消費増税に合わせて、年金の少ない高齢者向けに予定している「年金生活者支援給付金」だ。5%から10%への消費増税と社会保障の充実を合わせて決めた12年の「社会保障と税の一体改革」の中で決めた措置だ。低所得の高齢者を中心に、増税の影響を和らげるのが狙いだ。

                                                             受け取れるのは世帯全員が住民税非課税で、年間の所得が国民年金の保険料を40年間納めて受け取る額(約78万円)よりも低い水準の高齢者が中心になる。対象は約800万人にのぼる。

                                                             問題は、給付金の支給が年金と同じで2カ月に1回の予定であることだ。年金は2月、4月など偶数月に配る。給付金制度を消費増税を予定している19年10月に始めると、実際に高齢者の銀行口座に振り込まれるのは12月になってしまう。

                                                             増税直後は買い控えなどが起きやすく、給付金の支給が遅れれば高齢者対策としての制度の効果が薄れる恐れがある。こうした状況を踏まえ、与党内では公明党が制度の前倒しを強く求めている。例えば制度の開始を2カ月前倒せば、消費税率が10%に上がる19年10月に給付できる。お金を配ることで個人消費の反動減を抑える狙いだ。

                                                             もっとも、財務省や厚労省は給付の前倒しを巡る課題に頭を悩ませている。1つは財源だ。「社会保障と税の一体改革」を審議していた時点の試算では、年間で約5600億円が必要になるとはじいていた。2カ月前倒しする場合に必要な財源は約1千億円となる。加えて、法改正もしなければならない見込みだ。

                                                             もう1つは給付作業の問題だ。給付を請け負うのは日本年金機構になる。今年2月に支給した公的年金では、過少支給の問題が起きたばかり。過去にも125万人分の個人情報の流出が起きるなど不祥事が相次ぐ。

                                                             仮に前倒しを決めたとしても、システムや給付事務が追いつかず、かえって混乱が広がる懸念がある。市区町村が配るという手もあるが、事務費がかかり必要になるお金が膨らんでしまう。

                                                             3つ目はばらまき批判だ。政府は16年にも低年金者を対象に3万円の給付金を配ったことがある。賃上げの効果がおよびにくい高齢者らを支援するという名目だった。給付は市区町村が担ったが、事務費だけで数百億円かかった。このときは自民党内でも若手議員中心に批判の声が噴出した。

                                                             このほか消費増税に合わせて、65歳以上が支払っている介護保険料の軽減対象拡大の前倒しも検討課題になっている。いまは住民税非課税世帯のうち、特に所得の低い人を対象に軽減している。これを住民税非課税世帯全体に広げる。現在の対象は65歳以上のうち約2割だが、3割に増える。

                                                             最も負担が軽くなる高齢者は負担する保険料が基準額の30%になる。現在は45%だ。前倒しで低所得の高齢者の負担をさらに抑える狙い。来年は参院選を控えるだけに、消費増税に合わせた対策として、高齢者向けの施策が重みを増しそうだ。

                                                             

                                                             ▼年金生活者支援給付金 年金の少ない高齢者らに現金を支給する制度。消費税を8%から10%に上げる2019年10月に創設する予定だ。年金保険料を納めた期間に応じ、最大で月5千円を年金に上乗せする仕組みとなる。障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者も給付の対象だ。』

                                                             

                                                             

                                                             まず私は、この報道に大変違和感がありました。何が違和感かと申しますと、消費増税を既成事実化しているということです。消費増税することが当たり前というような環境を作っているといえます。

                                                             

                                                             ポイントは2点あります。

                                                             

                                                             一つ目は、消費増税の既成事実化が徹底的に進んでいる状態です。消費増税は、相当の確率でやるでしょう。何しろ、

                                                            リーマンショックが起きても消費増税は先送りできないなどという政治家もいるくらいです。まるで消費増税することが目的になっているかの如く。

                                                             

                                                             消費増税は社会保障などの用途に使われるのでは?と思った方、残念ながら消費増税しても増税分は一般財源として扱われ、政府の負債の返済に使われるでしょう。事実、2014年の消費増税5%→8%のときは、消費増税分の8割程度が政府の負債の返済に使われ、国民の所得になりませんでした。「政府の負債を借金で返さなければ・・・」という発想は、家計簿の発想であり、企業経営の発想です。実際は政府の負債は、100%円建てであり、外貨建て債務ではないので、いざ返済時期が来たら、借り換えをすればいいだけのこと。政府の負債を返済してしまうと、返済分が消費や投資に使われないわけですから、消費に使われない=生産に使われない=所得が生み出されない と例のごとくGDP3面等価の原則によって、経済成長を抑制します。

                                                             

                                                             そもそも、低年金者向け消費増税対策ということ自体、消費増税を既成事実化するためとしかいえません。多くの人々も、「あ、台風が来るんだ!」と自然災害のように思われて回避できないものと思われる方が多いかもしれませんが、実際は政策を変えることは可能です。

                                                             

                                                             二つ目は、給付金を配るのは、消費増税で取る分を事前に戻すことになるため、消費増税の影響がないと思われる方もおられるでしょう。

                                                             

                                                             心理学的には、消費時にあらゆるタイミングで意識に上り、消費にブレーキがかかる可能性が高いです。すべての消費行動は意思決定で決まるわけですが、給付金は振り込まれるものです。そのため、消費するときに、事前に10000円振り込まれていたから、消費増税分500円を使ったとして、残り9500円が使えるなどと考える人は皆無でしょう。要は、振り込まれた10000円は何となく認識しても、消費する際にいちいち残りがいくらで、今いくら使おうかなどと考える人はいません。消費時には意識されないのです。

                                                             

                                                             消費増税をした後、GDPの成長率は大きく低迷していることが既に実証されていまして、下記は、その検証資料です。

                                                             

                                                            (出典:内閣官房参与の藤井聡氏のフェイスブックより)

                                                             

                                                             

                                                             消費増税10%にすれば、国家の予算が増えて社会保障制度が安定して、公共事業が増え、被災地復興が早まるとか、そうしたバラ色のシナリオにはならないでしょう。

                                                             

                                                             消費増税をしても税収が減収する可能性は極めて濃厚なのですが、その理由は税金とは私たちが働いて稼いだ所得から徴収するからです。

                                                             

                                                             税収=名目GDP×税率×税収弾性値

                                                             GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

                                                             ※純輸出=輸出−輸入

                                                             

                                                             

                                                             消費増税は直間比率の是正が目的であるなどと、もっともらしい言い方をする人もいて、一見すると間接税で安定的に税収が確保できると思いきや、直接税が税収弾性値によって激減します。実質GDPが増加しても、名目GDPがマイナス、GDPデフレータがマイナスという状況ですと、忙しくなるだけで稼げないという状況になり、稼げない=企業の売上が増えない=賃金UPの原資が増えないということで、法人税と所得税が伸び悩みます。それどころか、赤字になれば法人税を治めなくなりますし、連結決算連結納税で黒字企業も節税します。従業員が解雇されれば、その分の所得税もなくなります。

                                                             つまり名目GDPがマイナスした場合、税収弾性値によってそれ以上に税収が減収するのです。

                                                             

                                                             税収弾性値については以前もテーマで取り上げたことがあります。名目GDPがプラスになれば、税収はそのプラスの伸び率以上に増えます。日本国内の法人のすべてが黒字だった場合は、税収弾性値は1となるため、名目GDPの伸び率=税収の伸び率となりますが、逆に言えば、日本国内の法人がすべて黒字になるには10年以上かかるといわれていますので、そうなるまでは税収弾性値は1以上といえるのです。因みに2013年度の税収弾性値は3.5でした。2013年といえば安倍政権アベノミクスの第二の矢の国土強靭化計画で政府支出を増やしたことで、名目GDPが1.9%上昇し、税収は6.9%増収しました。その後、2014年に消費増税や補正予算の減額をしたため、税収が伸び悩んでしまっています。

                                                             

                                                             9月に入って台風21号、北海道地震と多くの方々が被災している状況で、プライマリーバランス黒字化によって緊縮財政を続ける中、本当に2019年10月に消費増税を行うのでしょうか?これだけ自然災害で被災している以上、消費増税はそもそも凍結もしくは消費減税すべきであると私は考えます。

                                                             

                                                             

                                                             というわけで今日は「低年金者向けの消費増税対策について」と題し、論説しました。消費増税を既成事実化する報道が目に余ります。もし消費増税をこのまま進めるならば、安藤裕国会議員による安藤提言(内閣府ホームページに掲載中)で、消費減税を提言しています。

                                                             消費増税はするものの、非課税品目を大幅に増やし、1取引100万円以下の取引をすべて5%に減税、個人が買う乗用車や住宅も5%に減税するといった内容です。

                                                             本来デフレ下で消費増税をやってはいけないのですが、財務省どものプライマリーバランス黒字化目標を盾に消費増税を目論む彼らの消費増税強行を、うまく手に取った提言です。

                                                             私は法人取引でさえ5%に減税すべきであると思いますので、本来は消費増税中止、凍結、5%への減税と言いたいところですが、プライマリーバランス黒字化目標が残って増税回避不可というのであれば、逆に安藤提言を応援したいと思います。

                                                              

                                                             

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                                                               皆さんはよく、”日本は人口が減少するから、「小さな政府」を目指すべきだ!”という論説を目にすることがあるでしょうか?

                                                               「小さな政府」は、1976年にノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンが主張していたのですが、彼こそ新古典派経済学の元祖であり、規制緩和で民営化を推進することを唱えていた学者です。彼は「小さな政府」論を支持すると同時に、マネタリストともいわれ、マネタリーベースを増やせば、マネーストックをコントロールして増やせるという主張もしていまして、私は正直、あまり評価していません。

                                                               

                                                               そこで今日は「小さな政府論は正しいのか?」と題し、日本経済新聞の記事をご紹介したいと思います。

                                                               

                                                              『日本経済新聞 2018/08/02 厚労省の分割検討 政府・自民、20年にも 生産性向上へ政策強化  

                                                               自民党は今月にも厚生労働省(総合2面きょうのことば)の分割を念頭に置いた提言を安倍晋三首相に渡す。これを受け、政府は分割への検討を本格化する。2001年に誕生した厚労省は働き方改革など新たな政策需要に対応しきれていないと判断した。政策立案を強化し、生産性を高める。20年を目標に旧厚生省と旧労働省の業務の2分割による新体制を発足させる計画だ。

                                                               党行政改革推進本部(甘利明本部長)は01年の1府12省庁の中央省庁再編を検証し、月内にも首相に提言する。20年近くが経過して浮かび上がった問題点を洗い出し、課題を列挙する。

                                                               厚労省は07年に旧社会保険庁の年金記録を巡り、年金記録の持ち主が分からなくなった「消えた年金」問題が発覚。その後も年金の個人情報流出や支給漏れなどの不祥事が相次いだ。行革本部幹部は提言について「厚労省の現体制は限界に来ている」とのメッセージを送るのが主眼と説明する。

                                                               労働行政はかつては労働組合を意識した賃上げなど労働環境の改善に傾斜していた。今は働き方改革に象徴されるように日本全体に目配りした政策が求められる。厚労省分割構想の底流には生産性向上への期待がある。

                                                               国会の要因もある。厚労省が国会に法案を提出しても審議する委員会は衆参厚生労働委員会だけ。答弁にあたる閣僚も1人しかいない。厚労省を分割すれば、閣僚も2人になり、委員会も2つになるので、法案審議を加速できる。

                                                               自民党内には総務省、経済産業省など複数の省にまたがる現在の情報通信行政の統合や総合的な通商戦略を担う「日本版通商代表部」を創設する案もある。政府内は厚労省に加え、内閣府や総務省、国土交通省などを創設した01年のような大がかりな再々編には否定的な意見が多い。

                                                               抜本的な省庁再々編に慎重なのは憲法改正や経済再生など看板政策と並行させるのは時間的に厳しいとの認識がある。

                                                               首相が9月の党総裁選で3選したとしても任期は21年9月までだからだ。厚労省分割などに限定した小幅な再編にとどまる公算が大きい。

                                                               政府は01年に厚生省と労働省を統合した際、その理由を「社会保障政策と労働政策を一体的に推進する」と主張した。

                                                               日本のように年金や医療、労働を一つの省で扱う国は世界では珍しい。米国は社会保障、年金、労働政策を複数の省庁で分担。英国やフランス、ドイツも複数に分けている。

                                                               政策研究大学院大学の竹中治堅教授は「厚労省は閣僚の守備範囲があまりに広く、分割すれば意思決定が早くなる利点がある」と評価する。半面「社会福祉問題と労働問題は密接に関連しており、単に省庁を切り離せば解決するというわけではない。国会改革も同時に進める必要がある」と話す。』

                                                               

                                                               

                                                               

                                                               上記記事の通り、厚労省の分割を検討するというニュースです。厚生労働省といえば、今から11年前の2007年に、旧社会保険庁の年金記録を巡り、消えた年金などといわれ、年金記録の所有者がわからなくなったという問題が発生しました。

                                                               

                                                               その後も、年金の個人情報流出、支給漏れなど、不祥事が相次ぎました。

                                                               

                                                               この厚生労働省の分割は、2020年を目標に旧厚生省と旧労働省を2分割するというものですが、記事の詳細を読めば、誰でも納得ができるものと思われます。

                                                               

                                                               とすれば、2001年1月6日に再編統合した省庁再編は、いったい何だったのか?ということになります。

                                                               

                                                               例えば国交省でいえば、運輸省、建設省、北海道開発庁、国土庁の4つを全部1つにしました。全部一つに再編したときの議論は、「効率化する」ことが狙いでした。

                                                               

                                                               国交省の場合は、大臣が4人いたのが1人になった結果、4つあった委員会は1つになりました。当時は「効率化」が大義名分で1つにしたものの、今回の見直し議論では、大臣が1人しかいないから「非効率」であるとし、委員会が1つだと審議が遅いから2つの委員会に分けるとしています。

                                                               

                                                               これは当時の省庁再編の議論と、全く完全に正反対の逆の話です。

                                                               

                                                               当時省庁再編の目的としては、縦割り行政による弊害をなくし、内閣機能の強化、事務および事業の減量、効率化などが謳われていました。1つに集中した結果が「非効率」であるとするならば、当時の再編前のままでよかったのでは?という話になります。

                                                               

                                                               しかも、今回の議論はなぜか厚労省の分割だけが対象です。とするならば、建設省と運輸省、文部省と科学技術庁は、”ゆっくりのまま非効率でいい”と主張しているのと同じです。

                                                               

                                                               ついでにいえば、委員会が1つだと審議のスピードが遅くなるため2つに分けるというのは、速度という点では遅いとしても、権限に関しても議論すべきと思います。

                                                               

                                                               例えば財務省は、収入と支出が一体化して権限が集中しており、世論操作や政治家やマスコミへの影響力が集中しているので解体するか分割するべきという議論もあります。

                                                               

                                                               そうした議論も含め、省庁再編とは何だったのか?小さな政府を目指すというのは、本当に正しかったのか?改めて議論する必要があるのではないでしょうか。

                                                               

                                                               特に財務省については組織の在り方を見直す議論があってしかるべきで、公文書偽装作成を平気で行い、緊縮財政を主導して日本を亡国に追いやる組織といえます。財務省の人事制度が、GDPを拡大することが目標ではなく、増税をすることと出ていくものを抑制する緊縮財政をした人が評価されるという人事制度であるために、政府支出が思うようにできず、他国と国力でどんどん差を付けられ、日本が発展途上国化しているということを認識すべきです。

                                                               

                                                               そのため財務省の組織の在り方を含め、省庁再編についてもう一回見直すという声があってもいいと思います。ところが日本経済新聞の記事では、それをせず、なぜか小幅な改革に留まると報道されています。

                                                               

                                                               できることならば、財務省の人事制度の見直しや組織の在り方にまで踏み込み、全体的な見直しをしてもいいはずであると私は思うのです。

                                                               

                                                               

                                                               

                                                               というわけで今日は「小さな政府論は正しいのか?(厚労省の分割問題について)」と題し、論説しました。

                                                               現在、厚労省が国会法案提出している審議する委員会について、衆参厚生労働委員会だけ答弁に参加する閣僚が1人しかいないので、分割して2人にするとするならば、閣僚が2人、委員会が2つとなって法案審議を加速できるとしています。

                                                               もし、それが本当ならば、2001年1月6日に行った省庁再編によって、様々な法案の審議を減速せしめたといっているのと同じであり、失敗だったのでは?ということにならないでしょうか?

                                                               失敗か否か?という評価は横に置いたとしても、プライマリーバランス黒字化を是とする財務省については、この際、人事評価制度、組織の在り方を見直すべきではないかと思っておりまして、今回の報道の行方を見守りたいと思います。

                                                               

                                                               

                                                               

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